激安葬儀ビジネスを支える「派遣僧侶」のあきれた実態とは?

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 激安葬儀業者を支える歯車のひとつ。それが、「僧侶派遣サービス」だ。多くの激安葬儀業者では、寺院と付き合いがない利用者に対して、定額で僧侶派遣サービスを提供している。僧侶派遣サービスの相場は、通夜と葬式合わせて10万円前後。相場が20万円前後と言われる通常のお布施に比べると利用しやすく感じるが、問題は多々ある様子で……。

「派遣僧侶を頼んだら、『僕はどの宗派も読経できますから、どんどん派遣して下さい!』と自慢してくるお坊さんがいました。袈裟も全宗派のものを持っていると豪語しており、一気にありがたみが薄れてしまいましたね」(43歳・葬儀会社)

 こうした派遣僧侶の実態に対して、1級葬祭ディレクターの佐藤信顕氏は警鐘を鳴らす。

「昨今は、過疎化や檀家離れによって寺が弱体化するなか、食い扶持を稼ぐために派遣登録をする僧侶も少なくありません。真面目な人もいるんでしょうが、なかには『坊さんで一発当てるか!』という山っ気のある人も多いです。正直言って、普通の寺には勤められない、ワケアリ僧侶が多い印象があります」

 普通の僧侶ならまだいいが、なかには、僧侶であることを認められた証しである“僧籍”を持っていない者も存在するという。

「父の葬儀で派遣僧侶を利用。葬儀の後、僧侶にお礼の挨拶に行こうとしたら、なんと事前に聞いていた寺が実在せず、連絡が取れない状態になってしまいました。後で聞いたところ、その僧侶は僧籍すら持っていなかったことも発覚。もう何を信じてよいのやら……」(45歳・IT)

 僧籍のないお坊さんが派遣されてしまう激安葬儀の現状に、エンディングコンサルタントの佐々木悦子氏はこうアドバイスをする。

「僧籍は、お寺の推薦を受け、本山で修行した後にようやく得られるもの。葬儀にしても、あくまで修行の末に、師匠に認められた人だけが、僧侶として葬儀を行うことが可能になります。僧籍のないエセ僧侶にお経を上げてもらうくらいなら、僧侶を呼ばず、無宗教で葬儀を上げたほうがよいのではないでしょうか?」

 だが、問題があるのは僧侶側ばかりではない……。

「激安葬儀は、もともとお布施の金額が少ないのに、そこからさらに50%前後は業者に中抜きされてしまいます。手残りが少ないからこそ、まっとうな僧侶は寄りつきません。だから、僧侶の質がどんどん下がっていってしまうんです」(佐藤氏)

 なかには、5割どころか、7割ものマージンを、お布施から取る悪質な業者もいたという。激安葬儀業者による魔の手は、僧侶にまで及んでいるのだ。

【1級葬祭ディレクター・佐藤信顕氏】
東京で90年続く老舗葬儀社経営。テレビ、週刊誌への登場多数。葬儀に関する著書もある。登録者数4.7万人の葬儀葬式chを運営する、葬式系YouTuber

【エンディングコンサルタント・佐々木悦子氏】
一般社団法人日本エンディングサポート協会理事長。「24時間365日の葬儀・お墓の電話相談」を開設し、全国各地で葬儀やお墓の勉強会を開催している

取材・文/週刊SPA!編集部
※週刊SPA!3月5日発売号「[激安葬儀ブーム]の闇」より