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●どうやって自分が[showup]すればいいのか

声優・歌手・ピアニストとして活躍する牧野由依。2019年8月にアーティスト活動15周年目に突入する彼女が、2枚組セレクトアルバム『UP!!!!』を発売した。今回のアルバムはこれまで彼女が紡いできた数々の楽曲の中から、レーベルを越えて収録曲をセレクトしている。

アルバムのDisc-1に収録されるのは、ライブコンサートでファン達と育て上げてきた楽曲。彼女のライブをサポートするミュージシャンたちと共に再現した新録音源 7 曲を含む全11曲をピックアップしている。また、Disc-2は、ピアニストとしてもレコーディングに参加した音源で構成される。今回、マイナビニュースではアルバムを発売する彼女にインタビューを敢行。アルバムに馳せる想いのほか、「これまで」と「これから」の活動についてお話をうかがった。

○■ライブコンサートの中で育ってきた曲を形として残したい

――今回のアルバムのことに加えて、2019年で15周年目に突入する牧野さんの「これまで」と「これから」についてもおうかがいできればと思います。

今が14周年目、2020年の8月に15周年を迎える牧野由依です(笑)。よろしくお願いします!

――早速ですが、これまで10年以上活動してきたなかで、変わったなと感じる部分はありますか?

うーん……これまでの活動は安定してからの14年ではなく、不安定だった10代の頃も含めての14年だったので、いろいろと変わりました。考え方はもちろん、学生じゃなくなるなど、環境も大きく変化しています。何なら顔も変わっているんじゃないかなぁ(笑)。ほとんどのことが変わっていると思います。

――では、反対に変わっていないと感じる部分は?

私、用心深いというか、気にしいというか……とにかくビビりなんです。一方で変なポイントだけ楽観的な面もある。そういうビビりなのに楽観的なところもあるというバランスは昔から変わっていない気がしますね。

――年始に海藻を投げていらっしゃるので、あまり周りの目を気にされない、オープンになんでもされるタイプなのかと……。

よくご存じで(笑)。海藻ブンブンしていたのとか、あとは着ぐるみを新年に着て海岸で写真を撮っているのとかは、私のおばあちゃんが元気を無くしていた時期がありまして、ちょうど新年を迎えたタイミングでこの姿を見て笑ってくれたらいいなという想いから始めたんです。

それをたまたまTwitterでアップしたら多くの方からリツイートをしていただけたので、「みんなも楽しんでくれるんだったらそれがいちばん、笑っていただけるなら!」ということから、年始の恒例にしました。何でもそうなのですが、プライオリティを決めてやるんですよ。

――三重の伝統行事、ではないんですよね。

他の人はやらないです(笑)。確かに不思議な風習はありますけどね。豆まきは2月3日じゃなくて、大晦日にやるんですよ。あとは初詣にお賽銭は半紙にお金をくるむとか。少し前までは道にお金を落としていましたよ。

――地方によって色々な風習がありますよね。

そうですね(笑)。

○■4周年だから「!!!!」

――海藻ブンブンを含めて「これまで」のことをうかがっていますが、ご自身のなかでターニングポイントになったと思うのはいつ頃ですか?

2008年3月に大学を卒業したのですが、その時『マキノユイ。』というアルバムを出したんです。このアルバムには今までの自分に一度区切りをつけるという意味合いを込めて「。」を付けたんですよ。大学卒業ということで環境も変わり、同級生の友達と同じように社会人になって、私はお芸事で食べていく……それはどういうことなんだろうとすごく考えた時期でもあったんです。

――今までの活動を振り返るという意味でもターニングポイントになった?

そうですね。

――今回のアルバムにはそんな区切りをつける前の楽曲も収録されています。アルバムはいつ頃から制作の話があがっていたのでしょうか。

2018年の10月だったかな。同じ年の6月にライブコンサートがあったんです。このライブコンサートはその前の年に私が喉を壊してしまったこともあり、復活するという意味合いを込めたものでした。ライブを終えたとき、私はライブコンサートによってファンのみなさま、そしてライブ制作陣と一緒に楽曲を育ててきた、その育ててきた楽曲を形として残したい、と強く想う様になったんです。

――その想いを抱いたときにはもうセレクトアルバムで2枚組という構想だった?

