安い新iPad mini登場 アップルの潮目は変わった
2015年以来、約3年半ぶりとなる新型iPad mini(第5世代)がついに登場しました。iPhone XSと同じ高性能なA12 Bionicや、目に優しいTrue Tone対応のRetina液晶も搭載。旧世代とはいえApple Pencilにも対応し、高度な手書き入力も可能となっています。

それでいて価格は税別で4万5800円(Wi-Fi・64GBモデル)。3年半前に発売されたiPad mini 4(4万2800円)に比べるとやや割高ですが、iPad mini 4は当時最新のiPhone 6sより1世代古いA8プロセッサを採用していましたし、当時は今ほどスマートフォンが高価ではなかった時代。平成も終わる今、4万円台半ばという価格は「安い」と感じざるを得ません。

また、発表タイミングも異例です。アップルは3月25日に「It Show Time」と題したスペシャルイベントを開催予定。そこで、新たな動画配信サービスとともに、新iPadを発表するものと思われていました。しかし今回、iPadを前倒しで発表したことで、スペシャルイベントは動画配信などサービスに特化したものとなる見通しです。

サービスへのシフトが鮮明に


こうした背景には、潮目の変化があります。中国市場の減速、そしてスマートフォンの成熟化で、消費者は1・2世代前のiPhoneでも機能的に満足するようになり、ハードウェア販売が伸びづらくなっています。

そんな中でアップルは「モノ」から「サービス」へシフトしているようです。ここ数年の「高級路線」から一転、iOS端末を安く販売し、アップル経済圏を拡大させサービスで稼ぐ方針に切り替えているように見えます。ハードをサイレントで発表し、スペシャルイベントでサービスを発表するのはその表れです。

4万円台で買える新型iPad miniですが、先代のiPad mini 4比でグラフィックス性能が9倍に向上し、スマートフォン向けのリッチな3Dゲームも快適に動作します。ゲームプラットフォームとしてのiOSを地位を間違いなく高めるでしょう。また、TrueToneに対応し、常に目に優しい色温度となった7.9インチ液晶は、アップルが3月25日に発表する新しい動画配信サービスとの親和性も期待できます。

新型iPad miniは3月30日に発売される予定です。 ​​​​