アニメ視聴はリアルタイム派。西川貴教の熱きこだわり

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「T.M.Revolution(以下T.M.R.)」とは別名義の新たなヴォーカル・プロジェクトとして、突如シーンに舞い降りた、芸歴20数年の“超大型新人”「西川貴教」。2019年3月にリリースされる待望の1stアルバム『SINGularity』収録曲には、映画『刀剣乱舞』やTVアニメ『Fate/EXTRA Last Encore』など、人気アニメの主題歌が名を連ねる。

これまでも『機動戦士ガンダム SEED』など数多のアニメ作品に主題歌を提供しており、生粋の「アニメ好き」として知られているが、普段はどうやってアニメに触れているのか。また「西川貴教」として活動する中、アニメとの付き合い方に変化はあったのか。話を聞いた。

撮影/林孝典 取材・文/高木望 制作/バブー

アニメファンとしての愛情がなくなったら、僕は終わり

アニメ『Fate/EXTRA Last Encore』の主題歌『Bright Burning Shout』をはじめ、昨年の西川さんはアニメシーンに引っ張りだこな印象でした。今でもアニメをよく見られているとのことですが、最近気になった作品はありますか?
昨年10月クールは良作が多いなと思ってました。『ソードアート・オンライン アリシゼーション』も面白かったですし、『転生したらスライムだった件』など続編が続く意欲作も多かったですよね。『ひそねとまそたん』は岐阜県が舞台だし、自衛隊の話は興味深いと思っていました。

ただ、去年は舞台の関係で2月〜7月まで地方に行き、そのままレコーディングに突入したので、恥ずかしながらリアルタイムでそこまで追いきれてないんですよね…。
お仕事がかなりお忙しいとは思うのですが、普段はどうやってアニメを見ているんですか?
今はNetflixやHuluなどのサブスクリプションサービスをうまく活用してますね。本当はオンエアで、なるべくリアルタイムで見たいんですよ。でも正直、社会人とアニメを両立させるのってめちゃくちゃ難しいですよ!(笑) そういう意味では、サブスクにだいぶ助けられてます。

ただ、作品によって「ここのサービスでは見れるのに、このサービスでは見れない!」みたいなこともあるんですよね。「『刀剣乱舞-花丸-』は見れるのに『活撃 刀剣乱舞』はないんだ! マジで?!」ってこともあります。
サブスクリプションを有効活用しつつも、リアルタイムで観たいと思うのはなぜでしょう?
番組をリアルタイムで見ながら、アプリやSNSで、どのシーンやセリフにみんなが引っかかっているかを追跡したいんです。純粋に「ここのシーンが好きっ!」という興奮をリアルタイムで感じたい気持ちはあります。それに、自分が「B-PROJECT」というアイドルプロジェクトに携わっているからこそ、自分の今の感覚がユーザーとどれくらいシンクロしているかの確認もしたいんです。
トレンドを追っている、ということでしょうか?
というよりも、アナログ回線の時代を生きてきた自分が、インターネットネイティブな層と同じ目線で、シーンやキャラに共感できているかどうかの確認ですね。

「ここのシーンすごく良いな」とか「このキャラは良いな」という想いを共有・共感できることで、「間違いないものを次も自分が届けられる」という確信を得ている気がします。1ユーザーとしてフレッシュに楽しめる感覚を忘れず、愛情でものを作ることが大事なんです。それがないのにモノを作るようになったら、終わりだなって思います。
あとは、「ニワカ」の感覚を忘れないようにしたい、というのもあります。僕も一時期、ちょっとアニメのことを話したりすると「ニワカ」とか「お前ごときが語るな」って言われました。でも、そうした批判を受ける中で気がついたのは、「ニワカ」がいなかったら、みんなの好きなものを支える人もいなくなるということです。誰だって最初は「ニワカ」から始まっているわけですし、好きなものを知識量や期間の長さで批判するのはもったいないですよね。

「声優」としてのスキルの高さは、もっと重視されるべき

そんなアニメを愛してやまない西川さんが、最初に衝撃を受けたアニメって何でしょうか?
それはもう、その話をすると「ガンダム」しか出てこないですよ!(笑) 小学校中学年〜高学年頃にガンダムの最初の放送があって、僕らはその後すぐにあった再放送の世代なんですよね。それまではウルトラマンとかライダーもそうだけど、悪い人がどっかから出てきて、「あれをやっつければいい!」って言われていた。でもガンダムの場合は、誰がどう見たって悪者だったやつに、実は家族とかがいるんです。自分たちの家族や国、大事にしなきゃいけないもののために戦ってることがわかるから「どうしたら良いんだ」ってなっちゃいました。
時代背景としても、放映されていたのは冷戦時代で、アニメの内容とリンクして考えさせられる部分がありました。そういう意味では、社会情勢を反映したような作品には惹かれますね。たとえば『PSYCHO-PASS』や『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』とか。でも、『ヨルムンガンド』や『BLACK LAGOON』に代表される、ファンタジー・フィクションものも好きです。

