初等教育教員養成課程の1年生、野片桃香(のがた・ももか)さん

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選手を支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。今回は福岡教育大学女子バスケットボール部で1年生マネージャーとしてチームに貢献する野片桃香(のがた・ももか)さんの登場です!

【写真を見る】野片さんを中心に記念撮影。野片さんの左隣は親友の吉田栞菜さん

■ コートネームは「モン」

女子バスケ部にはお互いを短い愛称で呼び合う伝統があります。競技中でも呼びかけやすく、親しみをこめて名付けられる“コートネーム”です。野片さんのコートネーム『モン』は、出身高校名に由来したもの。高校時代は女子バレーボール部でマネージャーをつとめていました。

入学前の春休みから練習に参加していた同級生で仲の良い吉田栞菜さんから、「女子バスケ部はマネージャーがいなくて、練習が大変!」だと聞かされていました。「大学でもマネージャーをやるのは決めていたんですけど、最初は別の部活を考えてました。でも、女子バスケ部の体験入部に来たら、雰囲気がメッチャ明るくて、楽しそうで。入部を決めました」

■ 少数精鋭のチームワーク

福教大女子バスケ部は、昨年、九州地区3位の好成績で全日本大学バスケットボール選手権大会『インカレ』に出場を果たした強豪校。しかし、4年生が引退し、現在は野片さんを合わせて7人という、決して多くはない人数で活動しています。「他の大学は、ベンチに入り切らなくて、スタンドから応援したりしてるんですけど、自分たちは逆にベンチに空きがあるんです...」

訪れた日も、少しコート内の人数は寂しい感じはしましたが、ひとたび練習が始まると、明るい雰囲気を保ちつつ、統率の取れた一体感のあるメニューが続いていきます。それぞれが設定した『シュートを決めきる』『周りを見る・走るコース』といった課題を念頭に練習。「自分は運動が出来ない、運動音痴なので(笑)」と言う野片さんですが、アップ時の“ビブスを押し付け合う追いかけっこ”の際には、選手たちに混じって野片さんも走ります!ちなみに記者も突然ビブスを渡され、がんばって走ることに。練習中も笑顔の絶えないこのチームの、あたたかい雰囲気を体感させてもらいました。

■ マネージャーの役割

「私が運動音痴ってのもあるんですけど(笑) 、人ががんばっているのを見て自分が元気をもらえるし、恩返しのつもりでサポートして達成感が味わえるのが、マネージャーのいいとこなのかな、って」

高校時代のマネージャー業を通して、試合や練習を離れた部分でのサポートの重要さも感じてきた、といいます。「色々悩み事の相談にのり、解決して『ありがとう!』と言われた時などに、マネージャーをしてて良かったなぁ、って。プレイヤー同士だと、どうしてもプレーに支障が出て話せない事もマネージャーには話せると思うので」

1年生の野片さんですが、先輩たちと2人で遊びに行ったり、プライベートな話をすることも多いそうです。そうやって作り上げていく関係性も、マネージャーとしての仕事に活かされていきます。

■ マネージャーとしての『ひみつ道具』『極意』

《ひみつ道具》は、“声”。

「自分はコート内で声を出せない分、練習中に時間を知らせたり、試合中にベンチから『リバウンドー!』『ナイスー!』と叫んだり。プレーでチームを盛り上げられない分、声で盛り上げたい。試合中もやってます。ベンチは2人だったりするんですけど(笑)」

ーーどうしても声量では負けてしまいますもんね?

「いや、でも負けないように!他のチームの大人数に負けないように30対2とかで、がんばってます!」

《マネージャーの極意》は、“私がもたらす安心感”

「まだ1年生なんですけど、これからずっとマネージャーをやっていって、みなさんを包み込み、安心感を与えられるような、お母さん的な存在になりたいです。自分は、試合を見てプレーに関するアドバイスは出来ないんですけど、客観的に見たり、不安になっている事を部員から聞いて、いつかは『モンがいると安心するなぁ』と思われる存在になりたいと思ってます」

ーー今のところ、何%くらいですか?

「いや、まだまだ、20〜30%くらいだと思います」

ーー後から選手の皆さんに聞いてみましょうか?

「あー、どうかなぁ(笑)」

■ 野片桃香さんの『ここが最高!』

選手のみなさんにとって、野片さんはどんな存在なのでしょうか?

「モンがいてくれることで、自分らもプレーに集中できるので、すごい大きい存在。ありがたいと思ってます」(3年キャプテン・山下理帆さん)。「自分たちじゃ見れないところをしっかり客観的に見てくれてて、チームの雰囲気が悪かったら『こうですよー』などと言ってくれます。『今、練習やっている目標とズレてるんじゃないですか?』っていうのを個人的に話してくれたり。そういう面でも支えてもらってると思います」(2年・竹内優香さん)。

先輩たちが自分の事をどう話すのか?取材の様子を少し離れて見守っていた野片さん。大丈夫!選手たちは確実に野片さんから“安心感”を受け取っているようです。目指すマネージャー像にまっすぐ近付いていますよ!

■ 目標を達成するために!

今年もインカレ出場を目指す福教大バスケ部。「人数は少ないんですけど、『人に元気を与えられるような試合をする!』っていうのがチームの目標なので。笑顔を忘れずに大きな声出して、少人数なのを逆に強みにしたい!自分はそのサポートを全力でがんばっていきます」

少人数な事をマイナスには捉えていない7人ですが、やはり新しい仲間に加わって欲しいのが本音です。「マネージャー、めちゃくちゃ募集中です!1人しかいないので、夏が大変なんですよ!1人じゃ回せない部分があるので。しかもプレイヤーも6人しかいないので1人が怪我すると、試合に出れなくなっちゃう…。『部員もマネージャーも大募集中!』って、ホント太字で書いて欲しい(笑) 。入ってみてこの部活は楽しい!ちょっとキツくても、(部活に)来たら元気になります。自分の中ではそういう居場所。もちろん楽しい事ばかりじゃなくて、キツかったり、怒られたりすることもあるけれど、全国大会に行けた時の嬉しさが勝ちます。このチームにたくさんの人が入って、楽しさや嬉しさを共有して欲しいです!」

部活動と学業に加えてアルバイトもしながらの大学生活。この日も、睡眠時間を削って練習に参加していた野片さん。部員を増やしてチームの“声”を大きくしたい!明日の福岡教育大学女子バスケットボール部をつくっていく仲間の入部を、野片さんをはじめとしたチームのみんなが待っています。共に勝利をつかみ取りましょう!(九州ウォーカー・山本真己)