医者に「薬を減らして」と言うと喜ぶ理由
※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです。
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「薬を減らしてください」と言うと医者が喜ぶ理由
(※1)医師に症状がうまく伝わらず、別の病院を再度受診した場合(3割負担)
■言いづらいことは、受診メモに記す
薬を減らしたいときは、どのように医師に伝えればいいだろうか。長尾クリニック院長の長尾和宏氏は、「薬は最低限にしてほしい」と受診の際に医師にはっきり伝えることが大事だと語る。
「よく誤解されますが、薬をたくさん出したから医師が儲かるわけではない。むしろ7種類以上の薬を出すと処方せん料も処方料も安くなります(※2)」(長尾氏)
(※2) 7種類以上の薬を処方すると、処方せん料680円⇒400円、処方料420円⇒290円になる。
患者の側から言い出しづらいときは、「受診メモ」に書くのも手。
「医師に聞きたいことをメモしてくる患者さんはよくいます。それを医師に渡す用に書いてもらえるとありがたいです。間違い防止、漏れ防止にもなります」(同)
病院へ行けば、初診なら問診票に記入することが求められる。たとえそれと重なる内容であっても、既往歴や診てほしい症状と経過、現在治療中の病気や薬などを整理して医師に提示することは、正確な診療につながるし、結果として時間とお金の節約にもなるという。
「5項目までの簡潔な箇条書きにまとめるのがポイントです。何十ページにもわたるレポートや過去20年分の健康診断データを見せられても、それをチェックする時間はありません。患者さんにとって一番知りたいこと、一番医師にやってほしいことを最優先にメモしていただければ」(同)
長尾氏がこれまで「ありがたかった」と振り返るのは患者から渡された次のようなメモだ。
「○○という薬は余っているので、いつもは1カ月分出してもらっているけど20日分で大丈夫です」
■患者にとっては「薬代の節約」になる
患者にとっては薬代の節約になる。医師にとっては患者がきちんと薬を服用しているかの確認ができ、時間が節約できる分、病気の現状について説明したり、家での養生法を伝えることもできる。
「お薬手帳も医師にとっては重要な情報源になります。例えば、3つの医療機関にかかっているのにそれを言わない人がいます。でもお薬手帳を見れば、ほかに通院中の病院があることがわかる。それなのに、持ってこない人が多い。病院へ行くときは、お薬手帳を必ず携行して受付で問診表と一緒に出してください」(同)
患者が医師とのコミュニケーションを円滑にしたいと考えるなら、信頼できる「かかりつけ医」を見つけることも重要だ。複数世代にわたって家族で通っているかかりつけ医があればより理想的。あらかじめ家系としての既往歴を把握してもらえ、生活習慣や体質なども理解してもらえる。
そこまで長い付き合いでなくても、いつも頼れるかかりつけ医がいれば、「花粉症と風邪を併発しやすいので、早めに対策しておいたほうがいい」などと未然の対応が可能になる。
「よく『近くにいい医師がいないんです』と相談されることがあります。私の答えは『必ずいますから、探してください』です。多くの人は、困った状況になってから慌てて医師を探し始めます。それでは、すぐに見つけることは難しいでしょう」(同)
ではどのようにすれば“いい”かかりつけ医を見つけられるのか。
「風邪をひいたときがチャンスです。風邪を口実に、気になっていた医師にかかってみる。そこで少し無駄話もしてみて、どんな対応をしてくれるか、相性がいいかどうかを確かめます。多少顔なじみになったら『先生、困ったときには往診もしてくれますか?』と聞いてください。表立って往診すると書いてなくとも、よく診ている患者ならしてくれる医師は多いと思いますよ」(同)
結論:病院には受診メモとお薬手帳を持参する
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医師、長尾クリニック院長
1984年東京医科大学卒業、大阪大学第二内科入局。95年長尾クリニック開業。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、指導医。『その医者のかかり方は損です』など著書多数。
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(小澤 啓司 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)