復活に向けて思いを語る生駒氏。取材は2時間超に及んだ

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 2019年1月21日、コンビニ大手のセブンイレブンとローソン、翌22日にはファミリーマートが8月末をもって18禁の成人誌の販売を取りやめると発表。

 成人誌を扱う各出版社が対応に追われるなか、中堅出版社の大洋図書は風俗情報誌『俺の旅』の休刊を決定。読者から“イコマ師匠”の愛称で呼ばれている生駒明編集長に休刊に至った経緯、同誌に対する思いを語ってもらった。

 すでに昨年1月からはミニストップが販売中止に踏み切っているが、これで主要コンビニチェーンから完全に消えることになったエロ本の未来とはーー。

◆コンビニ成人誌販売中止の発表から2日で休刊を決意

「事前連絡などはなく、私も一般の方と同じ1月21日にニュースで知りました。いつかこの日が来ると覚悟はしていましたが、正直なところ、なんだかんだいっても東京五輪以降の動きになると思ってたんです。だから、『このタイミングで!?』という驚きはありました」(生駒氏、以下同)

 だが、その2日後の同23日には雑誌を休刊することを決断する。

「『俺の旅』は書店よりコンビニ売りが中心で、売り上げの9割以上を占めていました。そのため、コンビニで販売できなくなった以上、休刊するしかなかったわけです」

 ちなみに創刊は‘03年。当時も成人誌が次々と休刊し、乱立状態にあった風俗情報誌も紙からネットに移行していた冬の時代だった。

 成人誌としては後発でありながらピーク時の‘07年には、最高発行部数の8万部を記録。その立役者こそ入社以来、『俺の旅』一筋で、2年目からは編集長を務めていた生駒氏にほかならない。

◆コンビニの判断は理解できる「文句を言うつもりはない」

「近年は部数も落ちており、苦戦を強いられていたのも事実です。死ぬまでやろうと思っていましたが、土俵際いっぱいで踏みとどまっていた状態でした。ちょうど平成も終わりを迎えますし、そう考えると潮時だったのかもしれません」

 成人誌販売取りやめを発表したコンビニにも「その判断に文句を言うつもりはない」と言う。

「女性や小さなお子さんも買い物に訪れる場所ですし、目に触れさせたくないと思うのは当然のこと。オリンピックに向けての対外的な配慮という点についても理解できます。コンビニには今まで取り扱ってくれた感謝の気持ちこそあれど、恨みつらみは一切ありません」

◆「これまでの思い出が走馬灯のように巡った」

 そう語る生駒氏の表情は責任と重圧から解放され、どこかスッキリしているように見える。

「もちろん、残念な気持ちはあります。でも、同時に割とやり切った気持ちもあるんです。ただ、休刊を決めるまでの2日間は眠れなくて、これまでの思い出が走馬灯のように巡っていましたけど(笑)」

 編集部には生駒氏1人しかおらず、編集長でありながら編集者として全国各地の風俗を取材。毎号収録されているご当地風俗のレアな情報は、彼が自らの足で得たものだ。

「地方出張の連続で取材だけで日本を3周分はしています(笑)。現在はフィナーレを迎える4月10日発売の『俺の旅』最終号の制作に集中していますが、今までの取材で集めたデータは膨大な量になります。これを眠らせておくのはもったいないこと。

 やり切ったとは言いましたが、あくまでそれはコンビニ雑誌としての『俺の旅』。ウェブや電子書籍などどういったものになるかは分かりませんが、時代に合った形で改めて発表できればと思っています。とはいえ、まだ具体的なことは何も決まっていない状態ですけど」

◆違う形でもいいから『俺の旅』を残したい

 それに向けて現在は最終号の作業と並行して、いろんな方の意見を聞いているとか。

 また、3月23日には都内で「コンビニから消える風俗情報誌の未来」というテーマの講演も予定しており、これまでの経験を生かして幅広く活動することも視野に入れている。

「私にとって『俺の旅』は家族なんです。形が変わろうとも残していきたいですし、今度は自分が恩返しする番。ぜひ実現させたいので、いいアイデアがあったら教えてください!」

 休刊で落ち込むどころか、次の一手に向けて怪気炎を上げる生駒氏。そんなイコマ師匠と『俺の旅』の今後の展開に注目したい。

【生駒明】
1973年、愛知県生まれ。全国各地の歓楽街に足に運び、地方の風俗情報にも精通。編集長を務める『俺の旅』最終号は4月10日発売予定
<TEXT/トシタカマサ>