2月7日に発表されたFIFAランキングで、日本が昨年12月時点の50位から27位へ順位をあげた。

 FIFAの国際Aマッチのカレンダーは、1月は空白になっている。1月から2月にかけての別項で、アジアカップが書き込まれているだけだ。

 FIFAランキングのポイントは、試合の重要度が関わってくる。簡単に言えば、テストマッチより公式戦のほうがポイントを稼げる。

 アジアカップは大陸選手権の本大会なので、ポイントを算出する重要度の係数が高い。決勝まで勝ち上がった日本は、必然的にポイントを稼ぐことができる。

 一方で、アジア以外の大陸は国際Aマッチをほぼ戦っていない。アジアカップの上位進出国が、ランキングを上げていくのは当然だ。

 3月の国際Aマッチデイに予定されるキリンチャレンジカップで、日本はコロンビア、ボリビアと対戦する。コロンビアは12位で、ボリビアは60位だ。

 FIFAランキングで見れば、ボリビアは日本の格下ということになる。だが、激戦の南米を主戦場としている彼らは、そもそもランキングをあげるのは難しい。サッカー関係者やファンなら想像にたやすいが、サッカーに馴染みの薄い人はランキングだけで判断してしまいかねない。

 そこでさらに、日本はボリビアより実力が上といった報道が広がったら──。

 実際の評価と世間一般の評価に、隔たりが生じてしまう。コロンビアはともかく、ボリビアは「勝って当然の相手」との誤解を招きかねない。

 日本国内のテストマッチにヨーロッパや南米の国が注ぐ熱量は、残念ながら決して高いものではない。ボリビアにもコロンビアにも勝てる可能性はあるが、ボリビアに勝ったからといって格下を退けたことにはならない。コロンビアから勝利をつかんだとしても、ロシアW杯のものとは意味合いがまったく異なる。ピッチで戦う選手たちはそれが分かっているから、勝っても控え目なのである。

 50位から27位がジャンプアップなのは間違いないが、それは事実の一部分に過ぎない。「急浮上」とか「大躍進」といった表現を使うのは、それが読者の目を引きやすいとしても現実にそぐわないだろう。引いてはそれが、日本代表への誤った認識につながるとしたら、誰にとっても不幸でしかない。