松坂投手の悲劇を防ぐために北谷球場ですべきことは?
先月の沖縄キャンプ中に、松坂大輔投手がファンとの接触で右肩を痛めるというアクシデントがありました。今後、このような事故を防ぐためにはどうすればよいのでしょう?3月16日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、現場となった北谷公園野球場(以下、北谷球場)について、野球解説者の山田久志さんが提言を投げかけました。聞き手は若狭敬一アナウンサーです。
恐怖を感じたイチロー選手の周囲
「残念なニュースでしたね。こればっかりはファンも責めれないし、本人も責めれないし。さて、じゃあどうするんだ?今までそういうアクシデントが起きなかったのがおかしいくらい、ファンとの距離に親密さがあったもんね」
スーパースターがもみくちゃにされるシーンを見てきたそうです。
「私が一番恐怖を感じたのはイチローだったね。イチローは普通の野球選手の感じとは違ってたよ。タレントを追っかけるみたいな」
オリックス時代のイチロー選手はアイドル並み。黄色い声援の群衆が、イチロー選手の動く方へ動く、または先回りする状況だったそうです。
「凄いを通り越して恐怖を感じた。大丈夫かなっていう」
人気選手は誰もが経験?
若狭「これまでもファンとの接触は当然ありますよね。肩、肘がぶつかる、足を引っ張られるのも恐らくあったでしょうね」
山田「ほとんどの選手がやられてるんじゃないかなあ。人気選手は経験あるんじゃないかな?」
若狭「失礼しました!阪急時代の大エース・山田さんも、そりゃあ現役時代は凄かったでしょう」
山田「それを言って欲しかったんだよ!」
若狭「大事な右肩、右肘、指先 、大丈夫でしたか?」
山田「全然大丈夫」
優勝シーンと言えば…
「当時、我々の時はリーグ優勝とかしたら、ファンがグランドになだれ込んで来るんだ」と振り返る山田さん。
そのような光景を1974年(昭和49年)、中日ドラゴンズのリーグ優勝時のVTRで見たという若狭アナ。
最後はサードライナーで、星野仙一さんと木俣達彦さんが抱き合い、ナゴヤ球場にファンがなだれ込むという、ファンにはおなじみの映像です。
山田「あれ怪我はしないけど危ないんですよ。私も何回も経験あるけど、怖いんです。選手はまだまだ喜びでバーッと盛り上がってるけども、ファンは興奮状態で普通じゃない。とにかく選手に触りたくて、バーッと殺到するんですよ」
ちょっとした振る舞いが炎上するネットの世となっても、こうしたファン心理は変わらないものなのでしょうか?
他球場の様子
山田「私、宮崎行ってたじゃないですか。ソフトバンク、オリックスそしてジャイアンツの3球団を見たら、導線、選手の動く導線は完全にカバーしてんだよね。お客さんが入らないように確保されている」
しかし中日が一軍キャンプで利用している北谷球場の場合、そうもいかない事情があります。
メイン球場からブルペン。メイン球場からサブグラウンド。その間に選手とファンが一緒になる場所があります。ここは車の行き来、自転車の行き来があるため、パイロンを立てたり、ポールで柵をしたりして導線を確保することが困難なのです。
他の球で場はファンと選手の間の距離が取られています。
かと言ってファンとのコミュニケーションがまったくないわけではなく、声をかけられたら手を振ったりしていくそうです。
北谷球場では来年、どうすればいいのでしょうか?
「ブルペンをどっかに移動するしかないよね」と言う山田さんですが、それも無理です。
来年の課題
1996年から中日が使用している北谷球場。
常設ブルペンが現在の場所にできたのは、2017年12月25日と最近のことです。
「実は我々の時代から、それをお願いしてたのよ」と言う山田さん。
山田さんの監督時代は2002年、2003年でした。
当時は仮設ブルペンで、作っては壊す、ということを毎年繰り返していました。
いっそのこと常設にして、キャンプ以外の期間は一般にも使わせたらいいのでは?という話は何度もしていたそうです。
ようやく15年後にできた常設ブルペン。しかし今回、松坂選手がファンと接触する事故現場となってしまいました…。
「あのメイン球場からブルペンに移動する時に、そんなに長い時間はいらないんですよ。その時間帯だけ少しシャットアウトしてもらうとかね。だって移動するだけなら何分じゃない」
一時的な交通の遮断を提案する山田さん。
来年の課題です。なんとか球団も工夫するでしょうが、何よりファンの側も改めてモラルを持って接したいものです。
(尾関)