花粉シーズンは、花粉症のドライバーにとっては辛い時期。くしゃみの連発などで、運転操作に支障をきたすこともあります。窓を閉めていても侵入してくることがある花粉、どう対策すればよいのでしょうか。

侮れない「車内」の花粉

 2019年は、例年より早くスギ花粉が飛んでいるようです。ウェザーニュース社によると、東京都では前年より8日早い2月8日(金)から花粉シーズンに突入しているとのこと。日本気象協会は、都内における飛散量を例年の1.2倍と予測しています。


くしゃみをするドライバーのイメージ(画像:fineart/123RF)。

 人によっては車内でも、くしゃみや鼻水といった花粉症の症状に見舞われるかもしれません。2017年4月には愛媛県今治市で、花粉症の男性ドライバーがくしゃみを連発するなどしてハンドル操作を誤り、追突事故を起こし3人が死傷しました。このドライバーには「速やかに運転を中止すべきだった」として、松山地裁から有罪判決が下されています。運転前に薬を飲んで症状を抑えられたかもしれませんが、花粉症薬のなかには、眠気などの副作用があることから、服用中に運転しないよう注意書きがなされているものもあります。

 ドイツに本社を置く自動車部品メーカーのボッシュによると、花粉症による事故を防ぐためは、花粉をなるべく車内に持ち込まないことが重要だといいます。衣類に付着した花粉を乗車前にはたき落とすほか、ダッシュボードなども静電気で花粉やほこりが付着しやすく、それらを水拭きするのも有効とのこと。また、走行中はエアコンを内気循環モードで作動させ、外の空気を遮断するのがよいといい、車内の空気を守るエアコンフィルターの交換をすすめています。

 走行中の対策について、ボッシュに詳しく話を聞きました。

――窓を閉めて走行していても、車内に花粉は入りこんでくるのでしょうか?

 はい。クルマの構造にもよりますが、エアコンファンを回していない状態や、「A/C(エアコン)」を作動させずファンのみONにした場合も、車内に花粉が入ってくることがあります。

花粉に有効なエアコンフィルター、どう選ぶ?

――エアコンフィルターは、どのような働きをしているのでしょうか?

 エアコンを内気循環モードにすると、エアコンフィルターが空気清浄機と同様の働きをし、車内の花粉を取り除きます。エアコンフィルターを通して内気を循環するクルマは、エアコンをOFFにしている場合でも効果を発揮します(外気の取り込み口のみフィルターに通じているクルマ、またはフィルターのないクルマもある)。

――花粉対策に有効なエアコンフィルターは、どのようなものでしょうか?

 花粉の大きさは、約20〜50マイクロメートルですので、20マイクロメートルよりも小さいサイズの物質をキャッチできるフィルターが有効です。小さいお子様がいらっしゃるご家族などには、フィルターに補集された花粉などアレルギー物質の活動を抑制する作用があるものだと、より安心です。


汚れたエアコンフィルター(画像:macor/123RF)。

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 エアコンフィルターは多くの場合、助手席のグローブボックス内に収納されているとのこと。交換手順は車種にもよりますが、グローブボックスを開け、端部のピンや爪を外すと、エアコンフィルターの収納部が現れるそうです。フィルターを引き抜き、新しいものに交換します。

 ボッシュではエアコンフィルターについて、平均的に1年または1万km走行ごとの交換を推奨しているといいます。また、汚れたフィルターを掃除機などで清掃するのは、微粒子を取り除くのが難しいうえ、フィルターの繊維を破損する恐れもあるため、避けたほうがよいそうです。

【写真】エアコンフィルターは車内のココにある


多くの車種で助手席グローブボックス内部にフィルターが収納されている。写真はトヨタ「ウィッシュ」(画像:ボッシュ)。