mineoが目指すMVNOを超える新サービスとは? 決め手はユーザーとの共創だ

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MVNO(仮想移動体通信事業者)は、少し前までは「格安SIM」や「格安スマホ」など、あやしげな俗称で呼ばれていた時期があった。

しかし今では「○○モバイル」など、正規の「事業者名」が一般消費者にも認知されてきている。そうした変化にともない、以前は「月○○○円」といった選択から、各社の料金プランやサービスを比較して選択されるようにもなってきている。

MVNOはNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクの無線通信の回線設備を借り受けて通信サービスを提供している。自社で回線を所有してないため、通信インフラの開設やメンテナンスなどにかかるコストをカットできることから、格安なサービスが提供できる。


mineoの料金プラン


MVNOの安さをよく表している一例には、
・月々の通信量は3GB程度
・音声通話込み
これらを月2,000円以内で利用できるサービスなどがある。

一方デメリットもある。
回線を借り受けるの仕組みのため、大手通信事業者のような安定した通信速度は保証されていない点だ。つまり混雑時にはデータ通信が途切れたり、待ち時間が発生したりするケースもある。

MVNOの「安さ」には、このようなメリット・デメリットがある。

さらにMVNOの仕組みを理解した上で、契約しようと思っても、
・どうやって申し込めばよいのか?
・どうやって使い始めれば良いのか?
こうした「不安」をもっている人も多い。

MVNOの存在を知っている人は確かに増えたが、
実際に使い始めるまでの手順などの情報を知らない人もまだ多くからだ。

そこで携帯電話サービスmineo(マイネオ)を提供しているケイ・オプティコムでは、
初めてMVNOを使う人のための施策の充実に取り組んでいる。

今回は、このmineo(マイネオ)について取り上げてみたいと思う。


mineoは2014年にau回線を利用した「aプラン」からスタートした。
翌年の2015年9月にはドコモ回線を利用した「dプラン」の提供も開始する。
この結果、契約数は10万回線を突破した。




2つの通信回線が選べるmineoは、
2017年1月には50万回線に、
2018年4月には100万回線を突破する。
さらに同年の2018年は、ソフトバンク回線を利用した「Sプラン」も導入する。

これでmineoは、
トリプルキャリアMVNOという、強固な地盤固めを実現した。

2019年の今年2月18日の事業説明会によると、2019年1月の契約数は113万回線。
一時期に比べれば、成長は鈍化しているものの、契約数はまだ伸びている。

mineoの大きな成長は、
サービス開始当初、NTTドコモ回線ではなくau回線のMVNOであった点が大きい。

auのスマートフォンユーザーは、MVNOに乗り換えようとしても、auのスマートフォンは、NTTドコモの回線のMVNOでは利用できず、新しいスマートフォンを別途購入する必要があった。
しかしながらau回線を利用したMVNOであれば、今使っているauスマートフォンのSIMカードを差し替えることで利用可能となるのである。

サービス開始当初のmineoは、こうしたアーリーアダプター向けのMVNOサービスであったとも言える。
この利用者にとっての唯一無二の選択を背景に、mineoが起こした行動は「ファン(利用者)」とのコミュニケーションの場を構築していくことだ。


そしてファンともにサービスを生み出していく
「Fun with Fans!」
このブランドステートメントを掲げたのだ。

こうした関係性と環境は、ユーザー視点によるサービス開発を実現した。
さらに「マイネ王」では、詳しいユーザーとmineoスタッフが、初心者や利用者の問題を解決するというコミュニケーションの場も生まれた。

mineoは、このほかにもコラボイベントなども開催し、MVNOというサービスと使い方についての啓蒙活動も行っている。
その中で見えてきたのが、サービスは知っているが、
・今使っている通信事業者の解約や違約金はいくらか?
・今使っているスマートフォンがそのまま使えるのか?
など、乗り換えに関する不安だ。

mineoは、au回線とNTTドコモ回線の両サービスを開始していたことから、
・違約金が発生しない期間の説明
・mineoのAPN(携帯電話ネットワークの接続先を設定する項目)の設定の仕方
なども利用者に説明した。

さらにソフトバンク契約者にはSIMロック解除が可能なスマートフォンの説明も行っておる。しかし、こうした説明やサポートは、ユーザーにとっては、面倒な手続きも多く、ハードルが高いと受け止めてられるケースも多かった。

そこでスタートしたのが、ソフトバンク回線を利用したトリプルキャリアサービスだ。au、ドコモ、ソフトバンクの3つのサービスに対応することで
・mineoに乗り換える障壁をなくした
・低価格でスマートフォンを利用できる
まさにユーザー目線でのサービス提供である。

mineoは、
・ユーザー提案によりサービス開発
・乗り換えやすくなるトリプルキャリア対応
これらに加えて、対面で説明を聞きながら契約をしたい人向けに、
・mineoショップ
・mineo取扱店
これらを増やすことも続けている。





mineoは、こうしたサービスの拡充に加えて、新しい取り組み「共創戦略」を発表した。それはmineoのサービスづくりやサポートの手助けをするアンバサダー制度である。

アンバサダーの就任条件はそれぞれ異なる。
「共創アンバサダー」



mineoスタッフとともに販売戦略や事業の情報共有を行う。
やりがいのある制度であるが、事業に関する情報を得ることになるため、情報漏えいに繋がらないような契約を結んでの活動になるという。

「サポートアンバサダー」



ほかにはない戦略を生み出すことを目的としたサポートアンバサダーは、ライブチャットで初心者の初期設定をサポートする
自分の経験や得意分野でサポートできるが、専門スタッフではないためサポートの質を求められると難しい面もありそうだ。なお、サポートのようすはmineoスタッフも確認するということなので、mineoスタッフによるアフターケアも行われるという。

企業が、製品やサービスのコアなファンとの繋がりを強固にすることは、良い面もあるが、その近しい人物がなにかの拍子に “アンチ”に変わってしまうリスクもあるわけで、諸刃の剣でもあるようにも思う。これに関しては、企業と個人との距離感をどう構築していくか、mineoの動向を注視したいと思う。




さらにmineoは、新施策として、
・マジョリティー層に向けの、スマートフォンにSIMを挿して初期設定を終えた状態で出荷するサービス
・スマートフォンを受け取れるリアル店舗の拡大
、mineoのサービスを体験するプリペイドパックや無料レンタル、お試しパック
など「安心戦略」にも取り組んでいくという。

MVNOは、料金プラン以外のサービスが見えにくい。

しかしmineoは、これを打破すべく、新施策を実施する。
今後、ファンとの協創がどのような熱量で拡がっていくのか目が離せない。


執筆  mi2_303