弱点だった先進安全装備が追加されて死角なし

 2019年2月15日、かねてよりさまざまな情報が流れていた三菱の新型デリカD:5がついに発売された。

 まず注目は日本車随一といってもいいイカツイ顔つきだ。このフロントデザインは「ダイナミックシールド」と呼ばれるコンセプトの基づくもの。また、キレのある横に細いヘッドライトが主流のなか、縦型のマルチLEDヘッドライトも目を引く。

 リヤまわりはフロントに比べるとおとなしいものの、リヤコンビランプをテールゲートガーニッシュと一体感のあるデザインとし、ワイド感と安定性を演出しているという。

 変更は当然室内にも及ぶ。インストゥルメントパネルは三菱自動車の4WDモデルに採用される「ホリゾンタルアクシス」と呼ばれる水平基調のデザイン。これは単に室内の広がり感を表現するだけでなく、走行時の車両姿勢が掴みやすいという効果がある。

 デザインが注目される新型デリカD:5だが、本当の真価は機能面、走りに寄与する中身にある。

 まずは先代デリカD:5で「弱点」といえる安全装備。こちらは最新の予防安全技術「e-Assist」を搭載した。e-Assistに含まれるのは、衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)、車線逸脱警報システム(LDW)、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)、オートマチックハイビーム(AHB)など。後側方車両検知警報システム[レーンチェンジアシスト機能付き](BSW/LCA)、後退時車両検知警報システム(RCTA)はグレードにより、標準もしくはメーカーオプションとなる。この装備によって全車「サポカー」に該当した。

 さらにちょっとした装備だが便利なこと間違いないのが、電動スライドドアとエレクトリックテールゲートのスイッチを2度押しすることで、ドア&ゲートが閉まると同時に施錠が完了する機能だ。これは完全に閉まりきるのを待たずにクルマを離れることができるので、日常での煩わしさが軽減される。

エンジン・AT・パワステまで大幅に進化した

 室内で注目したいのは、ディーラーオプション設定の「DELICA D:5 オリジナル10.1型ナビゲーション」だ。この大画面は表示が4分割されており、均等割りから、1画面だけ拡大するなど表示レイアウトが自由に変更できる。実際に触ってみたが、直感的に操作でき非常に便利だった。新型デリカD:5を購入する際は装着を検討すべき装備といえるだろう。

 走りの面ではまずエンジンが変わった。2.2リッターのクリーンディーゼルターボは、フリクションの低減、燃焼室の変更、次世代燃料インジェクターの搭載など、主要構成部品の約5割を改良したという。最大トルクは5%アップし、さらにディーゼルならではの魅力がアップしている。また、NOx対策として尿素SCRシステムを採用したことで、従来の還元剤に燃料を使うNOxトラップに対して燃費が向上、エンジントルクに変動がなく音の変動も少ないなどのメリットがあるという。

 組み合わされるトランスミッションも、先代の6速スポーツモード付CVTから8速ATに変更。1速は従来の6速CVTに比べて約8%ローギヤード化、トップギヤは18%ハイギヤード化することで、全体として27%ワイドになった。これは、悪路走破性、高速燃費などの向上に効果を発揮する。

 加えてパワーステアリングが油圧から電動になったことも大きな変更だ。すでにクローズドコースでプロトタイプ試乗が行われているが、その効果は圧倒的! 操舵フィールは大幅に改善されており、ダイレクト感も増した。

 三菱のSUVシリーズがとくに力を入れる4WDシステムにも手が加わった。ヨーレイトフィードバック制御が新たに追加され、アンダーステアを抑制してドライバーのステアリング操作により忠実は車両挙動が実現されるという。

 こうした大幅な改良が加わった新型デリカD:5だが、じつはマイナーチェンジなのだ。だが、フロントまわりのボディ構造にまで手が加わり、プロトタイプ試乗では、もはやフルモデルチェンジと変わらない走りの進化が確認できている。ファンはぜひ実車を試してほしい。