2月末にベトナムの首都ハノイで開かれた第2次米朝首脳会談で、米国のドナルド・トランプ大統領(写真)は、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長に非核化の意思がないことをようやく理解したという。ワシントンのある外交消息筋が13日(現地時間。以下同じ)に伝えた。

 金正恩委員長の非核化の意思が真剣なものかどうかについて、ホワイトハウスのジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)やマイク・ポンペオ国務長官などトランプ大統領の中心的な北朝鮮政策ブレーンは、既に懐疑的な見方を示していた。トランプ大統領自身には「もしや」という期待が少しはあったが、ハノイでの金正恩委員長の反応を見て、完全に期待を捨てたという。ブレーン陣は皆理解している事実をトランプ大統領が初めて受け入れたのが、ハノイの最大の成果だ?と複数の消息筋が伝えた。

 決定的な契機は、制裁解除と寧辺核施設を巡る金正恩委員長の態度だったという。金正恩委員長はハノイで、トランプ大統領に対し、制裁を解除してくれるよう強く要求した。ある外交消息筋は「米国側は、制裁解除はできないという立場を実務会談で北朝鮮側へはっきり伝えていたにもかかわらず、金正恩委員長が第2の代案すら準備しないまま首脳会談で制裁緩和ばかり押し付けてくるのを見て、かなりいぶかしく思った」と伝えた。

 複数の外交消息筋によると、トランプ政権では、金正恩委員長が「ハノイでトランプ大統領と向き合いさえすれば、どういう形であれ、制裁解除を引き出すことができるだろう」と誤った判断をしていた可能性が高いとみている。北朝鮮側が、トランプ大統領はこのところ米国内で政治的な危機に直面しているとみて、トランプ大統領にとっては「外交的成功」が必要な状況だから金正恩委員長の要求を簡単に聞き入れるだろうと錯覚したこともあり得る、というわけだ。会談で金正恩委員長は、制裁解除はできないとする米国の頑強な立場を確認して、いささか驚いている様子だった、という話もある。


 ワシントンのある北朝鮮専門家は「トランプ大統領のこうした判断の後、米国は北朝鮮制裁の引き締めに掛かるなど、シンガポール首脳会談前の原点に回帰する雰囲気」「トランプ政権は、金剛山観光や開城工業団地再開などは明白に制裁違反だという立場を内部で再確認した」と伝えた。ワシントンの別の専門家は「米国は、場が台無しになる可能性も念頭に置いて相当に準備しているらしい」と語った。

 ハノイ会談決裂後、連日続いている米国の強硬な北朝鮮向けメッセージは、こうした基調に由来するといわれている。ポンペオ国務長官は12日、テキサス州のKPRC2テレビのインタビューで「国連の(北朝鮮)制裁を履行することは極めて重要。米国は、全ての国がこれを最大限厳格に履行することを求めている」と語った。また国務省のスティーブン・ビーガン北朝鮮政策特別代表も、14日に国連安保理主要国の関係者らと、国連の北朝鮮制裁決議の完全な履行を保証するための努力をテーマに議論をする予定だ?と国務省が明かした。

 米国連邦議会上院では、追加の北朝鮮制裁まで注文している。米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」が13日に伝えたところによると、銀行委員会に所属するクリス・バン・ホーレン議員(民主党)は「北朝鮮と取引している第三国の金融機関を制裁し、国際社会の北朝鮮制裁網の穴を埋めなければならない」と語り、外交委員会に所属するマルコ・ルビオ議員(共和党)は「北朝鮮の違法な海上積み替えを助けている個人や機関に対する制裁を模索すべき」と語ったという。