大塚久美子社長

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 2月14日の18年12月期の決算発表を延期した大塚家具。翌15日には決算と合わせて、中国の投資家や米系投資ファンドなどから資本を受け入れる財務強化策を発表した。

 最大で約76億円を調達するという大計画だ。もっとも、最大の支援者であるネット通販業ハイラインズの陳海波社長は、大塚久美子社長に“親子の和解”を提案したというのだが……。

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 まずは、15日に発表された18年の決算である。

「最終損益は32億円の赤字でした。前年の赤字が72億円だっただけに改善したかのように見えかねませんが、売上高(17年:410億円→18年:373億円)はさらに減っており、大赤字であることに変わりはありません。発表が1日延びたのには、〈見積計算の根拠資料の収集に時間を要し〉たためと発表されましたが、大塚家具は連結ではないので、そんなに時間がかかるはずはありません。1年前に発表した見込みとあまりに異なる結果に、久美子社長も会見に出てこられなくなったんだろう、なんて陰口が聞かれています」(事情通)

 同社の業績の推移を見てみよう。ちなみに久美子社長が、社長に復帰したのは15年1月。父で創業者の大塚勝久会長が退任したのは同年3月のことだ。

大塚久美子社長

「1年前に見込んでいた13億9000万円の黒字どころか、32億円の赤字ですからね。久美子さんが社長に就任した15年は、親子ゲンカで世間を騒がせた“お詫びセール”で黒字化しましたが、その後は3期連続の減収・最終赤字です。昨年の最大8割引セールをもってしても、売上は上がりませんでした。そこでようやく踏み切ったのが、第三者割当増資というわけです」(同)

 大塚家具は昨年末に中国の家具販売大手イージーホームと業務提携したが、資本提携には至らなかった。今回資本を結んだのは、イージーホームの取引先で日中間のEC事業、いわゆるネット通販を手がけるハイラインズである。

大塚家具 業績の推移 (単位:百万円)

あくまで強気の“かぐや姫”

 2月15日の決算発表では、会見を開かなかった久美子社長だが、一部のメディだけを対象に取材を受けたようだ。読売新聞(2月16日付)によると、久美子社長はこう発言したという。

〈今回の枠組みは、大塚家具が本格的に海外に出て行くことのスタートとなる提携だ。海外で展開するのは、国内をきちんと立て直すことが最重要になる。その観点でヤマダ電機と業務提携をした〉

〈今回(の増資には)日中の投資家が入っているが大塚家具の質を変えるものではない。影響はない〉

〈会社を立ち直らせていくのが本質的な責任だ。今回の提携をしっかりまとめきるまでは抜けるわけにはいかない〉

 前出の事情通が呆れる。

「会見はやらないと発表しながら、結局、一部だけに説明するのなら、堂々と会見すればいいと思いますけどね。ともあれ、相変わらずのバイタリティ溢れる強気な発言には驚くしかありません。しかし、“海外で展開”と仰いますが、普通は国内で成功した企業の言うことですよ。国内で業績が下がりっぱなしの企業が、海外に逃げようとしているとしか思えません。そもそも、重くてかさばる家具が、ネット販売で海外に売れるのでしょうか。IKEAやニトリのような安さがウリなら別として、大塚家具の商品はそうではありませんからね。また、“国内をきちんと立て直す”ためヤマダ電機と提携とも言っています。ヤマダが展開する住宅事業で家具が売れることを期待しているのだと思いますが、ヤマダの住宅事業が上手くいっているとはあまり聞きません。いずれにしても、海外はネット販売のハイラインズ、国内はヤマダ電機に任せると言っているように聞こえ、万策尽きて他社頼みといった印象です」

 とはいえ、第三者割当による新株式発行で38億334万2100円、さらに第三者割当による新株予約権の発行でおよそ38億円。手数料を差し引いて74億6877万2100円が調達されるというのである。これだけ調達できれば、復活の可能性も見えてくるのでは……。

トラック40台購入予定

「どうでしょう、17年の業績を思い出してください。久美子社長はたった1年で72億円もの赤字を叩き出した人ですよ。それに74億円とは言っても、第三者割当増資の38億円に関しては、一部を担うアメリカの投資ファンドは払込期間の初日である3月4日に払い込むことになっている一方、中国側は速やかに払い込むとしていて、タイムラグがある。さらに、もう一方の新株予約権については予約権の行使価額が460円となっています。大塚家具の株価は、今日(3月1日)は高値でも394円です。これを460円で買う人がいますか? もちろん460円を超えるようになれば、喜んで買うでしょう。しかし今回の決算では、大塚家具は業績予想もできていない状態。このままだと74億円というのは、獲らぬ狸の皮算用になりかねません」(同)

 その皮算用にも疑問があるという。

「今回発表された、『業務・資本提携のお知らせ』にある“調達する資金の具体的な使途”です。74億円のうち、17億5000万円をECビジネス強化に充てるというが、現在の横浜サービスセンターを新倉庫に移し、自動化・省力化を行うため、自動化に8億円、現倉庫の回復費に4億5000万円、移転費用に1億円。そして配送トラック40台の購入費に2億5000万円を充てるとしています。売上高が落ちっぱなしの企業が、供給を強化してどうするのでしょうか。さらに、このトラックの運転手は社内の配置転換で確保するとまである。これまで家具の販売員だった社員に、『あなた、明日から運送ね』と言って出来るものでしょうか」(同)

 その社員も減り続けているのだ。表を見てもらえば明らかだが、久美子社長が就任した15年はたった5人がやめただけだった。業績が落ち始めた16年には82人、17年は173人、18年は225人、わずか3年で480人が会社を去っているのだ。

「先代の勝久社長はリストラしない人でした。一方、久美子社長はリストラすることもなくこれだけ減らしたわけです。そして現在の1200人の社員の中から、配送トラック40台分の要員として少なくとも80人は回され、“トラック野郎”になるわけです。運転するだけでも大変でしょうし、重い家具を運ぶとなれば腰も痛めかねません。体を壊したら、転職活動もできませんからね。社員は気の毒ですよ」(同)

 提案されたという親子の和解に関してどうだろうか。

「出資者に言われたから聞いているだけでしょう。勝久氏が創業した大塚家具をここまでボロボロにしてしまったのですから、和解するには彼女が非を認めなければ始まりません。そんなこと、彼女がするわけないじゃないですか」(同)

週刊新潮WEB取材班

2019年3月5日 掲載