ヤクザの世界には、さまざまな“ゲン担ぎ”がある

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 ピッカピカの現行タイプの外車でも、ナンバーが「8888」や「4444」などのゾロ目、もしくは「・・・1」などとなっていれば、なぜかイヤな予感がしてしまう。それらの車には、“あの筋”の方が乗っているのではないかと勘ぐってしまうからだ。

 かつて筆者が西日本にある暴力団本部前で見たのは、ベンツやレクサス、BMWにアウディといった超高級車が続々と門から入っていく様子だったが、ほとんどの車がゾロ目などのいわゆる「希望ナンバー」だった……。

 ヤクザの世界には、“ゲン担ぎ”をする人が多いと言われている。では、実際にどのようなものがあるのだろうか。

◆ヤクザがゲン担ぎをする理由「最終的には運に頼るしかない」

「そりゃ我々ほど“ゲン担ぎ”が好きな人種はおらんでしょう!」

 こう話すのは、関西地方の元暴力団幹部・牧野勇造氏(仮名・50代)。なぜヤクザはゲンを過剰に意識するのか。

「クルマの場合は、8は末広がり、7はラッキーセブン、4は死とも言われますが、4並びはなぜか縁起がいいと言われてますね。なかにはヤクザの仕事に誇りを持っているという意味で、“893ナンバー”にするヤツもようけ(たくさん)おりますよ」(牧野氏)

 車のナンバーだけではない。ヤクザの世界では、カタギ(一般人)の世界以上に理不尽なことが起きる。親分はもちろん、兄貴にだって絶対に逆らえない。どんなに自身が努力しても、どうにもならないことだってあるのがヤクザの世界だ。

 そうなれば、最終的には「運」に頼るしかない。その運を引き寄せるためには「ゲン担ぎ」をするしかない、という理屈である。

「ベタなところで言えば、財布は長財布で、札は必ずピン札。札は絵柄が下を向くようにいれますね。子(子分)に小遣いあげるときに、ボロ札じゃ格好がつかんでしょう。長財布であれば札にシワが寄らないから、義理事でカネが必要になっても困らない。札が下を向いていれば、財布から出て行きにくいと言われていますね」(同上)

 牧野氏とは30年来の友人である、こちらも元暴力団員の中島豪氏(仮名・50代)もゲン担ぎを重視するひとり。

「ヤクザもんがよく腕に水晶やら宝石のブレスレットしてるでしょう。使われている石によってパワーが違うっちゅーこともあるが、アレをつけてると腕がこう太く見えますわな(笑)。あとは、勝負事の前には必ず鉄分が強い温泉を探して入ってましたね。嘘か本当かわからんが、鉄成分が刺青に効き発色が良うなる。テメエ自身の見栄えも良くなり気合が入ると……。今じゃ習慣になってしもうた」(中島氏)

 他にも、仲間内のヤクザ間では不可思議なゲン担ぎに勤しむ人々が多くいたという。

「たとえば毎日、爪をピカピカに磨いているヤツがおりましたね。どんなシノギ、商いでも絶対に手は使うでしょう。『綺麗な手にはゼニが寄ってくるんや』言いよりました。商売事で言えば、電話に出るときは必ず“ご苦労様です”というヤツもおりました。子どもと遊園地で遊んでいても、仲間からの電話には“ご苦労様です”。常に仕事というか、シノギのことを考えている自分を意識させ、ビシッとするそうですわ」(同上)

◆過剰なゲン担ぎに子分や家族が迷惑することも…

 そもそも「縁起担ぎ」の「縁起」が反転し「ゲン」になったとも言われている。しかもこれはヤクザの世界で使われていた「業界用語」であるという説もある。我々が日常的に使っている言葉が、実はヤクザ用語だったとすれば驚きだが、そんなワケもあってか、とにかくゲンにこだわるがあまりに、子分や家族に迷惑をかけるヤクザも存在する。

 たとえば、父親が元極道だったという奈良県在住の会社員・Mさん(仮名・30代)がこう述懐する。