アメリカ最大の小児科医の団体が、子供が親の言うことを聞かないときに、きちんと論理的に説明して聞かせるべきだという発表を行ったそうです。メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生は、体罰や言葉の罰を受けた子供の脳の発達についての研究からも、逆効果だということが裏付けられていると解説。親だけでなく周囲の大人も放置せず論理的に言い聞かすことの大切さを訴えています。

体罰の医学的結末とは?

子供は程度の差はあれ、みな未熟です。いたずらをする子もいます。親の言うことを聞かない子もいます。ときには悪い事をする子もいます。そんなとき、みなさんはどうしたらよいでしょうか。体罰を与えた方がよいでしょうか。あるいは、きちんと説明をして二度とやらないように話して聞かせる方がよいでしょうか。

アメリカ最大の小児科医の団体は、子供がそのようなことをやったときには、体罰ではなく、きちんと説明をして聞かせるべきとする推奨を最近発表しました。これはこれまでの研究結果から出た推奨です。体罰には長期的な効果が乏しく、神経心理的にも有害性もあることが判明したからです。

体罰だけでなく、言葉による罰も含めて、そのようなネガティブな結果となることが明らかになりました。言葉による罰には「おまえには生きている価値はない」「おまえは人間のクズだ」などがあります。人格を否定し、人間として修正不可能な言葉の暴力です。これらの罰には、子供にとって、いたずらや不良、反社会的行為を減らす効果には乏しいことがわかったのです。

体罰の医学的効果

体罰や言葉による罰を受けた子供の脳の発達を調べた研究があります。罰を受けた子供達の大脳皮質は薄くなっていました。罰を受けるとき、過剰なストレス反応によって副腎皮質ホルモンが血液中に大量に放出されることがその原因と考えられています。

大脳皮質は学習や記憶にとってとても大切ですので、体罰は学校の成績にも負の影響を与える可能性があります。成績が伸びない子供に対して、体罰や言葉での罰を与えると、成績にはむしろ逆効果になる可能性もあります。それよりも、子供のやる気を促すためには、コーチングなどによる動機付け法がよいと思います。

コーチングはスポーツから派生した実践的スキルです。プロのテニスプレーヤーやゴルフプレーヤーでも必ずコーチを雇っています。その理由はコーチングによってパフォーマンスが上がるからです。プロのスポーツ選手に対してプロのコーチは体罰や叱責を与えることはしません。日々の練習の中で、少しでも改善した点があればそこを褒めます。改善していない点に関しては、コーチは選手と一緒に考えて、どのように改善すべきかを模索していくのです。

子供のしつけは論理的な説明で

それでは子供のしつけはどうすればよいのでしょうか。それは論理的な説明です。一生懸命に何度も何度も繰り返し論理的な説明を行うのです。静かにすべき状況や場所で騒いだり暴れたりする子供に対して、論理的にその理由を伝えて説明するのです。わかりやすく説明すれば3歳の子供でもわかるのです。

問答無用でいきなり体罰を与えたり激しく暴力的な叱責をしたりするのは子供の将来にとって良くありません。脳の発達を阻害し学習や記憶の能力を低下させます。心理的なトラウマが将来の精神疾患のリスクを上げるのです。うつ病や不安神経症、摂食障害は家庭内暴力とのリンクが示唆されています。

最近の日本、特に都会でよく見られる風景として、子供が良くないことをやったときでも、周りにいる他人が全く関与していないことです。もちろんその際に体罰や言葉による暴力をすべきではありません。でも、論理的な説明をしてあげることは社会的に望ましいのです。そのような社会で育った子供たちはきっと賢く健康で性格の良い大人になると思います。

文献 ● Sege RD, et al. Effective Discipline to Raise Healthy Children. From the American Academy of Pediatrics Policy Statement. December 2018, VOLUPediatricsME 142, ISSUE 6.

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