ハチ(2018年6月25日撮影、資料写真)。(c)SYLVAIN THOMAS / AFP

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【AFP=時事】世界の全昆虫種の半数近くが急速な減少傾向にあり、その3分の1ほどが地球上から姿を消す恐れがあるとの研究結果が、このほど発表された。これにより、食物連鎖や農作物の受粉において悲惨な結果がもたらされると、研究は警告している。

 今回の研究をまとめた査読済みの論文は「人類が食物生産の方法を変えなければ、数十年後には全ての昆虫が絶滅の道をたどることになる」と結論付けている。この論文は4月に学術誌「バイオロジカル・コンサベーション(Biological Conservation)」に掲載される予定だ。

 減少傾向は、静水域に生息するさまざまな昆虫種にみられ、こうした傾向について論文は、過去5億年間で6回目となる「大量絶滅」の一環だと指摘している。「われわれは、ペルム紀末期や白亜紀末期以降の地球上で最大規模の絶滅事象を目の当たりにしている」

 2億5200万年前に起きたペルム紀末期の大量絶滅では、地球の生物種の9割以上が死滅した一方、6600万年前の白亜紀末期に突如として発生した大量絶滅では陸生恐竜が姿を消した。

 オーストラリア・シドニー大学(University of Sydney)のフランシスコ・サンチェス・バヨ(Francisco Sanchez-Bayo)氏と豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のクリス・ウィクホイス(Kris Wyckhuys)氏の研究チームは、「減少傾向にある種の現在の割合は昆虫種全体の41%で、脊椎動物(背骨を持つ動物)のそれに比べて2倍高いと推定される」と報告。また、「現時点で、昆虫種全体の3分の1が絶滅の危機にさらされている」とした。

 研究者らは、毎年1%が新たに絶滅危惧種の仲間入りをすると推定しているが、昆虫のバイオマス(生物量、生物体の総重量)は全世界で年間約2.5%の割合で減少している。

 研究結果について論文の執筆者らは、「生態系の壊滅的崩壊を回避できるのは、断固たる行動だけだ」と警告し、原野の回復と、農薬および化学肥料の大幅な使用料削減が、昆虫の減少ペースを減速させるための最善の方法であることが考えられると述べた。

 今回の研究では、世界各地で収集されたデータ群70以上の内容がまとめられた。中には100年以上前にさかのぼるデータもあった。

 昆虫の減少と絶滅危機の理由については、森林破壊、都市化、農地への転換など、生息域の変化が最大の要因として浮上した。その次に大きかったのは、商業的農業における農薬の広範な使用と汚染だったが、最大要因との差は大きく開いていた。

■食糞性コガネムシも窮地に

 地球の生物種全体の約3分の2を構成する昆虫は約4億年前に出現して以来、主要な生態系を支える基盤となってきた。しかし、「昆虫が多くの脊椎動物の餌としての重要な役割を担うことについては、忘れ去られていることが多い」と研究チームは指摘する。

 モグラやハリネズミ、アリクイ、そしてトカゲや両生類、大半のコウモリに鳥や魚の多くは、昆虫を常食とし、子を育てるために昆虫に依存している。

 しかし、減少傾向の昆虫種によってできた「穴」を別の昆虫が埋めること──バイオマスの急激な減少を補うこと──は不可能と思われると論文には記された。

 また、昆虫は世界最多の受粉媒介者でもある。カカオ、コーヒー、アーモンド、サクランボなどを含む世界の食用作物の上位115種の75%がこうした生物による花粉の媒介(動物媒)に依存している。

 しかし、ハナバチの場合では、局地的に6種に1種がすでに絶滅している。地中海沿岸地方の食糞(ふん)性コガネムシ類も大きな打撃を受けており、種全体の60%以上に個体数の減少傾向がみられるという。

 個体数の減少が確認されている昆虫分類群の割合については、英国が全体の60%で、次いで米国が51%、欧州全域が44%となっている。

【翻訳編集】AFPBB News