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もくじ

ー 自動車技術の進化をさぐる
ー 5Gがもたらすもの
ー スマートタイヤ 摩耗度合いを監視
ー バッテリーの充電が高速化
ー シミュレータが運転支援装備開発に貢献

自動車技術の進化をさぐる

自動車業界の変化は早い。そしてその行く末を予想するのは困難だ。英国の規制改革のおかげもあり、EVが世界を支配する日も近いように見える。車内に搭載されるテクノロジーやコネクティビティも急速に進歩し、自動運転の実現も見えてきている。

一方、ガソリンやディーゼルも死んではいない。カリフォルニアでは、水素エネルギーの普及も促進されている。では、本当に今後数年間を支配するのは何なのだろうか。われわれの考えをご紹介しよう。

5Gがもたらすもの

1Gは1990年代に始まり、2Gによってテキストメッセージの送信が可能となった。3Gの時代にはインターネットのブラウジングが、4Gではそれがさらに高速化した。5Gはコネクティビティにどのような影響をもたらすのだろうか。

自動車メーカーたちはこの新たな高速ネットワーク活用に尽力している。たとえば、フォルクスワーゲンは新たなMEB EVプラットフォームでそれに必要なハードウェアを搭載済みだ。ハーマンなどのようなサプライヤーはスマート・シティ・コマンド・センターを通じた緊急サービスとの連携システムを開発中だ。

またハーマンは信号と連携して速度調節を支援する機能や、道路工事の警告なども検討中だという。そしてリアシートへのストリーミングやオンラインゲームなどによりエンターテインメントの分野にも革新がもたらされるようだ。

研究機関のガートナーによれば、2020年までに6000万台のコネクテッドカーが、その後4年の間には2億2000万台にまで増加するとの予想だ。5Gは4Gの1000倍にあたる1ギガビット/秒もの帯域を実現する。

スマートタイヤ 摩耗度合いを監視

タイヤメーカーは時々おかしなアイデアを出す。しかし、このスマートタイヤの計画は価値のあるものかもしれない。

ファルケンはその名も「スマート・タイヤ」というスマートタイヤを発表した。液体ファルネセン・ラバー製のトレッドにより、より長寿命化に成功しているという。ウェットでのグリップが2万kmに渡って持続し、耐摩耗性も51%向上しているとのことだ。

さらに、アクティブ・トレッド技術により、路面状況や温度などを認識して適応することが可能だという。

グッドイヤーが2017年に公開したインテリジェントタイヤは、多くの車両のタイヤの摩耗度合いや空気圧などを一元的に管理できるという。この技術は将来的に自動運転車のグリップ状態を監視するのに役立つだろう。

コンチネンタルもセンサーを埋め込んだスマートタイヤのテストを重ねている。ドライバーはしばしばタイヤの重要性を軽視しがちだが、新技術によるグリップの向上、摩耗の減少、安全性の向上に期待が持てる。

バッテリーの充電が高速化

ミュンヘン工科大学の研究者らは、EVに搭載されるリチウムイオンバッテリーの充電を高速化するための技術開発に取り組んでいる。

リチウムイオンバッテリーはゆっくりと充電すれば良いのだが、高速で長時間充電するとダメージを受けがちだ。これはバッテリーセル内のグラファイト製アノードに金属リチウムのメッキができることが原因だ。

これにより急速充電を繰り返すうちにバッテリー容量が低下し航続距離が短くなってしまう。現在の急速充電器はおよそ80%程度まで有効であり、それ以上は穏やかに充電する必要がある。

バッテリーセルのひとつひとつを調査するのは不可能であることから、ミュンヘンのチームは実物を模したガラスでテストを重ねたようだ。

電子スピン共鳴分光法とよばれる手法により、そのメッキ形成の過程を観察することができるようになった。これにより、メッキ形成の進行度合いを予測し、急速充電に必要なマージンを減らすことができる。結果的により急速な充電が可能になるというわけだ。

シミュレータが運転支援装備開発に貢献

自動緊急ブレーキをはじめとした運転支援装備が想定しなければいけないシチュエーションは無限に考えられる。実際、あらゆるシナリオに対応するテストを現実で行うのは不可能だ。

多くのメーカーが採用するアンシブル・モーション製の高性能シミュレータは従来の手法なら100年はかかったであろう膨大なテストを簡単に行うことができる。

最新のシミュレータはあらゆる状況を想定したテストを光のような速度で行い、100年分の仕事をわずか数カ月に短縮できるのだ。

結果的に、さらに優れた運転支援装備が完成するだろう。