実は元々、「2枚組のベスト盤とかいかがですか」というお話をいただいていたんですよ。ただ、ライブコンサートのなかで育ててきた楽曲を形として残すという意味において、これまで発表されてきた楽曲をそのままアルバムに収録するのはちょっと違うかなと思って。今回はライブで育ち、アップデートしたものを収録することに意味があるんじゃないかなと思ったんです。

だから、Disc-1にはライブコンサートで好評だったアレンジバージョンを手掛けてくださっているMEGさんにお願いした、合計で7曲のアップデートバージョンの楽曲を収録しています。

――アルバムで新録されている曲には[UPDATE]と記載されていました。今回のアルバムの「UP」もそこからきている?

タイトルには[UPDATE]も含めて、色々な[UP]の意味が込められています。私、最初は「コンサート」という形で曲を披露してきたのですが、綺麗に聞いていただく事がステージの在り方なのかなって思ったときに、「それだけじゃないよな」と。一緒に楽しんでもらう空間を作るのも大事だと感じるようになってからは「ライブコンサート」と言うようになりました。

その楽しんでもらう空間を作るために、どうやって自分が[showup]すればいいのか色々と考えて曲のアレンジも変えています。そうやって曲も私自身も[grow up]してきました。それを皆さんに聞いていただくからには、[power up]させた音源が必要だろうと思って、アルバムを制作していきました。

――だから新録の曲もたくさん収録されているんですね。

はい。それから、今までの軌跡をたどって形に残すことによって、新たな[step up]ができたらいいなとも思ったんです。お話しているように、アルバムを制作していく段階ですべてに対して[UP]という言葉が付いてきたんですよね。だからアルバムのタイトルも素直に『UP!!!!』にしました。

――「!」が4つ付いているのにはどんな理由が?

絶対に聞いていただけると思っていました(笑)。これは14周年だからです。

――だから4つ!

そうなんですよ。作っていくなかで、いま現在を表すものがないということに気が付いて。だから「4」という数字をどうしても取り入れたくて、こっそり4つ付けました。来年何かをだすときは5つ付けているかもしれません(笑)。

●命が続く限りは求めていただけるよう、頑張りたい

○■「アルメリア」の弾き語りに込めた「これから」

――先ほどお話のなかにもありましたが、今回のアルバムは過去に発表された楽曲をアレンジして[UPDATE]されています。レコーディングはいかがでしたか?

まずレコーディング前の段階では10年以上ぶりにボーカルを入れる曲もあるので、どう表現するのが正しいのかなという戸惑いがありました。まだボイストレーニングもまともに通っていないときにデビューが決まったので、初期のころの歌は本当に何物でもない、まっさらな状態の歌い方なんですよね。

でもいまは様々な経験を経て、アプローチの仕方も多少は色々な方向にできるようになりました。喉や声の使い方、地声なのかファルセットなのかミドルなのか。それを自覚しながら歌うかどうかだけでも歌い方って変わってくると思うんです。

――なるほど。

当時の歌い方と今の歌い方ではどっちがいいのか……アプローチの仕方に悩みました。ただ、アレンジ自体が変わっていますし、やっぱりライブコンサートで披露してアップデートした、皆さんと一緒に育てた楽曲をレコーディングしたくて……。

だからこそ、今回はライブコンサートで実際に歌わせていただいているときのテンション感を思い出しながらレコーディングもしました。ライブコンサートのバンドメンバーやいつもアレンジを担当してくださっているMEGさんと一緒だったということもあり、楽しく収録できました。

――一方でDISC-2には牧野さんがピアノも担当された楽曲が当時の音源のまま多数収録されています。

ピアノが印象的な楽曲を一枚のアルバムに収めてみました。私の音楽プレーヤーのプレイリストに自分がピアノを弾いている曲だけを集めたものがあるんです。それを聞いてみてくれませんか、という感じで今回の曲順を組みました。一度こういうことをやってみたかったんです。私の「これまで」が詰まっています。

――以前にご自身で演奏されたピアノの音を聞きながらセレクトするときはどんなお気持ちでしたか?

