「百均」のダイソーが西海岸に進出して15年目、ついにニューヨークに初出店を果たしました。オープン当日は、朝から500人もの人が列をなしたそうです。伝えてくれたのは、米国の邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さん。自身が発行するメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り−マンハッタンの最前線から−by 高橋克明』で、副社長に取材した今回の決断のキッカケともに、NY進出を喜ぶ個人的事情についても綴っています。

MADE IN JAPANの凄さに舌を巻け

百均。百円均一。日本の100円均一ショップ「ダイソー」が、東海岸で初めてとなる店舗をクイーンズ・フラッシングにあるショッピングモール、スカイビューセンター内にオープンしました。今月中旬のことです。オープン当日は、テープカット、太鼓のパフォーマンスなどが盛大に行われました。かなりの力の入れようだとわかりました。

ダイソーは2005年にシアトルで初めて米国に出店、これまで西海岸を中心に展開してきました。それが満を持して、ニューヨークに初進出。

先着100人にギフトバッグがプレゼントされるからか、早朝から500人以上の人が列を作ってました。500人だよ!500人。ひゃくえんのものを買うだけに…なんて言うと元も子もないでしょうか。その前に怒られるでしょうか。

僕個人は、百均には、心の底から、キョーミゼロなのですが、取材に行く際、うちの社員どころか、うちの奥様までついてきました。彼女たちは、心からこの日のオープンを楽しみにしていました。

僕が渡米する19年前と、今の日本でいちばん変化したことは、たぶん、フジテレビの立ち位置と、大阪梅田の街並みと、そして百均のクオリティーではないかと思います。

当時はフジテレビが天下でした。視聴率3冠王だったり。なので、今、視聴率が落ち込んでも、僕の中ではフジテレビで育ててもらった感があるので、ガンバレ!CX!と思ってしまう。

前回の出張時、以前8年ほど住んだ大阪で迷子になりました。なつかしいなぁ…と思うつもりで行って、ここどこ!?ってなりました。

そして100円均一ショップ。僕が住んでいた頃は、100円っぽいのしか売ってませんでした。そりゃあ、ひゃくえん、だろう…な商品。

前回の出張時、なにげに立ち寄った百均で、「えっ!? これもひゃくえん!?」って驚くほどハイクオリティーな商品ばかりが並んでいました。19年前とは劇的に変化していた。つまり、100円ショップの醍醐味って「こんなものまでが100円で!?」な感動なのだと思います。

実は、アメリカにも百均店は存在します。アメリカ版百均「99セントショップ」は、全米各地、どこにでもある。ニューヨークにもいっぱいあります。

編集部近くにも、自宅近くにも有名店「JACK’S 99 cent」があるのですが、でも、店内に入って99セントの商品を手にとってみても、でてくる感想は、…でしょーね。…そら、ひゃくえん、だわな。…ひゃくえんでも、絶対いらねえな。な、ガラクタばかり(←怒られるぞw)\

何の用途に使うのか、蓋もついてないプラスチックのケース。ファーストフード店に、無料で置いてるプラスチックのふにゃふにゃスプーン。砂糖の味しかしないスポンジケーキという名のただの砂糖のカタマリ。

ひゃくえんの小さい缶のコーラを、ひゃくえんで売られても、そら、ひゃくえんだろう。やっぱり、行くことは滅多に、というかこの15年行ったことがありません。そう、アメリカ版百均は、行って得した!というより、買ったら損するだろう!な存在でした。

日本製の質の良さは、もはや世界の常識です。車や電化製品は、もはや言及する必要はないほど。僕の知り合いの大手証券会社のアメリカ人役員の腕時計はSEIKOで、ユダヤ人弁護士はCASIOをしています。

なので、日本クオリティーの商品をそのままに店頭に並べているDAISOがニューヨークに進出する!なんてニュースが流れてきた日には、うちの社員軍団がコーフンするのもわからいではないのでした。

確かに、すでにDAISOがあるロサンゼルスに僕が出張に行くたび、妻から、買ってきて!と頼まれていました。おたまなんて、ニューヨークで売ってるだろっ!!??全然(クオリティーが)違うし!!!いいから、買ってきてよ!

毎回、出張のたび、洋服の圧縮袋や、おたまや、缶切りや、サプリメントケースなどを買って、わざわざ大陸を飛行機で横断させられます。出張やひとり旅では、いつも古くなった衣類を捨てて行くのに、LA出張だけは、DAISOのせいで、帰りのスーツケースの方がむしろパンパン。

それがなくなるだけで、ニューヨークにDAISOがオープンした事実は、僕にとっても嬉しいニュースでした。

さすがにニューヨークなので、1ドルというわけにはいかず(1000円カットのQB HOUSEも20ドルだしね)基本、1ドル99セント。それでもこの街のお買い物シーンで、200円の商品なんて見たことはありません。

そして、ニューヨークの昔からある99セントストアと一番違う点は、質はもちろんのこと、毎月100〜150種類の新商品が入荷され、4000平方メートルの店内には常時6000〜7000アイテムが並ぶ、という点。19年経っても、常に同じものが店頭に並ぶアメリカでは、これは予想以上に反響を呼ぶことになるでしょう。

アメリカは、製品が圧倒的にマンネリです。日本のコンビニの商品の回転率の速さとバラエティの豊富さは、口で説明しても彼らは信じないと思います。

今回、副社長の村田良英氏に取材をさせてもらった時に、いちばん印象に残ったのは、「ツイッターやフェイスブックで、ニューヨークにもオープンして欲しい、という声がたくさん寄せられたので、オープンに踏み切りました」とSNSキッカケだったというコメント。時代を動かすツールがここでも証明された形になります。

年内に東海岸で7〜8店舗展開することが目標とのこと。うちの社員軍団も、ここぞとばかりに買って帰りました。店内は、中国の方がお客さんの大半でした。

MADE IN JAPANのクオリティーの高さに、舌を巻け。

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