―私は私。他の誰とも比べたりしない。

結婚して、出産する前まではこんな風に考えていたのに。

子供を持ち母となって、劣等感と嫉妬心に苦しめられる女たち。

未だかつてない格差社会に突入した東京で、彼女たちをジワジワと追い込むのは「教育格差」だった。

大恋愛の果てに結婚したエミと、代々続く病院の医師と結婚した実沙子。高校時代の同級生だったふたりはそれぞれ、幸せの絶頂にいたはずだった。

しかし偶然の再会をきっかけに、エミと実沙子の幸せだった日常は少しずつ狂い始めていくー。

「幸せな2人」一挙に全話おさらい!



第1話:大恋愛の末に結婚したサラリーマン妻。医師の妻になった同級生との再会で、芽生えた劣等感

愛する夫と娘と過ごす生活に、私は心から満足していた。私が親からしてもらっただけのことを、娘に与えてあげられない歯がゆさはあったが、誰がなんと言おうと私は幸せだ。

ーでも、28年間で身についた価値観というものは、本来はそう簡単に変えられるものではない。

そんな当然のことに今頃気がついてしまったのは、あの女に会ってしまったからだ。

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第2話:年収1,000万じゃ足りない。「金より愛」で結婚したはずが、子供が生まれて"負け組"に降格した女

ー自分がしてきたのと同程度の暮らしを子供にもさせてあげたいー

親であれば誰でも、子供には出来るだけ豊かな生活をさせてあげたいと願うだろう。

結婚前は無邪気にも、23区内に一戸建てを構え、娘・りあを中学から私立にいれ、そして車を所有し好きな時に旅行や外食を楽しむ、そんな暮らしを当たり前だと思っていた。

だが、結婚して子供を授かり、はたと気がついた現実は実に厳しいものだった。

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第3話:こんな家、嫁がなければよかった。リッチな夫を拒み続ける産後の妻が、義母から言われたおぞましい一言

ー昌幸さんは、浮気をしているのかしら…。

そう思っても、あまりショックではない自分にもとても驚きました。家庭の外でそうしたことを済ませてくれれば、私の肩の荷も降りるというものです。

夫の浮気疑惑くらいで動じない自分のことを、誇りにも思っていました。いちいちそんなことで驚いているようでは、未来の院長夫人は務まりません。

ですが、そんな風に余裕で構えていた私に、後日お義母さまから連絡があり、とんでもないことを言われたのです。

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第4話:夫に誘われなくなった妻。「完璧な母でいること」に執着した結果、彼女に起こった悲劇とは

小学校は無理でも、中学からは私立にいれてあげたい、高校か大学では留学もさせてあげたい。習い事だって、彼女がやりたいと興味を持ったものはなんでもやらせてあげたい…。

そんな風に子育てに夢中になっているうちに、あっという間に職場復帰の時期を迎えた。健太の職場は六本木にあり、DINKS時代から私達はずっと港区に住んでいる。しかし、保活という面ではこの区は恵まれていない。

散々駆けずり回って、やっと確保できたのは認可外の保育施設のみ。そして、正社員の座を守るために、給料をほぼ保育園代につぎ込む生活が始まったのだ。

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第5話:妻が美しさを失っていくのに、オトコの魅力を増していく夫。"富"を手にいれた開業医妻が不幸な理由

いつも側にいてくれる大事な家族こそ、一番大切にしなくてはいけない。

それなのに私は、外では愛想よく振る舞いながら、夫・健太のことは全く大切に出来ていなかった。

言い訳は山ほどある。初めての育児と仕事の両立だけでも消耗しているのに、小さな娘が胃腸炎になり、夜中に突然嘔吐し始め朝まで眠れないこともあった。

その翌日、職場に気を使いながら仕事を休まなくてはならないのは、当然夫ではなく私の方だ。

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第6話:「夫が、私の存在を無視する…」。男女の愛が消え、我が子を介してのみしか会話しない仮面夫婦の実態

リビングに3人でいても、娘を介してのみの会話が多い。天真爛漫に遊ぶりあの姿を見つめ笑顔になっても、それを夫と分かち合えない虚しい時間。

何度も夫との関係を修復しようと試みたが、多忙な日々の中、彼に正面から向き合うのを躊躇してしまう。

しかし、健太が娘を溺愛しているのは明らかで、りあの成長に従い、積極的に面倒を見てくれるようになった。

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第7話:「失敗は、絶対に許されない…」。開業医と結婚した女にのしかかる、“お受験”という容赦なき重圧