最初は客観的に作品をみられなくて正直、「どうしようか」という不安がありました。というのも、何にも捉われず自分の作品をみることがなかなかできなくて。作品の良さではなく、「時代感がこうだな」とか「この時はこの弾き方にこだわっていたのね」とか、そういう細かいテクニックがどうしても気になっちゃったんです。

――それぞれに思い入れもありますよね。

そうですね。映画『Love Letter』のオリジナルサウンドトラックに収録されている「A WINTER STORY」という曲は私が8歳のときに弾いた音源が収録されています。そう考えると「うーん」と頭を悩ませてしまうこともありましたが、意識的に「客観的に作品を捉える!」と思うようになってからは、バランスよくセレクトができた気がします。

さきほど思い入れとおっしゃっていただきましたが、DISC-2は特に楽曲を聴いて、作品の風景やご自身の思い出などを振り返っていただければ、という想いで最終的にセレクトしました。TVアニメ『ARIA』シリーズの挿入歌は、作品でも感動的な場面で使っていただいたので、思い出す方も多いんじゃないかな。

――DISC-2のなかにも1曲新録されている曲がございますね。

「アルメリア」の弾き語りですね。この曲は「これまで」だけじゃなくて、「これから」も大事にしたいなと思って収録した曲になります。DISC-1にも7曲アップデートした楽曲を収録していますが、ピアノでも「これから」の私をお見せできればと思い、「アルメリア」の弾き語りを新録しました。この曲の弾き語りアレンジに関してはずっと前から完成はしていたんですよ。

――そうなんですね。

はい。ただ、なかなか披露するタイミングがなくて……。そうしていくうちに、逆にこれだけ長く手に持っていたなら、よりよい機会に出したいと思うようになって。それから今回のアルバムを作るとなったときに、「これから」の私を知っていただくのに「アルメリア」の弾き語りを新録するのがいいだろうと思い、収録をしました。いちばんよいタイミングで発表できてうれしく思っています。

――ピアノ面に関するいまの牧野さんが「アルメリア」に詰まっている。

そうですね。

○■今でもピアノが「嫌」になります、でも好きなことだから

――以前のインタビューでは、ピアノが嫌になったこともあったとおっしゃっていましたね。

いまでも嫌になることはありますよ。私、辛くなると「向いてないわ」ってすぐに思っちゃうんですよね。ピアノの練習で行き詰ったりとか、歌っていて決まらないときとか、踊っていて振り付けを覚えられないとか「向いてない」ってすぐに言っちゃう。究極のネガティブ思考なんですよ(笑)。こうやって「向いていない」と言ってガス抜きをしつつ、結局、最後はやるんですけどね。

――なんだかんだ言って最後はやろうとする。

お仕事ですし、やっぱり好きなことなので。あとは作ってくださった方々のことを考えるとやるしかないんですよね。私が歌うために曲を作ってくださる方、アレンジしてくださる方、そんなみなさんが割いてくださった時間が無駄にならないよう最終的に形にできるのはどう考えても自分しかいないんです。それなら最高の形で出すしかリスペクトの方法ってないじゃないですか。

ダンスだってそうです。本番で振り付けを間違えたときに誰が悲しむのか、誰に対して失礼なのか……それは振りを作ってくださった先生です。お客さんは正解・不正解では見ていない、その場では最高のパフォーマンスができているかを見てくださっていると思います。もちろん、声のお仕事も同じ。色々な方々が作ってくださったものを最終的に声として伝えるツールになれるのは自分しかないんですよね。

――正直に言って、めっちゃ感動しました。

えっ(笑)。

――牧野さんのプロ意識、製作者の方々をリスペクトするという気持ち、そして、さりげなく「好きなことなので」とおっしゃったのが心に刺さりました。

ありがとうございます(笑)。ただ、辞めたいと思う瞬間なんて今でもたくさんありますよ



――私もこの仕事を辞めたいと思ったことなんて、たくさんあります。

締め切り前とかでしょ?

