書き込み禁止のPDFでも追記ができる「AxelaNote」! オリジナル文書の変更ナシで修正できる実力を試してみた

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ビジネスシーンでMS Office書類に次いで利用が多いのはPDF書類だろう。
プレゼンテーションや製品の資料。請求書、校正原稿など、様々なビジネスシーンで使われている。

特に最近は、データに改ざんなどの防止で、追記や修正ができないように書き込み禁止したPDFの利用も増えている。

編集禁止のPDF書類を受けとり、修正や追記が必要な場合、一度、紙にプリントアウトして手書きでメモを入れるという人も多いが、なかにに印刷禁止の設定までされている書類もある、

書類によっては、どうしても注意事項などの注釈を入れたいケースもあるだけに、このようなPDF書類の扱いには困っている、という人も多いだろう。

そんな悩みを解決できるツールが、2019年2月11日に発売された「AxelaNote」(アクセラノート)というWindows用アプリだ。

AxelaNoteは、書き込み禁止、印刷禁止のPDFにも注釈を入れることができる画期的なアプリなのだ。


■首都大学東京発のベンチャー「TransRecog」が開発
AxelaNoteは、首都大学東京発のベンチャー企業「株式会社TransRecog」によって開発されたアプケーション。
すでにベータ版が2018年6月にリリースされていたが、このたびついに正規版発売のはこびとなった。

基本機能は無料で利用できるが、無料版は使える注釈の色やライン、図形の種類が限定されるなど制約がある。
フル機能を使うには、月額390円もしくは年額3900円のライセンスを購入する。

今回、筆者は月額390円のライセンスを購入して使い勝手を試してみた。


■ペンツールや図形、テキストで手軽に追記ができる!
まずAxelaNoteをインストールして、アプリケーションを起動しよいう。
すると、画面上に追加用のウィンドウが表示される。
追加用のウィンドウに追記したいPDFファイルをドラッグ&ドロップする。

するとAcrobat Reader DCで表示した文書の上に重なるように透明な画面が表示されるのだ。

あとは、マウスやタブレットペンなどで自由に追記していくだけだ。
・フリーハンドで書き込めるペンツール
・キーボードで入力して追記できるテキストボックス
これらに加え、
・矢印、四角形、円形などの描画アイテムも9種類(フル機能版の場合)
用意されている。

フル機能版は、さらにラインの太さや線の色も選べる。
追記する内容に応じて使い分ければ、より相手に伝わりやすくなりそうだ。

ひと通り使ってみた印象は、
・操作性は一般的な注釈ツールとほぼ同じ
・初心者でも迷うことはない
といったところ。
ただしテキストボックスの機能は、少々気になった。

入力するテキストのフォントサイズを大きめにすると、文字のフォルムが少し粗く見えることがあるのだ。ささいなことかもしれないが、人によっては、少し気になる点かもしれない。

追記したデータは、AxelaNote独自のaxl形式で保存できる。
原本のPDFはそのままなので、データ改ざんの心配もない。


PDFファイルが開かれたAcrobat Reader DCの画面の上にAxelaNoteが連携表示される。画面上部から描画アイテムのアイコンをクリックして注釈を入れることができる。



マウスやタブレットペンで手書きできるペンツール、文字を入力して追記するテキストボックスなどで注釈を入れられる。四角形や円形などの図形もあるので、強調したい範囲を囲むような使い方もでできる。



書き込んだデータは「.axl」という拡張子の独自のファイル形式で保存される。もちろん原本のPDFは書き換えられずそのままなので改ざんされる心配もない。



■追記と統合したPDFとしても出力可能だが……
AxelaNoteには、追記したデータと元の文書を統合して新規にPDF形式で出力する機能も搭載されている。

PDFの画質は、「低画質」「中画質」「高画質(標準)」「高画質(圧縮)」の4つの画質から選択できる。

しかし、実際に利用してみると思いがけない落とし穴にハマってしまった。
なんと出力したPDFが真っ黒になり、まったく表示できないのだ。

これには少々焦った。
公式サイトで公開されている操作手順書を確認してみると、そこには
「現バージョンはごく一部のビデオチップでPDF出力が正常に動作せず、PDFが黒くなることが確認されています」
という記述があった……。

ちなみに筆者が使用しているパソコンのビデオチップは、CPU内臓のインテルHD グラフィックス620だ。どちらかというと、ごくごく一般的なビデオチップのはずだが、残念ながら「ごく一部」に該当してしまったようだ。

筆者は今回月額払いのライセンスを購入したが、正常動作するかどうか不安な方は、まずは無料版を試してみることをおすすめしたい。


PDF出力機能は、高画質(標準)/高画質(圧縮)/中画質/低画質の4種類から選択可能。画質が高いほど出力するファイルサイズは大きくなる。



PDF出力機能で作成されたPDFファイルを表示してみると、真っ黒に……。筆者利用のパソコンに搭載されているビデオチップでは正常に動作しないようだ。



■今後のブラッシュアップに期待
AxelaNoteは、編集禁止のPDF書類でも追記ができるという点だけで、まさに画期的なアプリだといえる。

追記データは、
・独立したデータとして保存できる
・元の文書と統合したPDFとしても出力できる
この2点がすばらしい。

特に原本を書き換えないで、追記と修正が可能という点は、公的文書にも安心して使えるため、ビジネスシーンでのメリットは大きい。

しかし、一部のビデオチップではPDF出力機能が正常に動作しないという問題点あり、このあたりは早急に改善して欲しいところだ。

AxelaNoteは、今のところAcrobat Readerのみ対応ということだが、Chromeや画像ソフトなどへの対応も進めているという。
また、今後はさらにWord、PowerPointへの対応も計画中とのことなので、対象アプリの拡大とともに機能面でのブラッシュアップにも期待できそうだ。


●AxelaNote
・対応OS: Windows7/8.1/10(32bit/64bit)
・対応連動ソフト: Acrobat Reader DC(2019.010.20069で動作確認済み)
・入力デバイス:キーボード、マウス、画面入力(但しタブレットはWindows7未対応)
・価格:基本機能モードは無料。フル機能モードは月額390円、もしくは年額3900円。
・入手方法:下記URLよりダウンロード。
ライセンスも下記URLにて購入可能。

AxelaNote


執筆:しぶちん(ITライター)