リクルートが「SUUMO 住みたい街ランキング2019 関東版」を発表。1位は2年連続で「横浜」になりましたが、埼玉県の「大宮」や「浦和」も躍進。郊外の駅や自治体が支持を高める一方、「都心離れ」の傾向も明らかになりました。

「横浜」が総合1位 「住みたい自治体」1位は港区

 リクルート住まいカンパニーが2019年2月28日(木)、「SUUMO 住みたい街ランキング2019 関東版」を発表しました。


「住みたい街(駅)総合ランキング」で4位になった大宮駅(2016年9月、伊藤真悟撮影)。

 2010(平成22)年から毎年発表されているこの調査結果、総合ランキングの「住みたい街」は駅名での発表で、今回の結果は次の通りです。駅名、代表的な路線、得点の順で記載します。

●住みたい街(駅)総合ランキング
・1位:横浜、JR東海道本線、1211
・2位:恵比寿、JR山手線、871
・3位:吉祥寺、JR中央線、774
・4位:大宮、JR京浜東北線、567
・5位:新宿、JR山手線、551
・6位:品川、JR山手線、517
・7位:目黒、JR山手線、498
・8位:浦和、JR京浜東北線、465
・9位:武蔵小杉、東急東横線、453
・10位:鎌倉、江ノ島電鉄線、448

「住みたい自治体ランキング」は、次の通りです。自治体名、得点の順で記載します。

●住みたい自治体ランキング
・1位:東京都港区、2134
・2位:東京都世田谷区、1737
・3位:東京都目黒区、1282
・4位:東京都渋谷区、1222
・5位:東京都新宿区、1096
・6位:東京都品川区、1003
・7位:東京都千代田区、998
・8位:東京都文京区、941
・9位:神奈川県鎌倉市、910
・10位:東京都杉並区、908

「総合ランキング」は、かつて「恵比寿」や「吉祥寺」が1位になることが多くありましたが、横浜駅が2年連続でトップに。「住みたい自治体ランキング」は「東京都港区」が4年連続の1位となりました。

さいたま市の駅が大躍進!

 リクルートの不動産情報サイト「SUUMO」編集長の池本洋一さんによると、2年連続で「住みたい街」1位となった「横浜」は、2018年より200点以上アップしていることが大きな特徴だといいます。

「このランキングは、基本的には『駅』で選んでいただいているのですが、『横浜』の場合は、駅から1km以上離れたベイエリアも生活圏としてとらえられています。20代から40代までの1位を獲得している点は、圧倒的です」(池本さん)

 横浜駅周辺が選ばれている要因としては、10路線使えるという交通の利便性、ベイエリアに立地する多数の商業施設などのほか、「野毛や鶴屋町といった昔ながらの飲食店街の評価が上がっているのも特徴です。歴史的建造物をうまくつかった独特の街並みもあり、ある意味『マルチタレント』といえるでしょう」(池本さん)とのこと。神奈川県以外に住む人の「横浜」投票率も上昇しており、「遊ぶ街」としてだけでなく、「暮らす街」としてのシェアも上がっているといいます。

 なお京急電鉄の横浜駅長、高浜惣一さんによると、京急だけでも横浜駅の利用者が1年で4000人増加しているそうです。

 そして、池本編集長が今回のランキングにおける注目ポイントとして挙げるのが、「さいたま市の中核駅」がさらに人気を上げた点です。「大宮」は2017年に15位、2018年に9位だったのが、今回は4位に。同様に「浦和」は19位、10位と順位を上げ、今回は8位にランクインしました。また「さいたま新都心」も、ここ3年で63位、29位、23位と急上昇しているとのこと。

「都心の半値以下、横浜と比べても3分の2という物件価格の安さが、『現実的に住める街』ということでランキングを押し上げているでしょう」と池本さん。これらの駅は、JR上野東京ラインの開業で都心へのアクセスがよくなったほか、駅周辺でも再開発が進み、「遊ぶ街」から「暮らす街」へと変わっているそうです。

郊外志向が鮮明に

 調査結果を「路線」で見た場合に、池本さんが注目するのが、東京の秋葉原と茨城県のつくば市を結ぶつくばエクスプレスの沿線。総合ランキングで最も順位が高い駅は「つくば」の35位ですが、今回は全ての駅でランキングが上昇したそうです。

「ほかの路線に比べて共働き率が高いのが特徴です。新しくできた街が多いので、駅前に商業・公共施設が集まっており、『生活の効率性』が高い点が支持されています。つくばなど、都心から離れた地域でも働き口が増えているほか、(最高速度130km/hという)列車のスピードの高さが距離を補っているのもポイントでしょう」(池本さん)

 このように、東京の郊外の駅で順位が上昇しましたが、そうした傾向は「住みたい自治体ランキング」にも表れているようです。

「自治体ランキング」1位の「東京都港区」をはじめ、東京23区、特に千代田区や文京区など中心部の自治体が、2018年から軒並み200程度、ポイントを下げているとのこと。池本さんは、都心部における物件価格の高騰が要因になっているといいます。

 なお、調査は2019年1月に東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県在住の20歳から49歳までの男女を対象に、インターネットを通じて実施。有効回答数は7000でした。