――そうですね。あとは気合を入れた原稿のチェックが赤字だらけだったときは泣きそうになります。

それ、うちだったらごめんなさい(笑)。ただ、インタビューでうまく言えないことがあったらどうしても「ごめんなさい!」という気持ちでチェックを入れてしまうことが、たまーにですがありまして……。

――それで大丈夫です! もちろん赤字だらけの原稿が戻ってきたとき最初は泣きそうになりますし、凹みますが、最終的には自分の至らないところを指摘していただいたこの赤字には感謝しないといけないと思うんですよね。この指摘があるからよりよい形になることもあるし、次にもつながる。

めっちゃ刺さりました! そのお話と同じようなことと言いますか、今回のアルバムのDisc-1に関しては、まさにお客さんとのやり取りのなかで変わっていったものかもしれません。お客さんは赤字では返してきませんが、ライブコンサートの際に毎回実施するアンケートで様々なご意見・ご要望を書いてくださるんです。中には紙に収まりきらないくらいぎっしり書いて下さる方も。

私はアンケートにはすべて目を通すんです。そのご意見を元にセットリストを組んだり、ライブコンサートでのアレンジを変えたりもしてきました。今回のアルバムもそういうファンの皆さんからのご意見で育ってきた楽曲たちの一部が詰まったものなんです。

――そういう意味では昨年セレクトアルバムを出していたら違うセットリストになっていた?

そう思います。昨年リリースしていたらアップデートにはなっていなかったかも。自分が喉を傷めたということもあったので。パワーアップできない状態ではアップデートはしたくないので、そもそも話があってもセレクトアルバム自体作っていなかったと思います。

――今だからこそのアップデート。

そうですね。

――そんなアップデートした楽曲たちをひっさげて6月1日・2日に東京・山野ホールにてライブコンサートを行われます。こちらはどのような内容になる予定ですか?

まだ決まっていない部分が多々ありますが、「アルバムを買う意味がなかったじゃん!」と思うようなライブコンサートにはなりません。確実にヘビロテしていただいたほうがいいというものにしようとは思っています、

――ということは、弾き語りに期待してもいい?

と、いうことになってきますよね! ただ、まだ詳しいことは決まっていませんので、それは今後の発表をお楽しみに、ということで(笑)。

――楽しみにしておきます! 最後に牧野さんの今後の目標について語っていただければと思います。本当にありがたいことに、最近は2daysでやらせていただける機会が多いんです。

ただ、中には「遠方だから断念せざる得なかった」という方もいらっしゃって……。だから、東京よりは小さい規模になったとしても、東京以外の場所でもライブコンサートをしたいですね。あと、昨年は個人名義で行けなかった海外でもライブコンサートができたらいいなと思っています。

――ライブコンサートはずっと続けていきたい?

そうですね。私、数年前まで「ライブが怖い」と震えていたんです。小さいころから続けてきたピアノ。その発表会などで私の演奏を聴いてくださるのは審査員の方々だったんです。だからライブやコンサートでも「点数を付けられるかも」という考えがどうしてもあって……。来てくださる方々は審査員じゃないとは理解していても、その感覚が抜けきれなかった。

ただ、「ライブコンサート」という形式でお客さんと曲のなかで対話するようになってからは、一緒に曲を育てていくことってできるし、それがすごく楽しいことだと実感できるようになったんです。今では「聞きたい」と求めていただけることは何て幸せなことなんだろうという考え方に変わりました。だから、早く作品を作って、早くライブコンサートをしたいと思っています。

――求められる限りはアーティスト活動を続けていく?

そうですね。命が続く限りは求めていただけるよう、頑張りたいと思います。

●牧野由依ニューアルバム『UP!!!!』

価格:5,000円(税抜)

【Disc-1】

1. Brand-new Sky〔UPDATE〕★

2. ワールドツアー〔UPDATE〕★

3. synchronicity〔UPDATE〕★

4. 囁きは“Crescendo” 〔UPDATE〕★

5. Zipper <pal@pop feat.牧野由依>

6. ふわふわ♪

7. secret melody〔UPDATE〕★

8. Reset

9. 夏休みの宿題〔UPDATE〕★

10. ハウリング

11. Cluster〔UPDATE〕★

【Disc-2】

1. A WINTER STORY

2. きみの選ぶみち

3. 横顔

4. シンフォニー

5. 雨の日の噴水

6. 今日も1日大好きでした。

7. Precious

8. 碧の香り

9. you are my love

10. アムリタ−弾き語り−

11. アルメリア−弾き語り−★

※★は新規音源

●牧野由依2days Live Concert公演概要

日程:

DAY 1 2019年6月1日 開場 17:30/開演 18:00

DAY 2 2019年6月2日 開場 15:30/開演 16:00

会場:東京・山野ホール

チケット料金:全席指定 6,480円(税込)

チケット一般発売日:4月27日