難癖をつけて退職届を受け取ろうとしない上司までもが出現

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難癖をつけて退職届を受け取ろうとしない上司までもが出現

さまざまなハラスメントであふれ返る世の中。新たに今、問題視されているのが"ヤメハラ"。退職の手続きをした(しようとした)相手に最後の最後まで嫌がらせをしてくることだ。ねちっこい、その実態を聞いてみた!

■転職者が増え、新たな問題発生!

厚生労働省は、2015年4月の新入社員の約3人に1人が入社3年以内に離職したと発表。転職という選択が気軽になった印象だが、その分、新たな問題が増えているという。そこで『週刊プレイボーイ』が20、30代の転職経験者100名にアンケート調査を行なったところ、

「退職届を出したら『文字の大きさが非常識だ』『改行の位置がおかしい』などといろいろなイチャモンをつけてなかなか受理してくれなかった」(PR・27歳)

「辞める2週間前に半年先のプロジェクトメンバーに入れられた」(コンサル・35歳)

と退職を拒否される人や、

「退職を相談すると、部長から『もうこの業界ではやっていけないと覚悟しておけ』と言われた」(金融・30歳)

「これまでおごってもらった食事代や飲み代、自分が使った経費まで事細かに書いて『おまえを成長させるのにこれだけお金がかかってるんだ』と説教」(不動産・29歳)

と脅しに近いことをされるケースまで、さまざまな嫌がらせが横行していることが判明。

というわけで、現在、被害者が増えている"ヤメハラ"(会社を辞める人、辞めようとする人に対し、上司や先輩が行なうハラスメント)の実態を紹介していこう!

■精神的に追いつめるネチネチ系ヤメハラ

まずは精神的にくらいそうな"ネチネチ系ヤメハラ"から。

「まだ1ヵ月間の出勤が残る中で発表された席替え。自分の席は今まで共同使用していた席に追いやられた」(人材・35歳)

「辞めるまでの3ヵ月間、業務連絡のグループLINEにメッセージが届かなかった。不思議に思っていたが、自分を除いて新たにグループを作っていたようで、そこでやりとりしていたみたい。嫌がらせのため、あえて元のグループを残しておくように上司が裏で指示したんでしょう」(飲食・33歳)

また、こんな手の込んだヤメハラも。

「ヘッドハンティングされ、ライバル企業に役員として転職することになっていたのですが、私のウィキペディアが作成され『エリートだったが度重なるセクハラにより左遷』『クライアントへの重大な背徳行為により懲戒免職』など事実無根の情報がネット上で公開されていました」(IT・36歳)

かなり悪質......。さらに、まるで悪いことをしたかのような扱いを受ける人も。

「会議室を使って記者会見のような形で多くの上司たちの前に座らされ、なぜ辞めるのか、何が嫌だったのか2時間にわたり質問攻めにされた」(メーカー・28歳)

■肉体的にも追いつめるバイオレンス系ヤメハラ

ほかにも、ダイレクトに肉体にくるヤメハラもあった!!

「飲み会で『お世話になった○○さんに感謝の思いを酒の量で表すと?』と一気をさせられた。潰れるまで延々と飲まされて地獄だった」(商社・30歳)

これはかなり肉体的にツラそう。

「人手不足な状況だと知りながらも建設業から離れることに。最後の現場で地上20mの鉄骨の上に縛りつけられ、1時間放置されました」(建設・24歳)

これはもはや、ただのイジメでは!

■実は一番ツラいセクシャル系ヤメハラ

さらに、自分のプライバシーに関わる"セクシャル系ヤメハラ"も存在した。

「退職が決まった後の飲み会で『勤め先をアップデートするなら、彼女もアップデートしなきゃいけないよな』という謎の理論で、僕の携帯を使って勝手に彼女にお別れメールを送られた。しかも彼女があっさり受け入れ、そのまま破局」(マスコミ・28歳)

「送別会のカラオケで脱がされ、『退職祝いに後でパンツ買ってやるから!』とパンツを窓の外に投げられてしまいました。深夜にパンツも買えず、帰り道はノーパンで帰るハメに」(通信・27歳)

ほかにも、こんな辱めが行なわれていた。

「餞別(せんべつ)の品が、好きなAV女優の等身大抱き枕。女性の同僚に趣味がバレたし、そもそも持ち帰るのが恥ずかしかった」(医療・33歳)

「送別会からの帰り道、上司に『お別れのプレゼントだ』とデブ・熟女を売りにするソープランドに送り込まれました。おかげで変な性癖ができてしまうことに」(金融・29歳)

これからというときに、よけいな扉は開けないで!

* * *

このように"ヤメハラ"が横行しているのは事実だが、ビビッていても仕方がない。うまく退職するコツをビジネスコラムニストで『大人力検定』の著者・石原壮一郎氏に聞いた。

「ヤメハラは基本的に、自分のメンツを潰された上司の逆切れ行為。有効なのは、退職の希望を伝える前に、一度相談を挟むこと。自分を信頼して最初に相談をしてくれたということで、上司のメンツが保たれるので、ヤメハラを回避できるかもしれません。

その際、『私は去ったほうが会社のためだと思います』と自分をへり下るようにして、決して会社のせいだと言わないこともポイントです」

上手に段階を踏んで、次のステージへ勢いよく飛び出そう。

取材・文/菱山恵巳子 イラスト/福田嗣朗