恋愛研究家の六波羅ナオトです。

先日、不倫騒動がこじれて最高裁判所まで騒動が発展した件がありました。今回は、その件に端を発して、今一度、不倫の被害者や加害者、そしてメカニズムについて考えてみたいと思います。筆者は恋愛研究家を名乗っていますが、特に不倫に関しては一貫した持論を展開しており、女性にとっては辛辣に感じる表現もあると思いますが、なるべくストレートに考えを伝えたいのでご容赦ください。

妻の不倫に気づかないフリをして結婚生活を続けた夫

さて、今回のケースの主人公となる夫妻。2人の子供をもうけ、結婚生活も十数年を迎えた頃、そろそろ子育ても手がかからなくなってきたということで、妻が仕事に復帰することになります。ところが、その職場で知り合った男性と不倫関係に発展。妻は不倫関係に深入りしてしまい、帰りが遅くなったり外泊するようになり、約1年後に夫に気づかれてしまいます。

しかし、まだ子供が自立できる年齢でもなく、離婚は得策ではないと考えた夫は、妻に不倫の事実を突きつけず、知らないふりをして仕事に家事に精を出したそうです。子供の養育費もほとんどが自分の収入から出していたと報じられていました。

それから数年後、下の子供(娘)が離れて暮らすのを機に、妻も娘に付き添うように別居状態に。それから約1年後に夫妻は離婚しました。離婚の際には、夫は妻に慰謝料を請求するどころか、財産分与までしたとのこと。この夫からすると、よほど妻のことを愛していたのでしょう。だからこそ不倫という裏切りが許せなかった。でも、許せなかったのは裏切りという「行為」であって、妻のことは許したかったのだと筆者は思います。もっと言えば、夫の目線で考えると、妻が不倫をしたのは相手の男にたぶらかされたから、全て男が悪い!という思考に陥っても不思議ではありません。

ちなみにこの時点で、妻の不倫関係は既に解消されていたということになっています。

怒りの矛先は不倫相手である間男へ向けられる

離婚して一件落着と思いきや、夫の胸中は穏やかではありませんでした。妻には慰謝料の請求はおろか財産分与までするほど寛大な対応をした夫ですが、不倫相手である間男を許すことはできなかったようです。この間男を相手取り、約200万円の慰謝料の請求訴訟を起こすことになります。この裁判のポイントは以下の2つ。

(1)「不倫」に対する慰謝料請求権は不倫の事実を知り得てから3年で請求権が消滅

(2)「離婚」に対する慰謝料請求権は離婚が成立してから3年で請求権が消滅

元夫が元妻の不倫を知ったのが2010年。夫妻が離婚したのが2015年。元夫が裁判を起こしたのが2015年の離婚から数か月後。つまり、元夫が元妻の不倫を知ってから裁判を起こすまでに5年の歳月が流れているため、不倫慰謝料の請求権は消滅している。しかし、離婚してからは数か月しか経っていないため、離婚慰謝料の請求権は有効だというのが原告である元夫側の主張です。

その主張の結果、地方裁判所、及び高等裁判所では元夫側の主張が認められ、間男に離婚慰謝料の支払いを命じる判決がでます。しかし、間男も黙ってはいません。夫妻が離婚したころには既に不倫関係は解消していたし、自分との不倫が直接離婚と関係があるとはいえないとして上告。舞台は最高裁判所へと移ります。

☆☆☆

さて、たかが不倫の民事裁判で最高裁判所までもつれこむという異例の事態にマスコミだけでなく、身に覚えのある人からも注目されることになります。後編では、最高裁での判決と、筆者が考える不倫のメカニズムについて述べたいと思います。〜その2〜に続きます。

裁判にまでもつれると、離婚はお互いにダメージを与えます。