3月5日開業 マルコメの100%子会社「魚沼醸造」

 ここ数年、スーパーマーケットで「甘酒」の売場が一気に拡大しています。その市場規模は過去15年で約9倍に成長(インテージSRI 全国:2002年4月〜2018年3月 マルコメ提供資料より)。中でも、米糀が主原料でアルコール0%の「糀甘酒」は、直近3年で約3倍と急激に売上げを伸ばしています。

 私も、昨年「糀甘酒デビュー」を果たした1人です。出会いは、8月の気温35℃の中でのマラソンイベントのサンプリングで飲んだ糀甘酒。疲れたカラダに染み渡っていく感覚があり、それ以来、ランやヨガの前後や仕事でクタクタで元気がないときに飲んでいます。

 実は糀甘酒は、食品でありながら、病院で使用される「栄養点滴」との成分構成がほぼ同じ。まさに「飲む点滴」です。近年の猛暑続きで注目が高まった「熱中症対策」としても幅広い層に支持され、酷暑を記録した2017年には、市場規模で酒粕甘酒を逆転しました。度々、テレビの情報番組にも取り上げられ、そのたびにスーパーマーケットから糀甘酒が消える!という事態が起きたほどです。

 そんな折、糀甘酒の主要メーカー、マルコメが、製品の安定供給のために100%子会社「魚沼醸造」を設立、世界最大級の新工場を開業したとのニュースが飛び込んで来ました。愛飲ユーザーとしても、自分の目で確かめねば!というわけで、3月5日の開業を前に、まだ雪降る魚沼の工場にお邪魔しました。

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おいしさの決め手は「魚沼の水」!

 魚沼醸造は、上野から上越新幹線で86分、日本屈指の豪雪地帯、新潟県魚沼市に位置します。最寄りのJR浦佐駅を降りた瞬間、思わず深呼吸。「空気がおいしい!」。この澄んだ空気がコシヒカリなど農産物をおいしくするんだと肌で感じました。

 迎えてくれたのは、伊藤竜也工場長。長年、マルコメで糀甘酒や、塩糀商品の製造に携わってきた「発酵食品の匠」です。それにしても、なぜここに新工場を? 伊藤工場長はその理由は「水」にあり、と教えてくれました。

「魚沼醸造で使う水は、水源である越後三山から高低差1900ⅿを流れ、伏流水となって湧き出たものなんです。全国42ヵ所の候補の中から、一番米に合う水が湧く場所、ということで決めました」(伊藤工場長)。

 米の発酵でうまみを引き出すのは軟水ですが、魚沼の水は硬度14の「超軟水」。とても水がおいしいのです。人体の7割は水分でできているくらいです。成人であれば毎日約3リットル摂取される水分の質は、健康を維持する上で非常に重要なことは言うまでもありません。新潟県が発表したデータでは、魚沼地方は、新潟県の中でも比較的疾患率が低いという結果もあるくらいです。この水質の良さが、立地選定の決め手となったわけですね。

米糀愛いっぱいの伊藤工場長です!

「体験型」糀カフェで、大人の社会科見学

 工場の内部は、「世界最大級」という機器など、最新設備が目白押し。機密情報も多く、お伝えし切れないのですが、特に驚いたのは長さ約18メートル、世界最大級という横型蒸米機。40分かけて原材料のお米をベルトコンベア状の機械で蒸し上げていきます。伊藤工場長いわく、糀甘酒づくりは「蒸しがカギ」。中までふっくらと蒸らし、米の甘さを引き出すには温度と時間の細かい調節が必要で、この新しい蒸米機でも何度も試作を繰り返して、ベストな条件を見つけたといいます。機械任せではできない、これまで味噌の醸造で培ったマルコメのノウハウです。

約18メートルある横型蒸米機

 もう1つの「世界最大級」は、蒸した米を米糀に変える作業を担う、円盤型製麹装置。蒸した米は、麹菌の生育に適した温度まで下げた後に、種付けと呼ばれる麹菌を付着させる工程を経てから速やかに製麹装置に敷きつめられます。直径16メートル、1周45分かけて、米を撹拌する、壮大な装置です。お米はここで約2日かけて麹菌を生育させることで、糀に生まれ変わります。この製麹装置は、見学コースから眺めることもできます。

 麹菌は雑菌に弱く、デリケート。そのため、これらの製造工程のほとんどが筒状の誘導装置内をインラインで移動し、ほぼ露出することがありません。温度、湿度などをコントロールしながら、最新&最高の設備で環境を保持しています。

世界最大級!の円盤型製麹装置

 工場内部とともに注目なのが、併設されたおしゃれなサロンスペース「魚沼 糀サロン」です。全面ガラス張り、越後三山が見渡せるスタイリッシュな空間です。米糀をイラストで学べる可動式のパネルなど「触って学ぶ」仕掛けが随所に施され、お土産にも最適な食にまつわる小物雑貨もそろいます。

 カフェメニューは、工場直送糀甘酒(cold/hot)、糀甘酒ジェラート、季節の糀甘酒スムージー、糀甘酒ソフトクリームなど。魚沼の豊かな自然を眺めながらいただけば、誰もが笑顔になれそうです!糀甘酒石鹸づくりや米糀に触れる体験などのワークショップも予定されているそう。

 さらにここには、雪国ならではの天然の冷蔵庫、「雪室」も設置されています。冬の間に降った雪を貯めておき、夏場に館内の温度調節に活用するそうです。48人収容のミニシアターでは、魚沼の自然が持つ魅力を映像で学べるなど、大人も楽しめるスポットになっています。

 食には「身土不二(しんどふじ)」という考えがあります。自分の生れ育ったその土地で生産されたものを食べてゆけば健康でいられるという意。ここに来れば、豊かな自然と、食の文化を感じられ、「ああ、ニッポン人でよかった」――そんな風に実感できます。甘酒だけでなく、身近な発酵食品にも興味がわくかもしれません。食は楽しんでこそ健康につながります!ぜひ、足を運んで、ご自身の体で感じてみてはいかがでしょうか。

魚沼 糀サロン

「自然の甘さ」はダイエットの常識

 最後に、糀甘酒の活用法や、お薦めの飲み方についてご紹介しましょう。

 魚沼醸造の黒岩由香子広報課長によると、今、糀甘酒は料理への活用も広がっているそうです。甘酒の自然な甘さは、砂糖の代替となる発酵甘味料として人気があるのです。実際、クックパッドで「糀甘酒」を検索すると、2000件近いつくレポが集まっています。味噌、醤油など和食調味料と相性が良く、加熱しても健康に良いことは変わりません。まだまだ活用法は広がり、消費者の支持も高まりそうです。

 私のオススメは、ずばり「朝甘酒」!ブドウ糖が含まれ、吸収が早いので午前中のパフォーマンスアップに最適。 糀甘酒ならアルコール0%だから赤ちゃんからシニアまでどなたでも召し上がれる朝食になります。レモンを絞って抗酸化と代謝力をプラスするのもお薦めです。<詳しい「甘酒のパワー活用術」は、こちらの記事で>

 飲んだり、食べたり、朝食代わりや、スポーツの後の疲労回復など、使えるシーンも多彩な糀甘酒。今後ますます人気が高まりそうです。