画像:ピエール瀧 インスタグラム

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 ミュージシャン・俳優のピエール瀧容疑者が、世田谷区の自宅でコカインを吸引したとして逮捕された。

 そのニュースを見て「コカインは他の薬物に比べてハマりやすいです」と話す女性がいる。水田チカさん(仮名・30歳)だ。水田さんは10年ほど前までコカインを筆頭に様々な薬物を使用していたという。中でも特にハマったというのがコカインだったというが、そのきっかけは何だったのだろうか。

◆トランス系のパーティーをきっかけに

「最初のきっかけはクラブで行われる、トランス系のパーティーでした。当時は今に比べると様々な薬物が出回っていてMDMA、マジックマッシュルームなど色々ありました。初めは渋谷で買える合法の薬物を使用していたんですが、いまいち効果が悪くて。テンションが低かったりするとバッドトリップ(精神的に落ち込んだり、体調がわるくなること)したりするんです。それで吐いたりすることもあって、そんなときに友達に勧められたのがMDMAでした」

 MDMAとは覚醒剤のメタンフェタミンの芳香環にメチレンジオキシ基を導入した合成麻薬で、エクスタシーという通称で知られている。水田さんが行っていたトランス系のイベントでは、MDMAを使用する若者が非常に多かったという。

「最初にMDMAをやったとき、とにかく周りがキラキラ見えてテンションが上がっていくのが分かりました。その日からガッツリハマってしまいましたね。友達が紹介してくれた売人から購入し、毎週イベント前に購入していました。当時はLINEなどもなく売人とはメールでやり取りしていたのですが、薬物を初めてから被害妄想が激しくなってしまって。誰かにメールをチェックされるんじゃないかと常に怯えながら『玉』とか『×(バツ)』など、隠語でやり取りしていました」

 水田さんはそこから様々な薬物を試したという。

◆MDMAよりもコカインが体に合った

「MDMAだけじゃ効果が長時間持たないんです。トランスのイベントって一晩中踊った後、アフターパーティーといって朝から昼頃までやる他のクラブに流れるんですが、MDMAの効果はせいぜい5時間ほど。それを持続するために、途中で他の薬物を吸引していました。たとえば、今では違法になってしまった赤玉(正式名称エリミン錠、ニメタゼパムという睡眠導入剤の一種)や、ケタミン(アリルシクロヘキシルアミン系の解離性麻酔薬)などです。赤玉は脱力系で、ケタミンはシンナーのようなクラッとした感覚になるんです。

 色々混ぜている中でも特に私がハマったのがコカイン。コカインは鼻から吸引するのですが、テンションがめちゃくちゃ上がって身体が軽くなった気がするんです。あまりにも気持ちよくて、永遠に動ける気がしてしまうんです。だからそれ以降は、コカインに乗り換えました。マリファナも試してみたけれど、これは逆に動けなくなってしまうのでクラブには不向きでしたね」

◆気分の浮き沈みが激しくなり…

 それから2年ほどコカインを中心に薬物に溺れたという水田さん。その間の生活はどのようなものだったのだろうか。

「薬物をやるのは基本週末だけだったのですが、やっていない日でもとにかく浮き沈みが激しくて……。何もないときでも幻覚が見えるなどフラッシュバックを起こすこともよくありました。あとは当時、夜の仕事をしていたんですが、面接のときに異様にテンションがあがってしまい不採用になるのもしょっちゅう。
 多分、周りから見ても私が薬物をやっていることはバレバレだったんじゃないかな。あまりにも浮き沈みが激しいので、ケンカして疎遠になった友人もいますね」

 そんな水田さんがコカインをやめたきっかけは、経済面と、破滅していく友人を見たことだったそう。

「効き目が薄れてきたことが一つ。体が慣れてきてしまったのかな。2時間ほどで切れるようになったんです。いくらやっても効かなくなってお金ももったいないので、もうやめようかと考え始めました。あとは友人の影響が大きかったです。彼女は私よりも薬物にハマっていて、ある日窓からいきなり警察が侵入してきたと言っていました。その子は傍から見ても言動がおかしくて、話してる内容が支離滅裂。その様子を見たのも、やめるきっかけになりました」

 薬物の公訴時効は7年。10年経った今でも水田さんはいまだに使用していた頃のフラッシュバックの夢を見るという。薬物依存から立ち直るのには、長い時間がかかるのだ。<取材・文/折原ユウ>