産山村ガイド本「取り扱いせつめい書」PDFより、以下同

こちらの画像は、熊本県産山(うぶやま)村のガイド本「取り扱いせつめい書」の一部だ。その中には、「ミミズのデカさがヘビ並」というページがあり、産山村に生息する巨大なミミズが紹介されている。

「えー?」という驚きと共に、なんともユーモラスな文章とイラストに引き寄せられる。まるで秘境のような産山村とは? 「取り扱いせつめい書」とは何だろう? 興味をかきたてられる。

Jタウンネット編集部は、産山村役場に電話で話を聞いた。その興味深い内容をご紹介しよう。

「水道水が名水百選」


池山水源(STA3816さん撮影、Wikimedia Commonsより)



「水道水が名水百選」というページがある。産山村の水道水の水源は、「池山水源」と呼ばれる湧き水で、昔から住民の貴重な飲料水、農業用水として利用されてきた。ここが環境省選定「名水百選」なのだ。「遠方から汲みに来る人もいますが、村では普通の水」と説明されている。



「自分ん家の標高が自慢」というページでは、「高さはタワーマンションの比じゃない」と煽っている。村は阿蘇外輪山に位置しているから、平均で500メートルから800メートル。高いところは1000メートル越えもあるらしい。標高を競い合う傾向が顕著だという。



「夏はオフィスに、クワガタがアポなし訪問」というページもある。なんとものんびりとした時間が流れている。アポなし訪問されても、ムシするだけだが......。

また、こんなページもあった。



「信号機が、ない」というページには、「本当にひとつもありません」とあるだけ、イラストもなかった。

一時、「自虐」という表現方法がもてはやされたこともあった。だが、産山村の「取り扱いせつめい書」は自虐とはちょっと違う。毒がない。風刺もない。ユーモラスに事実をたんたんと伝えているのみである。

「このトリセツの狙いは何なのでしょう?」と、村役場担当者に聞いてみた。

「観光客や移住希望者に読んでもらって、産山村を知っていただきたいと思います」と担当者。「移住者は増えているのですか?」と聞くと、「数は少ないですが、徐々に増えています」とのこと。



「お小遣い稼ぎは、イノシシのしっぽ」というページもあった。害獣駆除の証拠となるモノを役場に提出すれば、謝礼金がもらえるらしい。

産山村は、熊本県の北東部、九重連山地域の高原に位置する、人口約2000人の小さな村だ。興味深いと感じた人は、訪ねてみてはどうだろう。


熊本県産山村、「牛馬優先」の看板(Miya.mさん撮影、Wikimedia Commonsより)