三浦大知が2月から3月にかけて全国ツアー「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2018-2019 ONE END」を開催した。この記事では2月16日に日本武道館で行われた東京公演2日目の模様をレポートする。

3都市5公演行われた今回のツアーは、2018年後半のホールツアー「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2018 ONE END」の追加公演にあたるアリーナ公演。ホールツアーと比べてセットリストは若干の変更に留まったが、ステージセットは大きく変わり、360度客席に囲まれたセンターステージに。ステージ中央には昇降する円盤、その周りに客席側を向いてパートごとに分かれて位置するバンド勢も、回るわ、せり上がるわ、とにかく可動域の広い変化するステージだった。アリーナならではのダイナミックな絵や演出が終始繰り広げられ、客席は飽きる瞬間もなく釘付けとなった。


Courtesy of avex

”DMバンド”が奏でる荘厳なイントロに導かれて、三浦大知は黒いフードをかぶった状態でダンサーとともに静かに登場。暗闇にスポットが放たれて「Be Myself」を歌い出した瞬間、三浦の姿がステージ外周の仕切り紗幕に大映しになり、武道館はたちまち地鳴りのような大歓声に包まれた。冒頭からトップギアで歌い踊り、曲のクライマックスで紗幕が落とされると、さらなる歓声。

「『ONE END』ツアーへ皆さんようこそ!」と挨拶した三浦は、次の「Unlock」から率先してハンドクラップを煽り、パフォーマーのみならずアジテーターとしてもステージを牽引し始める。彼が円形ステージの上を歩き出せばその方向一帯から歓喜が沸き上がる様は、まごうことなきスター。その堂々たる存在感と、歌とダンスのクオリティに圧倒され、曲中の節々でも歓声が飛ぶのは、三浦大知のライブではおなじみの景色だ。優れたパフォーマンスやショーマンシップを称える、実直な姿勢のファンが彼にはついているとしみじみ思う。


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序盤の約30分はアッパーチューン続き。怒涛の群舞を浴びて見入っていると、6曲目の「Perfect Day Off」や「FEVER」「Can You See Our Flag Wavin In The Sky?」といった中盤から観客も手拍子や横振りで共に楽しんでいくパートに移行した。そしてオーディエンスを座らせて、バラード「ふれあうだけで 〜Always with you〜」、ギター弾き語り「世界」でしっとりとしたムードに染める。

ダンス要素と生音(バンド)要素が違和感なく融合するバランスの良さ、CD通りでないアドリブから生まれる熱狂、三浦大知のエンタテイナーっぷり。既に彼のライブの魅力として知られたところではあるが、このどれもがライブの度に洗練されレベルアップしていることに目を見張る。歌ひとつとっても、ここ数年でぐんと安定感が増し、強弱やピッチを完璧にコントロールできるようになったことで、より表現豊かに進化しているように思う。この歌声やバンドの音圧、ダンサーとの生身のセッションは、やはり現場でしか味わえないので、もしまだ三浦のライブを見たことがないという人がいたらぜひ会場で打ちのめされてほしい。そして、その興奮がやみつきになり「また見たい」と再び足が向いてしまうはずだ。

今回のツアータイトルに掲げた「ONE END」とは、「片方の端」「一端」のこと。このテーマについて本人は「僕たちと皆さんで片方の端をつかみ合って、僕たちが投げたボールをつかんで、このライブの一端を担ってもらって一緒にライブを作っていけたら」とMCで説明する。

カバーコーナーを経て、ライブは「DIVE!」から後半戦。続く「Cry & Fight」からダイナミズムを押し出した展開へ。ここで披露された「Blizzard」「EXCITE」は三浦のレパートリーにおけるアニメ映画、特撮ヒーローの主題歌となった楽曲だが、観客のレスポンスやタオル回しで場が一体となるため、ライブに欠かせないアンセムになりつつある。

個人的に、アルバム『球体』の曲は、独立したコンセプトを持っているがゆえに些かアンビエンスすぎるというか、どうしても浮いていた。レコ発ツアーでもないこうしたライブで、これまでの曲と並べてなじませるには無理がある。けれど、この異質さもライブ全体において良く作用しているように感じた。ファンがノリを封じて押し黙って没入する”見せどころ”にも、普通のポップスのライブから逸脱する”スパイス”にもなっているからだ。『球体』は三浦と全曲作詞作曲編曲を手がけたNaoymtによる壮大な実験プロジェクトだったが、結果的にアーティスト三浦大知をネクストレベルに押し上げるエポックメイキングな1作になった。願わくば、たまにまたああいった実験をして、自身の活動を、ポップスのフィールドを刺激してほしい。


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ソロデビューから14年が経つ三浦。様々な時期の曲を詰め込んだ今回のツアーだが、やはり「ONE END(片端)ずつつかんで観客とつながる」というテーマに基づいて、オーディエンスと一緒に楽しめる曲が多かったことが印象的だ。本編ラストスパートの「music」も、三浦のリードのもと場内にはハンドクラップやコーラスの大合唱がこだまし、笑顔が咲き乱れた。

ライブを締めくくる挨拶として、三浦は「今日はONE ENDのこちらからいろんなものを投げさせてもらったんですけど、それをキャッチするどころか皆さんからたくさんのものを投げ返してくれて、最高なライブを作ることができたんじゃないかなと思います。もらったものをしっかり離さないで、これからも歌って踊っていきたいと思いますので、これからも三浦大知を、三浦大知チームをよろしくお願いします!」とコメント。晴れやかな笑顔は、自分をぐるりと囲む観客と呼応し合った証でもあった。


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アンコールの最後を飾ったのは、曲名からして今回のテーマにぴったりな「Touch Me」。”ONE  END”同士がボールを投げて、受けて、投げ返して。三浦と観客の相互作用でひとつの橋を作り上げたような、相思相愛な熱狂に包まれた一夜だった。

※写真は2019年3月13日(水)大阪城ホールにて撮影されたものです。

【「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2018-2019 ONE END」セットリスト】
〜OPENING SE〜
1. Be Myself
2. Unlock
3. 硝子壜
4. Inside Your Head
5. (RE)PLAY
6. Perfect Day Off
7. FEVER
8. Can You See Our Flag Wavin In The Sky?
9. Breathless
10. ふれあうだけで 〜Always with you〜
11. 世界
12. カヴァーコーナー
13. DIVE!
14. Cry & Fight
15. 飛行船
16. Black Hole
17. Blizzard
18. EXCITE
19. music
20. Darkest Before Dawn

〜ENCORE〜
EN1. Anchor
EN2. Touch Me