効率よくダイエットをするためには?(写真:よっしー/PIXTA)

「たくさん水を飲むほどやせる」

「水を飲めば代謝が上がってきれいになる」

世の中には、こう考えている人が少なくありません。芸能人をまねて、毎日2リットル以上の水を飲むのを日課にしている人も多いようです。しかし「水を飲むと、やせたり代謝が上がったりする」という話に残念ながら科学的根拠はありません。

拙著『1週間で体が変わる 食べながらやせるすごい方法』でも解説していますが、水を飲むと、やせたり代謝が上がったりするどころか、食前や食事中の水分摂取は、ダイエットには適しません。

咀嚼回数が減ると脂肪が燃えなくなる

食前や食事中に炭酸水を飲んで空腹を抑える、というダイエット法がありました。でも食前や食事中に大量に水分をとることを私はおすすめしていません。

飲みものを大量に飲みながら食事をすると、そのぶん咀嚼回数が減少します。これがダイエットを阻害する要因だからです。

まず、食前・食事中に水分を過剰に摂取すると、食べすぎ防止機能が働いてくれません。

咀嚼すると歯の根の部分にある「歯根膜」が刺激され、頬の筋肉も動きます。この2つの動きが信号で送られて脳を刺激し、ヒスタミンという物質が分泌されるのです。このヒスタミンは、満腹中枢を刺激して食欲を抑制する指令を出す役割があります。

糖質摂取によって血糖値が上がったときにも食欲抑制の指令は出されるのですが、咀嚼刺激のほうが早く脳に届くので、咀嚼回数を意識するほうが食べすぎを防止するには効果的です。

次に、過剰な水分摂取をすると、本来燃えるはずの脂肪も燃やせなくなります。

先述のヒスタミンは、交感神経を介して内臓脂肪を刺激・分解します。簡単に言えば「内臓脂肪を減少させる働きがある」ということです。

同様に、唾液に含まれるホルモンにも脂肪燃焼効果があります。成長ホルモンは脂肪燃焼の促進、筋肉や骨の強化、代謝コントロール効果など、ダイエットには見逃せない力を秘めており、このホルモンが成長ホルモンに似た働きをしてくれるのです。しかし年齢とともに成長ホルモンの分泌は減っていきますし、咀嚼しないとヒスタミンも分泌されないので、大人になるほど唾液分泌量の重要さが増すと言っても過言ではありません。

唾液は通常1日に1〜1.5リットルも分泌されますが、咀嚼回数が減ればそのぶん唾液の分泌量は減少します。食事のときに飲みものがないと喉を通りにくいという方は、唾液の分泌量減少を疑ってみましょう。

大量に水分をとるのをおすすめしないのには、さらなる理由があります。それは、消化に負担をかけることになるからです。

唾液にはアミラーゼという消化を助ける酵素が含まれています。アミラーゼはデンプンを消化しやすいマルトースという形に分解するのが仕事です。

しかしこの消化酵素は、噛まなければ当然分泌されないので、消化に負担がかかります。しかも食事中や食事前に水分をたくさんとると胃液などの消化酵素が薄まります。これが胃腸での消化に負担をかけて、ためこみ体質の要因となるのです。さらに体液も薄まり、体内のミネラルバランスが悪くなったり、低ナトリウム血症や水毒症でめまいや貧血を起こしたりするおそれまであります。

せっかくたくさん飲んでも徒労に終わることも

そもそも水分摂取の方法は飲みものを飲むことだけではありません。水分は大きく「飲料」「食事」そしてエネルギー代謝で生じる「代謝水」の3つから摂取しています。

食事での水分摂取に着目すると、150グラムのごはんからはおよそ90ミリリットル、みそ汁1杯からはおよそ200ミリリットル弱の水分がとれています。つまり1食のごはんとみそ汁だけで約300ミリリットルも水分がとれているのです。

さらに代謝水は1日300ミリリットルほどあり、多くの人が水やお茶やコーヒーからおよそ1.2リットル摂取できている状態。だから普通に生活するだけですでに約2.5リットルもの水分がとれているのです。


もちろん飲みものがだめというわけではありませんが、歯や唾液のパワーを有効活用しながら効率よく、体をこわさないダイエットをしてほしいというのが私の思いです。

そのためにも水分をとることに必死になるよりも、咀嚼力を意識するほうがダイエットには効くのです。理想はひと口20〜30回を目安に噛むこと。10回以下では唾液があまり分泌されませんし、30回以上を目標にすると噛むこと必死になってしまい食事の楽しさを味わえなくなるからです。

そこで、料理のときに少し素材を大きくカットする、硬めにゆでる、少し硬い食材を加える、食感が異なるものを組み合わせるなど小さな工夫をすると噛み応えがアップして、無理なく咀嚼回数を増やせるでしょう。