平成最後夏の終わりに突如現れた、現在うっすらと北陸の秘密兵器と呼ばれる存在のポセイドン・石川が2月7日に、東京・渋谷 duo music exchangeでワンマンライブ『ポセイドン・石川ワンマン 〜ポセイドン祭り〜』をおこなった。2月4日にリリースされたメジャー1stミニアルバム『POSEIDON TIME』 の発売を記念しておこなうというもの。メジャー1stミニアルバムの曲を中心にPOPSメドレーやインディーズ時代のナンバー「東京シャワー」など披露。初の東京ワンマンとなった模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

ポセイドン・石川(撮影=tawara)

 様々な曲を「あの方」風に歌うその完成度の高さが話題で、ミュージシャンなのか芸人なのか… 立ち位置がグレーゾーンのポセイドン・石川。その石川初の東京ワンマンを見届けようと幅広い年齢層のオーディエンスが会場に集っていた。開演時刻になると会場は暗転。DJ FANCY SHOPPERがスタンバイし、続いて石川がステージ中央までゆっくり登場。新人離れした貫禄さえ感じさせる。

 ライブのオープニングを飾ったのは、いきものがかりの「ありがとう」。いきものがかりの水野良樹が絶賛していたことも記憶に新しい。重厚なハーモニーをバックに山下達郎風味の歌声で序盤からインパクトを与えた。そして、ブレイクのきっかけとなったDA PUMPの「U.S.A.」へ。ノリノリのバックトラックに山下達郎風味の歌という、通常ならありえない選曲が心地よいギャップを与える。MCでは「今までミュージシャンのつもりで活動してきたんですけど、昨年の夏あたりからリハーサルのことをネタ合わせと呼ぶようになって、いつの間にかシティポップ芸人と呼ばれるようになりました」と吐露。

 ここから、“自分のモノにしたあの方”シリーズとして大塚愛の「さくらんぼ」や木村カエラの「Butterfly」と立て続けに披露し、オーディエンスを楽しませた。続いてのX JAPANの「紅」はオリジナルとは全く違ったビートを打ち出し、新たな側面を覗かせていた。曲終わりに挿入される<ライドオ〜ン>が印象的に響いていた。

 ここからは地元のライブハウスで披露してきた弾き語りコーナーへ。まずはもしあの方がアイドルの握手会に参加したらというテーマのオリジナルバラード「握手会Generation」を届けた。ジャズが好きだという石川のコンテンポラリーなキーボードプレイは必見、必聴の価値あり。それは曲に入る前にさらっと弾くフレーズにも表れていて、音楽への造詣が深いことが伺える。そこに乗るエモーショナルな歌声も、握手会というイベントの持つ情景を色濃く映し出していた。

 「POPSメドレー」と題したセクションでは、クイーンの「Bohemian Rhapsody」や、“きっとあの方がカバーしないであろう”シリーズとして、B'zの「LOVE PHANTOM」、Perfumeの「チョコレイト・ディスコ」などを披露。また、聴きたくなる一癖ある歌唱に、オーディエンスも耳を傾ける。

 続いて、初披露となったショルダー・キーボードでのプレーで届けらたのは、山下達郎の「クリスマス・イブ」だ。目を閉じればそこにあのお方が歌っているかのよう。贅沢な気分を味わせてくれたのは確かだ。

ポセイドン・石川(撮影=tawara)

 ワンマンということで、サポートバンドに、森田航(Gt)、ゴマアブラ・スパバンドで活動するダディー直樹(Ba)と大塚篤史(Dr)の3人を呼び込み、インストナンバーの「4」を披露。石川のルーツが垣間見れるテクニカルなフュージョンで、グルーヴィな空間を作り上げた。石川のショルダーキーボードによるリードプレイも鮮烈に響き渡った。

 ライブは後半戦へ突入。童謡の「あんたがたどこさ」はこの曲の持つ世界観と石川の歌声の絶妙な融合を見せ、ラッツ&スターの「め組のひと」や、きゃりーぱみゅぱみゅの「にんじゃりばんばん」で魅せた妖艶なダンスと視覚でも楽しませた。そして、配信デビュー曲となった美空ひばりの「リンゴ追分」は、オリジナルの熱量を引き継ぎながらも、この曲の持つ新たな可能性を感じさせた。

 楽しかったライブも佳境に。まずはオリジナルナンバーの「黄色い声が聞きたくて」。軽快なリズムが心踊らせる極上のポップスを響かせ、インディーズ時代のミニアルバム『TOKYO SHOWER』から「シャチに目をつけられて」、本編ラストは「℃-Bon」と、オリジナル曲を伸びやかに歌い上げステージを後にした。

 アンコールの声に応え、再びステージに石川が登場。盛り上がって終わりたいとノリノリのナンバー「東京Shower」を披露。天井にはミラーボールもキラキラと光りを乱反射させ、バブリーな空間に。さらにそのテンションをブーストするかのように、ラストはもう一度「U.S.A.」を全霊でパフォーマンスし、『ポセイドン・石川ワンマン 〜ポセイドン祭り〜』の幕は閉じた。

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