インドで麻疹(はしか)の予防接種を受ける生徒(2018年9月4日撮影)。(c)Biju BORO / AFP

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【AFP=時事】国連(UN)の世界保健機関(WHO)は14日、2018年の世界の麻疹(はしか)患者数が前年比約50%増だったとして、はしかの流行を阻止するための取り組みが「後退している」と警鐘を鳴らした。

 WHOは、はしかの再流行という憂慮すべき傾向が、世界規模で起きていることを示す予備データを提示した。予防接種率が過去最高水準に達している富裕国でも、この傾向が認められている。

 WHOの予防接種・ワクチン・生物学的製剤部門を統括するキャサリン・オブライエン(Katherine O'Brien)氏は記者団に「WHOのデータは、はしか患者数の大幅な増加を示している。この傾向はあらゆる地域でみられている」と語った。

 オブライエン氏は「現在起きている流行は長期化しており、かなり大規模で、さらに拡大している」とし、「これは個々に孤立した問題ではない」と述べた。

 また報告された患者数は、実際の患者数の10%足らずだろうという。同氏は「報告数で50%の増加が確認されていることを考えると、われわれが間違った方向へ向かっていることが分かる」と述べ、感染例の実際数は「数百万件」に上るだろうと指摘した。

 2018年に世界各国で報告されたはしか患者数のWHOへの提出期限は4月となっている。だが、すでにこれまでに寄せられたデータの段階で、前年約17万人だった患者数は約22万9000人に増加している。WHOの暫定統計によると、2018年のはしかによる世界の死者数は約13万6000人に上るという。

 はしかは非常に感染力が強い伝染病で、重度の下痢、肺炎、失明などを引き起こす可能性があり、場合によっては死に至る恐れもある。WHOによれば、はしかは依然として「幼い子どもの主要な死因の一つ」だという。

■無関心と医学的根拠のない誤情報

 はしかは1960年代から使用されている「安全かつ有効な」ワクチンの2回接種で容易に予防できるため、こうした状況はもどかしいとWHOは述べている。

 WHOの予防接種普及プログラムを統括するカトリーナ・クレシンガー(Katrina Kretsinger)氏によると、はしか患者数は2016年までは着実に減少していたが、2017年以降に急増したという。

 貧困国や周縁地域、紛争国などではワクチンを入手できないことが問題になる。しかしその一方で、欧州や他の富裕地域では、はしかワクチンに関する無関心と誤った情報に再流行の原因の一端があると専門家らは分析する。

 一部の国々では、はしかワクチンを自閉症と関連付ける医学的根拠のない主張がなされ、そうした主張がいわゆる「反ワクチン」運動の支持者らによってソーシャルメディアなどで拡散されてもおり、これがはしかの再流行に関連しているとされる。

 オブライエン氏は「われわれはこれまでの進歩を後退させている」「現在の後退は、予防手段がないから起きているのではない。はしかの予防方法は確実にある」と述べ、「現在の後退の原因は、ワクチン接種が行われていないせいだ」 と指摘した。

【翻訳編集】AFPBB News