35歳男性、育休申請したら上司から「出世は諦めろ」と言われました

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育児休暇を取る父親たち

「パパ休暇」をご存知ですか?

〔photo〕iStock

パパが取得できる育児休業制度ですが、先日、イクメン二人と食事をする機会があり、パパの育休について考えさせられることがあったので、取り上げてみたいと思います。

イクメンの一人は、2度の育休取得経験のある会社員の高田海都さん(仮名・36歳)、もう一人は一年前に会社で初めて育休を取ったという大沢瑛太さん(仮名・35歳)です。

筆者は、はるか昔の2度の出産時のことを思い出しながら、「大変だったでしょう?」と聞くと、「想像以上に大変だったけど、育児に関わらなければ知ることのなかった世界だった。とても良い経験をした」「子どもは可愛いしい、夫婦喧嘩もしたけど、結果的に信頼関係が強くなった」というポジティブな感想を聞けた一方、とても残念な話もありました。男性が育児休暇を取ることについて考えてみたいと思います。

「パパ休暇」を2回取得した36歳男性のケース

一般に「パパ休暇」と呼ばれている制度は、ママの産後休業期間中(出産後8週間以内)にパパが育休を取得していても、再度、育児休業を取得できるというものです。

高田さんは2度目の育休の時、「パパ休暇」を2回取得し、出産後の妻をサポートし、さらに妻の職場復帰をサポートしたそうです。そして「パパ・ママ育休プラス」で育休期間を延長しました。

この特例は、両親がともに育休を取得する場合は、原則子供が1歳2ヶ月に達するまで育休期間が延長されます。子供の1歳の誕生日までにスタートしていること、ママ(パパ)の育休後にスタートすることが条件です。例えば、子どもが1歳2ヶ月になるまでママとパパが交代で切れ目なく取得したり、パパママが一緒に育休を取る期間があっても大丈夫です(※)。

(※)育児休業等可能日数365日から育児休業等取得日数(産前産後休業したに数+育児休業した日数)を差し引いた日数を経過するまでを育児休業期間とする。つまり、産前産後休業をしたママの場合は、その期間を含めた1年間が限度となる。パパママ育児プラスでの育休休業期間、子どもが1歳2ヶ月に達する日(誕生日の前日)までの期間のうち最大1年間(1年2ヶ月ではないことに注意!)、育児休業給付金を受けることができる。

立派なイクメンの高田さんですが、実は3年前、一人目の子どもが産まれる前は、「これまで通り仕事をして、休みの日に育児や家事を協力しよう」と考えていたそうです。

自身の母親もパートで仕事をしていましたが、家事と育児は母親の仕事、父親は残業や出張は当たり前、仕事最優先という役割分担があり、それが当たり前だと思っていたからです。

しかし、妻に、「どうして私だけが育児をしなくちゃいけないの?私だってキャリアアップして行きたいし、あなたと条件は同じじゃない」と言われ、確かにそうだなと思ったそうです。

しかし――。

「職場での理解は少ない」という現実

「出産前に散々話し合いをして、育休を取ることを約束しました。職場で育休を取得している先輩はいるにはいたのですが、奥さんが出産後に病気になったという特殊な事情でした。その中で育休を取るのは正直勇気がいりましたが、結果的には、上司の後押しもあり、3ヶ月間の育休を取りました」(高田さん)

そして、昨年、2度目の育休を取ったそうです。

しかし、今でも男性の育児休暇取得率は低く、職場での理解は少ないと感じているそうです。育休取得率は、H29年雇用均等基本調査でも、女性は83.2%、男性はわずか5.14%です。

高田さんも、職場で子育てを積極的にしていることを話すと、いまだに、「妻は一体何をしているんだ」ということを言われることがあるそうです。

高田さんは、育児をする中で、「人生の中で仕事も育児も同じくらい大事だ」と考えるようになったそうですが、そんな話を共有する雰囲気にはまだ程遠いそうです。

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35歳男性「育休を取るなら出世を諦めろ」

一年前に会社で初めて育休を取ったという大沢瑛太さんは、もっと辛い状況だと言います。

大沢さんご夫婦は、ともに地方出身で、近くに親や親戚はおらず、二人で協力するしかないと結婚当初から考えていました。夫婦で話し合い、育休を取ることを決めたと言います。

大沢さん自身、夫婦が互いに自分の人生、キャリアを考えて行く中で、「男性の育児への参加は不可欠。育児休業給付金があり経済的な損失も最小限にできるし、自分がロールモデルとなろう」と考えたと言います。しかし、職場で育児休暇を取ると伝えたところ、「取るなら出世は諦めろ」というようなことを言われたそうです。

大沢さんは、会社に対して疑念が湧き、育休後、仕事に対するポテンシャルが落ちていると言います。転職も考えているそうです。

男性の育休に理解が得られない実情

もちろん、法律では、上司、同僚による育児休業等の制度又は措置の申出・利用に関する言動によるハラスメントを防止する措置を義務付けられています。

しかし、実際には、なかなか男性の育休に理解が得られないのが実情のようです。女性の働きやすさをアピールしているような大手の企業でさえ、男性社員の育休はほんの数日という話も聞きます。

イクメンが多くなれば、女性の生き方も家族のあり方も変わってきます。パパが子育てに参加することで、子どもたちの可能性だって広がりそうです。育児に関わりたいと思っている男性は確実に増えていると思います。

ぜひ、男性の育児参加への理解を深め、パパ休暇の取りやすい社会にして頂ければと思います。

【育児休業制度とは】
まず、平成29年10月1日施行の改正育児・介護休業法の育児休業制度で、「子が1歳に達するまで(父母ともに育児休業を取得する場合は、子が1歳2か月に達するまでの間の1年間(パパ・ママ育休プラス)、申出により育児休業の取得が可能。また、産後8週間以内の期間に育児休業を取得した場合は、特別な事情がなくても申出により再度の育児休業取得が可能(パパ休暇)。1歳6か月に達した時点で、保育所に入れない等の場合に再度申出することにより、育児休業期間 を「最長2歳まで」延長できる(一定の条件を満たした有期契約労働者も取得可能)」となっています。
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