都市住民が移住し、農業支援など地域活動を行う国の「地域おこし協力隊」。これをモデルに独自の事業を展開する地方自治体が出てきた。兵庫県は来年度から定住を条件とせず、通勤を認める「県版協力隊」を始動。徳島県では外国人を対象にした取り組みを始める。国の協力隊と並行して展開して、さらに多彩な都市住民を地域に呼び込み、地域活性化につなげる。

 地域おこし協力隊は、総務省が2009年度から始めた。都市部の若者らが1〜3年間、過疎に悩む地方自治体に移り住み、地場産品の開発・販売・PRなどの地域おこし、農林水産業や住民の生活支援などを行う。

 県版の協力隊を立ち上げるのは兵庫県だ。国の協力隊は住民票の移動が必須だが、県版の場合は移住を条件としない。

 同県は「移住を求めないことでハードルを下げ、まずは集落に関わる関係人口を増やしたい」(地域振興課)と説明する。同県の場合は都市部と農村の距離が近く、通いでの活動も可能と判断したという。活動は、都市部と集落の交流活動の支援、耕作放棄地の防止や伝統の継承などを想定。報償費は国と同様の年間約200万円を予定している。

 徳島県は19年度予算に「外国人材による地域おこし活動推進事業」を盛り込み、4月以降、積極的に参加者を募っていく方針だ。日本国内に住民票がある外国人が対象で、国際感覚や多様な価値観を農山村での活動に生かしてもらいたい考え。同県は「海外へ農作物などの販路開拓や訪日外国人旅行者(インバウンド)対策を進めてほしい」(地域振興課)と期待する。