「ねぇ、実沙子さん、最近あなたとても楽しそうよね。前よりも肩の力が抜けている感じがする。やっぱりみなみちゃんを預けて1人の時間を楽しんでるからかしら…?」

お義母さまは、とても優しい声で仰いました。私がみなみを預けているのは平日のほんの数時間のこと。昌幸さんには内緒にしていたはずです。

それなのに、なぜお義母さまそのことをご存知なのでしょうかー。

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第8話:"従順な妻"なんて、もう辞めた。嫁ぎ先で家庭内ヒエラルキーを逆転させた女を襲う、予想外の悲劇

大好きな滑り台に一目散に駆け寄って行くみなみや公園で遊ぶ他の子どもたちを見て、私はすっかり安心しきっていました。

そしてふとスマホをチェックすると、私の母から、弟のお嫁さんの赤ちゃんが生まれたとの報告が来ていたのです。

嬉しくなった私は、出産という大仕事を終えたばかりの義理の妹に労いの言葉をかけてあげたくなりました。

そしてついつい画面に夢中になり、ほんの少しだけ、みなみから目を離してしまったのですー。

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第9話:「土下座でも、なんでもするから…」。女同士の狡猾な仲間はずれで、追い詰められたセレブ妻の苦悩

にこやかな笑顔の後に、すっと逸らされる目。挨拶は交わしても、それ以上の話をこちらに振ることは絶対にない、一貫した態度。自分以外の人間には過剰に親切にし、いつの間にかターゲットを孤立させる、あの手口…。

"私は常識的な大人です"という姿勢を崩さないまま周到に実沙子を追い詰めるやり方は、学生時代よりずっと分かりにくく、ずっと厄介だ。

その痛みに共感できるだけに、私は孤独な園ママ生活を送る実沙子との距離を再び縮めてしまうのだった。

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第10話:“他の女を愛した証拠”を、平気で家に持ち帰る夫。我慢の限界に達した開業医妻の行動とは

みなみを産んだその日から、無意識のうちに、自分の感情を押し殺す癖がついていたようです。この子の笑顔と、将来を守るため。何が起きても、自分さえ我慢すれば丸く収まると信じてきました。

お義母様に何を言われても、昌幸さんが何をしても、傷ついていないふりをして、感情に蓋をしてきたのです。私はそれを、娘のためだと思っていました。…けれど、そうではなかった。

円形脱毛症になるまで自分を追い詰めても、娘も私も、全く幸せになんてなれなかったのです。私は覚悟を決めて、まずは昌幸さんとお話しすることにしました。

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第11話:「開業医妻の立場など、捨ててもいい」。夫の収入と家柄を手放し、幸せを求めた女の決断とは

彼女の苦悩は私にとって、他人事ではなかった。

愛する娘のために良い家庭を築かなくてはと、必死でもがく想いに、収入も家柄も関係ない。同じ"母"として、その苦しみが痛いほどにわかる。

気がつけば私は、学生時代そうしていたのと同じように、心の底から実沙子の力になりたいと、彼女の話に真剣に耳を傾けていた。

だが、徐々に落ち着きを取り戻す実沙子の口から語られたのは、にわかには信じたがたい事実だった。

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第12話:少しずつ集まり始めた、夫の“裏切りの証拠”。逆襲を企てる妻を惑わせた、意外な人物とは

自分でも不思議なことに、「有名幼稚園へのこだわり」や「豊かな生活への未練」は、全くありませんでした。

幸い、私1人でも当面なんとかやっていけるだけの貯金はありますし、エミのしているように娘を保育園に通わせ働くのも、悪くないと思いました。であれば、不倫の証拠を少しずつ集めて、離婚を優位に進めればいい。

そう決めた私は、幼稚園ママとしての生活をしながら、昌幸さんの不倫の証拠を集め始めたのです。

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第13話:妻を裏切り続けてきた夫に、天罰を。虎視眈々と計画を練る開業医妻の、最後の秘策

昌幸さんは外向きはとてもとても良い夫、父親として振る舞うことに長けているため、協議でこじれた場合の離婚調停で、調停委員が騙される可能性もある。

なので、メール画面の写真やレシート、家に帰宅しない記録だけでなく、何か決定的な証拠を得る必要がありました。しかし私は、最後のところでその証拠を得るのを恐れていたのです。

それを手に入れたら…。どんなに不幸だったとはいえ、慣れ親しんでいた人生が大きく変わってしまうことが怖かったから。

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