参考人招致され衆院予算委員会で答弁する厚生労働省大西康之前政策統括官=8日午後、国会・衆院第1委員室(春名中撮影)

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 厚生労働省の「毎月勤労統計」に関する不適切調査をめぐり、衆院予算委員会は8日、更迭された同省の大西康之元政策統括官を参考人として呼び、質疑を行った。

 野党が真相解明に不可欠として招致を求めていたが、大西氏が答弁に立ったのは計7回しかなく、主だった新事実も明らかにならなかった。同省では外部有識者でつくる特別監察委員会が調査をやり直している最中で「答弁できない」といった回答もあり、追及を印象づけたい野党のパフォーマンスが目立った。

 「大西さんだけが処分されるのは理不尽じゃないか」

 立憲民主党の逢坂誠二氏の問いに、大西氏は戸惑いを浮かべたまま「他の方の詳細を承知していないので答弁できない」と答えた。

 大西氏は統計を担当する局長級の政策統括官だった。昨年12月に根本匠厚生労働相に一連の問題を報告した経緯もあり、野党側は平成31年度予算案の実質審議入りを認める条件にしてまで招致にこだわった。

 8日の同委では、立憲民主党の逢坂氏と川内博史氏が大西氏に質問したが、問題の核心につながるようなやりとりは乏しかった。川内氏は厚労省の特別監察委の報告書に関し「ドラフト(草稿)を起案したのは、(省内の)統計、官房、どちらの部署か」と質問。しかし大西氏は「私はヒアリングを受けただけで、どなたが書いたか承知してない」と述べるにとどめた。

 一方、8日は自民党の岸田文雄政調会長ら与党側も統計問題の質問を重ねた。与党も問題に厳しく対処する姿勢を示したが、大西氏には質問しなかった。

 そもそも、与党は大西氏の参考人招致に消極的だった。更迭された官僚で、さらに特別監察委が再調査を進める最中では、答えられる内容も限られるからだ。

 しかし、今国会では、4月の統一地方選などに加え、同月から5月にかけては皇位継承に関連する10連休も控えており、国会日程の組み立ては窮屈だ。自民党関係者は「31年度予算案をどうしても8日中に審議入りさせる必要があった」と譲歩の理由を明かす。

 招致の可否をめぐり、与野党が対立した割には、8日の質疑は目立った波乱もなく終わった。与党幹部は「野党は『ちゃんと答えない』との印象操作をしたかったのだろうが、本当に大西氏から何かを引き出そうとしていたのか」と憤った。(大島悠亮)