「ザ・ホード 死霊の大群」 (C)CAPTURE [THE FLAG] FILMS
/ LE PACTE - 2009

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 この度、映画.comでコラムを書かせて頂くことになった人喰いツイッタラーの人間食べ食べカエルと申します。どうぞよろしくお願い致します。さて、このコラムではホラー映画専門の動画配信サービス「OSOREZONE」内で配信されるホラー作品の中から、個人的に注目したい作品をピックアップし、紹介をしていきます。今回はお気に入りの3作品をピックアップ。では早速行ってみましょう。

 まず記念すべき1作品目は、景気よくゾンビ映画で「ザ・ホード 死霊の大群」だ。フランスからやってきた本作は、逃げ場のない高層ビルを舞台に、ゾンビと凄まじくガラの悪い生存者(ギャングに暴力警官やバトルジジイ)たちが文字通り真正面からぶつかり合う、非常にアグレッシブな作品だ。

 猛ダッシュ系のゾンビが群れとなって迫りくる様は非常に恐ろしく迫力があるが、生存者たちは凄まじくガラが悪いので全くひるまない。むしろなぜか素手で挑んでいき、ゾンビをフルボッコにしていく。刑事がたったひとりで、なんかのフェスかってくらいのテンションで群がってきたゾンビたちに立ち向かっていくシーンは非常に漢気に溢れており、見ていて思わず拳が上がる本作の白眉とも言える名場面だ。数あるゾンビ映画の中でも屈指の武闘派作品である。

 ホラー映画に数多く存在するスラッシャー映画。次に紹介するのはその中でも変わり種の作品「タッカーとデイル 史上最悪にツイてないヤツら」だ。これは口コミなどで広まっていることもあり、ご存知の方も多いかと思う。山奥にキャンプしに来た若者たちが不気味な男2人組と遭遇するという、スラッシャー映画のド定番な導入で始まるが、本作はそこから段々と様子がおかしくなっていく。

 実はこの一見恐ろしい風貌の男2人組タッカーとデイルは別に殺人鬼でもなんでもなく、こちらもただ友人同士で休暇を過ごそうと山小屋に訪れただけ。では若者たちは何に殺されるのかというと、ウッカリ事故ったりして勝手に死ぬのである。タッカーとデイルに恐怖心を抱き、勝手に慌てふためく若者たちが、前方不注意で走って木に刺さったり、裁断機にウッカリ突っ込んで刻まれたりと、1人ずつ不注意で勝手に死んでいく非常に斬新な殺人鬼不在スラッシャーなのだ。

 事故で死ぬ映画といえば「ファイナル・デスティネーション」シリーズが既にあって、あれは死の運命によって半ば意図的に事故に追い込まれるように描かれているが、本作の事故死は本当に若者たちの不注意によるもので、まごう事なき純粋ウッカリ死だ。誰が悪いというわけではなく、ただただひとりずつ死んでいく中で、タッカー&デイルと、彼らを殺人鬼だと信じ切ってしまった若者たちが壮絶なバトルを繰り広げる羽目になっていく様が、とにかく滑稽で面白い。終始コミカルでラストもすっきりする終わり方なので、スラッシャーホラー初心者も安心して楽しめるかと思う。

 最後は心霊系から「ラストシフト 最期の夜勤」を紹介したい。閉鎖寸前の廃れた警察署に転勤となった女性警察官が身も凍る恐怖に襲われる……というオカルト版「要塞警察」的な作品だ。

 本作の特徴は、なんといっても心霊現象の起きる頻度の高さである。物が動くのは当たり前、ポルターガイストや人影出現など全編がスーパーナチュラル見本市。息つく間もなく次々と心霊現象が起きまくる。もはや、心霊現象が起きていない時間の方が少ないくらいだ。

 心霊と心霊でドラマを挟んだ逆ハンバーガー状態な本作。そんなに怪異ばっかり起きていると逆に飽きるのでは? と思う方もいるだろうが、そこは上手く緩急をつけることで、最後までダレないよう作られている。特盛の恐怖をぶち込むサービス精神と見る者を飽きさせない職人技が見事に組み合わさった良作ホラーなので、ぜひおすすめしたい。特に、心霊現象を大量に見たい!! という欲張りな方は満足すること請け合いだ。

 既に2月のサービス開始時のラインナップの一部が発表されているが、OSOREZONEでは上記で挙げた作品以外にも、バラエティに富んだ様々なホラーが配信される。個人的にオッと思ったのが「バスケットケース」3部作。これは、天才フランク・ヘネンロッター監督が手掛けた傑作シリーズだが、レンタルもされてなければ他の定額見放題の配信サービスでも観られない中々貴重な作品なので非常にありがたい。

 今後もラインナップがどんどん追加されていくので、楽しみに待ちたいと思う。「怪談新耳袋」全シリーズ入っていることだし、「ダムドファイル」や「学校の怪談」のテレビスペシャル版も配信してくれると嬉しいです!!