JTが放つ、加熱式たばこの新製品「プルーム・テック・プラス」は、ライバルの「アイコス」(フィリップ モリス)を超えられるか(筆者撮影)

日本たばこ産業(JT)が2019年1月29日に満を持して投入した、加熱式たばこの新製品「プルーム・テック・プラス」。さっそく試しに吸ってみた。果たして競合する「IQOS(アイコス)」(米フィリップ モリス インターナショナル)の牙城を崩せるのか? 低温加熱式の弱点を克服した新型と従来品とを、実体験で徹底比較してみたい。

まずいきなり結論から言おう。

アイコスにこの製品で勝つことは難しいが、一定の層にはジャストミートして地位を確立するのではないか。筆者自身、新製品を吸って比べた感触では、旧型に比べて驚くほど劇的に、”たばこ感”が強烈に上がっていると思う。旧型よりも2倍以上であり、購入する前に期待していた、イメージ以上の出来栄えだといえる。

本体は倍以上の大きさになっているが、いざ吸ってみると、吸い口の安定感や吸い心地、持ちやすさなどが相当に改善されている。キットの値段も「アイコス3」は1万0980円(税込み)だが、プルーム・テック・プラスは4980円(同)と、半値以下の設定なのでお得感もある。

五輪開催で火をつけない加熱式たばこに注目

2020年には東京オリンピックが開催されるにあたり、飲食店などでの喫煙が制限される状況にある。火をつけない加熱式たばこがますます注目を浴びることは容易に想像できる。

加熱式たばこでは加熱時に発生する「とうもろこし臭」が若干敬遠されているため、先行するJTはアイコスの加熱臭を軽減する新製品を投入。改善がまた注目を集め、市場全体が活気を帯びている。

筆者も発売当日でスタートの14時、公式ページからオンラインショップで注文したが、閲覧が集中してなかなかつながらず不安定だった。そのために決済完了までに90分も要してしまった。ただ90分後には、すでに売り切れ表示がされており、一瞬でなくなってしまったようだ。それだけ今回の新型プルーム・テックは期待されていたのだろう。

ではプルーム・テックと他社製品との違いはどこか。JTの開発した低温加熱式は、アイコスや「グロー」(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)などとは違う。たばこ葉を直接加熱するのでなく、まずグリセリン溶剤をリチウム電池で加熱し、そこから発生した低温蒸気がたばこ葉カプセルを通って、体に摂取するというものだ。

リチウムイオン電池で加熱し、スチームを利用して喫煙する構造はほぼ同じだが、JTのプルーム・テックだけがたばこ葉を直接加熱せずに吸える、という仕組みになっている。

そのためアイコスやグローのように、加熱した際に出るとうもろこし臭がないのが特徴で、逆にたばこ感が弱いとされていた原因でもある。今回はそのたばこ感を強化すべく、新型が投入されたというわけだ。

デザインの特徴としては、JTが海外ですでに販売している、加熱式たばこ「Logic PRO」をベースにしていると感じる。海外では、リキッドにニコチンを溶かし蒸気化して吸う加熱たばこが主流なのだが、日本では法規制のため販売できず致し方なく、ニコチン溶液ではないグリセリン加熱式たばこが一般化したのだと思われる。


上が新型で下の旧式よりも大きい(筆者撮影)

プルーム・テック・プラスを構成するのは、おおまかに4つの部品で成り立っている。充電式リチウム電池、グリセリン、グリセリンホルダー、たばこ葉カプセル。これらを連結し、リチウム電池についている丸いボタンを3回押すと、起動。すぐに蒸気が出てくる。

新型は旧式よりもかなり大きく、存在感もある。リチウム電池の容量も大きい。そして今回何と言っても違うのが、たばこ感を強く感じるように工夫をしているらしく、加熱温度やグリセリンを目で見えるようにしている点だと思う。

残量が見えるのはいいが、USB端子は残念

旧式の場合、グリセリンの残量が見えないので、あとどれくらい使えるのかがわからなかった。一方の新型は、グリセリンカプセルの窓が本体についているため、残量が見えるので安心だ。

ただし一点、非常に残念なのは、USB端子がタイプBであること。リチウムイオン電池の挿し口が現在主流のUSB‐Cでなく、向きが一定で台形のBタイプだからだ。スマートフォンはすでにタイプCが主流のため、コンセントを流用できない点がもったいない。もっとも説明書には、専用の充電器を使うように指示されているゆえ、同梱されている充電器を使う分にはまったく問題がないのである。充電容量は増大、充電速度も向上している。


スターターキットには電池や充電器などがある(筆者撮影)

充電方法は変わった。従来はコンセントに直接挿して、充電が終わるのを待つというものだったが、今回の新型は、USB‐Bタイプのコードを電池に差し込む方式となっている。これは便利だろう。旧式は壁に出っぱるゆえ、足が引っかかったりして破損のリスクがあったが、新型はコードがあるためにそのリスクが軽減されている。

「メビウス・マイルド・ブレンド・フォー・プルーム・テック・プラス」をはじめ、たばこカプセルはレギュラータイプ2種類、メンソールタイプ2種類の計4種類。1箱にはたばこカプセル5個とリキッド容器が入っている。また、旧式についてもなくなるわけではなく、継続して販売され、ファッショナブルな製品としてブラッシュアップされた。大きさが新型に比べ小さく、見た目で洗練されているので、よりおしゃれな方向に舵を切ったのではないか。

果たしてプルーム・テック・プラスはアイコスを超えることができるのか。消費者の審判はまもなく下る。

(注)本記事はたばこやパイプたばこなどの推奨や宣伝をする目的はまったくなく、商品分析のために書かれたものです。たばこは人体に有害とされているため、推奨されるものではありません。