大手銀行で初めて副業を解禁した新生銀行(C)日刊ゲンダイ

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「労働者は勤務時間以外において他の会社の業務に従事することができる」――。政府の働き方改革の推進により、これまで副業の禁止を規定していた厚労省の「モデル事業の規制」が改正され(2018年1月31日)、社員の副業を解禁する企業が増えてきた。

定年後の約40年間…“第二の人生”は今までと同じでいいのか

 総合人材サービスの「シンクタンク、パーソル総合研究所」(東京都港区・渋谷和久代表)が、今年の2月に発表した「副業の実態・意識調査」(大手企業など1641社の人事担当者に調査)によると、社員の副業を認めている企業は約50%。また現在、正社員の10.9%が副業を実施。さらに、1年以内に副業を開始する正社員は41.3%と、今後社員の副業が加速することを示している。

 大手企業の中で、副業解禁をいち早く実施したのがロート製薬だ。同社は16年4月から入社3年目以降の社員を対象に副業を解禁している。

「20代から50代の社員まで年齢はまちまちですが、現在80人が副業を実施しています。たとえば地元に帰り、社外の仲間と地ビールの会社を立ち上げた社員や、マーケティングの知識を生かし、大学で非常勤講師をやるなど副業の種類はまちまちです。隣で副業をやる同僚の話が刺激になり、副業を感化される社員も増えているようです。社員の地ビール会社は既に販売も始めています」(同社広報CSV推進部)

 大手銀行で初めて副業を解禁した新生銀行は、18年4月に開始後、同年11月からはグループ全体の社員まで対象にした。

「うちは入社1年目から副業を認めています。定年後再雇用で60歳を越えた社員もOKです。個人事業主型と他社雇用型の2つのパターンがあり、現在全体で43人が実施していますが、自分がオーナーとして会社を立ち上げる個人事業主型が多いですね」(IR広報部)

 最近副業をやる社員の話をよく聞くようになった、とパナソニックの幹部社員は言う。

「働き方改革のおかげで残業がない日や退社時間が早まり自由時間ができた。建築士の資格を持つ社員は専門学校の講師や、定年後の仕事につながる副業を選ぶ社員が多いですね。ただ、給与が高いので幹部社員は副業に後ろめたさがあるようです」

 副業は人脈を広げ、仕事の視野も広がる。本業のパフォーマンスも上げると評価され、今後さらに副業を解禁する企業は増えるだろう。ただ、武田薬品工業のように社員の副業の解禁を社内で検討した結果、見送っている企業もある。経済評論家の斉藤満氏が企業の副業解禁の背景はふたつあるとこう言う。

「ひとつは実質賃金の目減りで生活費が不足する分を、副業で補填してくれということです。またポスト不足のうえ、中途採用の外国人がポストを占め出世は難しくなるが、人手不足で辞められては困る。会社への忠誠心はいいから、辞めないで副業で稼いでくれということです」

 副業解禁の裏には人手不足への対応と、賃金上昇に歯止めをかける企業の論理が透けて見える。

 (ジャーナリスト・木野活明)