半年間で抱き合ったのは、たったの1回。“淡白”では済まされない男の実態
仕事に適性があるように、結婚にも向き不向きがある。
どんな爽やかイケメンでも、高学歴・高収入のハイスペ男でも、残念ながら“結婚に向かない男”は存在し、数々の婚活女子を絶望させている。
一時の恋愛を楽しむのなら問題はない。しかし結婚したい女が、結婚に向かない男に割いている時間はないのだ。
この連載では、婚活中のアラサー女子から寄せられた情報を基に、東京に数多生息する “結婚に向かない男”の生態を紹介していく。
【今週の結婚に向かない男】
名前:圭一郎
年齢:34歳
職業:外資系生命保険営業
住居:麻布十番
【報告者】
名前:結衣
年齢:28歳
職業:外資系ホテル
住居:自由が丘
結婚に向かない男File No.5:超絶淡白な男
自由が丘『Shiro café』に現れた今回の報告者・結衣は、透き通るような美肌の持ち主だった。
近頃、美意識高めの女性に人気だというこちらのカフェ。彼女のオフに合わせた火曜の午後は、比較的空いているようだった。
ナチュラルかつスタイリッシュな空間に溶け込む結衣の立ち姿は、思わず写真に収めたくなるほど絵になっている。
抜群の透明感を持つ彼女は、その長く柔らかそうな髪をそっと耳にかけた。そして遠慮がちに、こんなことを尋ねるのだった。
「最近、若い子の草食化が進んでるっていうのは知ってたけど…30代半ばの男性でも淡白な人って多いものですか?」
いきなり赤裸々な話だが、質問をする結衣の瞳は真剣だ。
なんでも、彼女が少し前まで付き合っていた34歳の彼が、ありえないほど淡白な男だったのだという。
「私たち、半年間付き合ったんですけど…その、たった1回だけなんですよ。抱き合ったの」
抱き合ったのは、半年間でたったの1回だけ!?それは一体、どんな男なのか。
最初は強引だったのに…
結衣が淡白すぎる彼・圭一郎と出会ったきっかけは、同僚が誘ってくれた、いわゆるお食事会だったという。
「はっきり言って、淡白な風には見えませんでした。全く」
結衣は大げさなまでに目を丸くし、はっきりと断言した。
圭一郎は濃いめの顔立ちで、かなりのイケメン。外資系生命保険会社で営業をしており、成績優秀者の常連として名を連ねるやり手の男なのだという。
「場を盛り上げるのも上手だし、男らしいリーダーシップもあって。そういうところが素敵だなって思ったんですけど…」
女性の扱いも手慣れており、二次会のカラオケに移動する途中でさりげなく「今度、ご飯行こうよ」と誘われた。
最初から好印象を抱いていた結衣は喜んで連絡先を交換し、後日届いたデートの誘いに応じたという。
「初デートからかなり積極的でした。西麻布のイタリアンで食事したあとバーに移動したんですが、ものすごいタイプだとか、一目で恋に落ちたとか…ホテルに行きたい気配も出してましたね。その日はさすがに振り切って帰りましたけど」
笑いながら話す結衣の表情に、嫌悪の色はない。彼女はそんな押しの強さも含めて、圭一郎に好意を抱いていたらしい。
「二回目のデートは一泊で強羅花壇に行こうって言われて(笑)。そういうのは付き合っている人としか無理って言ったら、改めて告白してくれました。それでOKしたんです」
しかし話を進める結衣は、ここで急に顔を曇らせた。
「私が圭ちゃんと抱き合ったのは、その夜が最初で最後でした」
箱根旅行をきっかけに付き合うこととなった二人は、頻繁にデートを重ねるようになった。
結衣の休日はシフト制で不規則だが、圭一郎の仕事は比較的時間に融通がきく。彼が結衣のスケジュールに合わせて休みをとったり、どうしても休みが合わない日でも、圭一郎の家で夜を一緒に過ごしたりした。
二人の関係性自体は、順調だったという。
「だけどある時、ふっと疑問が湧いてしまって。あれ?今夜も、このまま寝るだけなの…?って」
そうなのだ。圭一郎と結衣は頻繁に夜を共にしている。にも関わらず、最初の夜以来、彼はまったく結衣を求めてこない。
「それとなく聞きましたよ、もちろん。でも“今夜は疲れてて”とか“酔っ払っちゃって無理”とかなんとか言い訳しかしないの」
「私だって別に、どうしてもっていうわけじゃないですよ」と、結衣は慌てて言い添え、周りに話が聞こえていないか確認するような素ぶりを見せた。
「イマイチだったのかな…とか、反省したりもしました。でも彼、私には会いたがるんですよ。デートも色々趣向を凝らしてくれるし、むしろ愛は感じてた。だから不思議で不思議で…」
この人、超絶淡白なんだ。
最終的に、結衣はそんな風に結論づけたらしい。
「まあ、そのうちあるだろう…って、気にしないことにしました。その…手を繋いだりキスをしたり、そういうスキンシップはあるんですよ。だからまあ、私もそれで満たされていたところもありました」
しかしその後、結衣は圭一郎が決して“淡白”なわけではなかったことを知ってしまう。しかも、最低最悪の形で。
圭一郎は淡白なわけではなかった。そのことを結衣が知ってしまった、あり得ない経緯とは
悪夢のBluetooth
「今思い出してもあれは最悪でした。あまりに気まずくて、時が止まりましたからね」
結衣は「あり得ない」とつぶやきながら頭を振った。
そのあり得ない事件は、結衣が圭一郎の家にお泊まりをした翌日、二人ともオフの日の朝に起きた。
「彼が買ったばかりの新車で軽井沢に出かける予定だったんです。準備して車に乗り込んで…しばらくして、あれ?って」
車に乗って間もなく、結衣は異変を感じたのだと言う。どこからともなく“変な声”が聞こえるのだ。
結衣は数秒、耳を澄ました。そしてその声がセクシー動画の音声だとピンときたのと、圭一郎が慌てふためき始めたのはほぼ同時だった。
「幸か不幸か音量がかなり小さかったから、最初何の音かわからなくて。しばらくしてああ、そういうことかってわかった瞬間、私の中で何かが崩れていく気がしましたね…」
前の晩も、圭一郎は結衣を求めてくることはなかった。それなのに彼は、スマホでそういった類の動画を見ていたということ。
自分には用はないのに、小さな画面の中の見知らぬ女には欲情しているのだ。まったく意味がわからない。
結衣は思わず圭一郎に、軽蔑と絶望が入り混じった目を向けてしまった。
彼のあまりの慌てようは気の毒にさえなるほどだった。さっさと音量オフにすればいいのに、動揺してBluetoothを切ろうとするが、それもなかなか切れない。
しかし結衣の側も、彼に対し一度抱いてしまった「気持ち悪い」という感情は消えてくれそうになかった。
そして結局、この軽井沢ドライブが二人の最後のデートになってしまったらしい。
「いや、別にいいんですよ。そういう動画を見たって。ただ…ちゃんと欲望はあって、隣で大好きなはずの彼女が寝ているのに、リアルの女を抱かないってヤバくないですか?こういう男が、妻だけレスになるんだろうなって思っちゃった」
今では30代でも夫婦の半数が“レス”だと言われる。
付き合ってたった半年でも頑張れない男は、やめておいた方が良さそうだ。
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