歌手の槇原敬之が『なるみ・岡村の過ぎるTV』(テレビ朝日系)3月4日放送回に出演し、自身の代表曲の秘話を明かした。

 楽曲制作について、MCのナインティナイン岡村隆史から、「降りてくる派/降りてこない派」を尋ねられた槇原は、こう語る。

「『降りてくる』のなんか、そんなにないです。はっきり言えるのは、『世界にひとつだけの花』は降りてきました。

 あれはもうすごかった。たぶん、詞を書き上げるのに、30分かからなかった。そういうのが、たくさんあると嬉しいんだけど、2曲くらいしかないです(笑)」

 国民的大ヒット曲が、ごく短時間で生まれたことに驚いた岡村が、ほかの曲はどうかと質問すると、槇原はニヤリ。

「『どんなときも。』も降りてきました。『もう恋なんてしない』は絞り出した(笑)」

『もう恋なんてしない』は、ドラマ『子供が寝たあとで』(日本テレビ系)の主題歌として1992年5月に発売され、ミリオンセラーを記録した、槇原の代表曲である。

 岡村が「もう恋なんてしないって言わない」という歌詞の逆説的なオチについて尋ねると、槇原は「実はその歌詞にはストーリーがあるんですよ」と語り始めた。

「本当は『もう恋しない』という内容だったんですよ。その当時のプロデューサーに聴かせてみせたら、『う〜ん、なんかさ、救いがなさすぎるんだよね。これだと聞いている人が悲しすぎるじゃん』って言われて」

 当時は、まだ若干23才の槇原。プロデューサーの意見に納得できなかったが、しぶしぶ「わかりました」と言った。しかし、家に帰って冷静に考えてみると、その指摘がすっと腑に落ちたようで……。

「たしかに、『もう恋しない』ままだと、歌にせんでもええ感じはするな、と思って(笑)。最後のフレーズを付けたんです」

 そのエピソードを聞いた岡村は「よう考えたら長いし変ですよね。その分インパクトがあったけど。音楽って不思議やな」と、感心した様子だった。

 若い頃は「自分の体験ばかり曲にしていた」という槇原だが、『もう恋なんてしない』は、自身の体験ではないという。

『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)の2016年1月15日放送回でこう明かしている。

「いまでは『大プロデューサー』の本間昭光さんが、むかし僕のバンドのキーボードをやっててくれたんですけど、信じられない失恋をされまして。

 いわゆる、家に帰ってドアを開けたら、何もなかった系の。電話機以外、自分のものも何もないというパターンですよ」

 本間氏は、かつて「ポルノグラフィティ」に楽曲提供して成功させ、いまも「いきものがかり」などのサウンドプロデュースをおこなっている。

「それで、あまりにも可哀相すぎて『これはきっとツラかろう』と、その想いを歌にさせてもらって、励まそうと思ったんです。それが『もう恋なんてしない』です」

 作る方も聴く方も、名曲には思い出がつきもの。それにしても、「もう恋なんてしない」で終わらなくてよかった、絶対。