逆に女の子の「日常系」は、嫌いなわけではないんですが、話の山がなくてちょっと苦手です。サブスクで今週分を全部見きったとき、たまに「…観とくか」みたいな感じ(笑)。最近は1クールあたりの「異世界もの」や「妹モノ」「擬人化」などのジャンル被りが目立つようになってきたのも少し気になります。いずれにせよ、全部を追うのは難しいですね。
たしかにお決まりのジャンル、というものが定着しつつありますね。他に、アニメを見る中で感じることはありますか?
『刀剣乱舞』のようなクロスメディア作品が増えましたよね。ひとつのアニメ作品を原作として、映画や舞台、ゲーム、グッズ…と、どんどん展開されていきます。もちろん「そのアニメ作品が人気だから」っていうのはあるのでしょうが、アニメ作品だけの利益だと、ビジネスとしてモトが取れなくなってきている。クロスメディア作品が増えたことの一因だと思います。これからは望む・望まざるを問わず、新たなスキルや商品展開を作品に設定し、要求する世の中にもっとなっていくのではないかと。
クロスメディア作品の増加に伴って、声優さんに新たなスキルを要求することが当たり前になった気がします。
そうなんですよ。今でも「歌って踊れる」ことが声優さんに求められていたりしますが、今後新たなスキルがもっと要求される世の中になっていくと思います。でも、僕自身はやっぱり声のお芝居の魅力や、「声優」そのものとしてのスキルの高さがもっと重要視されるべきだと思うんです。
ちなみに今までお仕事された中で、「この声優さんはすごい」と思った方はいらっしゃいますか?
『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』に関わる声優さんは、皆さん本当に上手です。本来ならパク(口パク)に合わせてアテレコするのですが、もともとそんなにキャラクターの口も開かない。それにあのセリフ量と節回しですよ!? アレだけひとりで朗々と話し続ける作品ってなかなかないです。やっぱりこういう方々が作品を支えてらっしゃるんだなって改めて感じました。そもそも作品自体がどのジャンルにも分類されない唯一無二の存在ですし、もっといろんな人に見てもらいたいですね。

『刀剣乱舞』には“大太刀”のような強い主題歌が必要だった

西川さんは昨年、他アーティストとコラボレーションしたアニメタイアップに特に力を入れていらっしゃいました。そもそも主題歌のお話が来た際、どのようにコラボ相手を決めていらっしゃるんですか?
「こういう組み合わせは?」とアニメ制作サイドから進言していただくこともありますし、僕が「こういう組み合わせはどうですか」と提案するケースもあります。ありがたいことに、僕が「コラボしたいな」と思っていたアーティストさんほど、「僕もやりたかったです」と言ってくれることが多いですね。
西川さんから提案する場合、コラボ相手の選定基準はありますか?
強い先入観を持たれやすいアニメ・コンテンツに対して、より強いカウンターみたいなものを打ち出せる人にお願いしたいと思っています。たとえば映画『刀剣乱舞』主題歌のお話をいただいたときは、僕から布袋寅泰さんを指名させていただきました。

僕の歌とマッチングしていて、かつ、世界を相手に戦える音を出せると思ったんですよね。布袋さんは「刀」っていう部分で『キル・ビル』のイメージもあるし、日本を代表するアーティストでもある。日本発のエンターテインメントとして届けていくのであれば、彼が必要だと思いました。
『刀剣乱舞』は、昨今でこそ紅白歌合戦などを通して名前自体は知られるようになりましたけど、いまだに映画の主題歌の話をすると周囲は「ああ、紅白に出てた人たちの作品だよね!」って感じなんです。「紅白に出てたのは映画じゃなくて、ミュージカルのほうで…」って説明が必要になるくらいなんですよ。そもそも「名刀の擬人化」という設定やストーリーに戸惑う人も、まだ大勢いると思うんです。主題歌には、そういう戸惑いとか「よくわからない」「難しそう」っていうイメージををザーッと大太刀で薙ぎ払ってくれるような、強い存在が必要だったんです。
もし次、一緒にコラボをするとしたら、誰と組んでみたいですか?
菅野よう子さん。何度か僕の作品にも参加してもらっていますが、オリジナルを一緒に作りたいとはずっと思っています。あとは僕の声とどう混ざるかはわからないけど、中田ヤスタカさん。

みんなの頭の中で想像する「面白そうだな」と思うことを、逆提案的に形にしていくのが、「西川貴教」として一番やるべきことだと思うんです。そういう意味では、一緒に組んでみたい人がたくさんいます。今後もっといろんな相手に提案していきたいですし、逆に僕のことを使ってくれるような提案も生まれてくるといいなと期待しています。

「西川貴教」として、異なる業界をつなぐ存在でありたい

今、3月6日リリース『SINGularity』の制作が大詰めを迎えていらっしゃいますが、西川貴教名義では初のアルバムとなりますね。どういったアルバムになりそうですか?
良い意味でカテゴライズするのが難しいです。「こんなこともできるんじゃないかな」という挑戦的な方法を集めてみたので、どの曲のテイストもバラッバラなんですよ。そういう意味で今回は「ボイスサンプル」のような作品です。

それに、「僕と組みたい」と思ってくれる方たちと、新たなものを生み出せた手応えがあります。旧知の作家やなじみのバンドメンバーもいれば、布袋さんのような大先輩もいる。すごく光栄だしありがたいです。
実は西川名義になってから、歌そのものを評価してもらえる機会が増えました。「T.M.R.」のときはどうしても「T.M.R.」っぽいサウンドの中に自分の声を当てはめているという面がありました。でも個人名義になってから、自分の声が表現として必要とされ、そこに呼んでいただく機会が増えたんですよね。自分自身もその流れには可能性を感じるし、一層ステップアップしたいと思います。

だからこそ、アルバムがさらに次の挑戦につながったらうれしいと思ってます。「アルバムでこういうのをやってないから、やってみない?」という展開も待ってるし、「これができるんだったらあれもできるんじゃない?」という提案もうれしいです。それが新たな活動における最大の目的です。
「イナズマロック フェス」(毎年秋に滋賀県の琵琶湖で行われる音楽イベント)のオーガナイズやプロデュース業など、歌手以外におけるこれからの活動にも注目しています。「西川貴教」名義になった今、どのように進化していきたいか、今後の展望はありますか?
これまでの尺度で測れない、幅広い立ち位置でいたいです! アーティストとしての活動だけじゃなくて、イベントのオーガナイズやプロデュース活動にも力を入れたいですね。

僕のイメージって、年代によってだいぶ異なると思うんです。ある世代は「アニソンの人」と思うだろうし、ある世代は「歌手」と思っているはず。自分で言うのもアレですけど、それはすごくラッキーなことなんです。イメージの幅が広いからこそ、世代を超えて、アニメとアーティストや、海外と日本をつなぐことができる。

いろんなものをつなぐインターフェース的な存在になることが、僕のあるべき姿だと思っていますし、今後の目標です。
西川貴教(にしかわ・たかのり)
1970年9月19日生まれ。滋賀県出身。96年5月にソロプロジェクト“T.M.Revolution”としてシングル『独裁 -monopolize-』でデビュー。キャッチーな楽曲、観る者を魅了する完成されたステージ、圧倒的なライヴパフォーマンスに定評がある。また、故郷滋賀県から初代『滋賀ふるさと観光大使』に任命され、大型野外ロックフェス『イナズマロック フェス』を毎年主催する。2018年3月西川貴教ソロ名義での活動スタート。2019年3月アルバム発売後、4月より初の西川貴教名義での全国ライブツアーを行う。

作品情報

『SINGularity』
3月6日リリース予定
初回生産限定盤[CD+DVD]
ESCL-5200〜1
¥3,704+tax
PlayPASS対応(CDのみ)
通常盤[CD]
ESCL-5202
¥2,778+tax
PlayPASS対応(初回仕様のみ)

サイン入りポラプレゼント

今回インタビューをさせていただいた、西川貴教さんのサイン入りポラロイドを3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
ライブドアニュースのTwitterアカウント(@livedoornews)をフォロー&以下のツイートをRT
受付期間
2019年2月26日(火)12:00〜3月4日(月)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/3月5日(火)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから3月5日(火)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき2019年3月8日(金)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
  • 応募内容、方法に虚偽の記載がある場合や、当方が不正と判断した場合、応募資格を取り消します。
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