アパート建築や賃貸などを手掛ける(株)レオパレス21(TSR企業コード:291293581、法人番号:3011201000900、中野区、東証1部)では、新たに発覚した施工不良問題が広がっている。
 2月7日、新たに法令違反が疑われる複数の不備が確認された。同社によると、2018年3月に施工物件の界壁が建築基準法に違反する疑いがあり、その後の全棟調査で今回の不備が判明した。
 東京商工リサーチ(TSR)では、レオパレス21と同社グループ(以下、レオパレスグループ)と直接取引のある1次、間接取引の2次の取引先数を調査した。取引先総数は仕入先合計が2,364社(重複除く)、販売先合計は306社(重複除く)だった。
 レオパレスグループと直接取引している1次仕入先(615社)のうち、建設業が335社(構成比54.4%)と過半数を占めた。1次仕入先の本社地は、東京都151社(構成比24.5%)、大阪府51社(同8.2%)、神奈川県47社、愛知県と千葉県が各37社と、都心部に集中している。
 また、資本金1億円未満(個人企業を含む)の中小企業は、1次仕入先社615社のうち、560社(構成比91.0%)と9割を超えた。2次仕入先1,786社では、1,175社(同65.7%)だった。
 レオパレスは、新たに確認された法令違反の疑いで、補修工事関連損失引当金を追加計上することで2019年3月期の業績予想で、赤字が大幅に拡大する見通しとなった。親会社に帰属する当期純利益(連結)は50〜70億円の赤字を380〜400億円の赤字に修正した。業績予想修正の公表時に、2018年12月末日の現金預金(連結)は892億円、自己資本(同)は1,069億円、自己資本比率35.2%と、十分な水準にあるとしている。
 取引先の多くを中小企業が占めているが、入居者の住み替え費用の立替額は不透明で、財務面への影響が注目される。


  • 本調査は企業情報サービス(tsr-van2)の企業相関図から、レオパレス21および同社グループの仕入先、 販売先を1次(直接取引)、2次(間接取引)に分け、業種、地区、規模などを抽出、分析した。
  • 1次取引先は直接取引のある取引先、2次取引先は1次取引先と直接取引がある間接取引企業を示す。
  • レオパレス21のほか、2018年3月期の有価証券報告書に記載されている国内連結子会社11社を対象とした。

レオパレスグループの取引先 1次販売先の最多業種は不動産業

 レオパレスグループの取引先を産業別でみると、直接取引のある1次仕入先(615社)では、最多は建設業の335社(構成比54.4%)。以下、サービス業他91社(同14.8%)、不動産業69社(同11.2%)の順。また、間接取引のある2次仕入先(1,786社)では、建築資材などを含む卸売業が641社(構成比35.8%)が最も高く、次いで、建設業397社(同22.2%)、印刷業を含む製造業322社(同18.0%)と続く。
 建設業の1次仕入先には、物件施工での下請先(外注先)、さらに2次仕入先には1次仕入先の下請先が多く含まれていて、規模が小さい業者も集中している可能性も高く、今後の動向も注視される。
 販売先では、1次販売先(82社)のうち、最多は不動産業の37社(構成比45.1%)。以下、サービス業他19社(同23.1%)、建設業12社(同14.6%)の順。2次販売先は、製造業が63社(同27.3%)で最も高かった。次いで、サービス業他53社(同23.0%)、建設業46社(同20.0%)と続く。

取引先の本社地 1次仕入先は関東および大都市圏に集中

 レオパレスグループの取引先を本社所在の地区別でみると、1次・2次仕入先、1次・2次販売先ともに最多は関東で5割以上を占めた。上位には、近畿、中部などの大都市圏が目立つ。

 都道府県別では、1次仕入先(615社)の最多は東京都151社(構成比24.5%)。次いで、大阪府51社(同8.2%)、神奈川県47社(同7.6%)、千葉県と愛知県が各37社(同6.0%)の順。上位5都府県(323社)で半数以上(構成比52.2%)、首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、267社)で4割(構成比43.4%)を占めた。
 1次販売先(82社)は、東京都が25社(構成比30.4%)で最も多かった。以下、大阪府7社(同8.5%)、埼玉県6社(同7.3%)と続く。

資本金別 1次仕入先は1億円未満が約9割を占める

 レオパレスグループの取引先を資本金別でみると、1次仕入先(615社)では、1千万円以上5千万円未満が330社(構成比53.6%)と最も多かった。次いで、1百万円以上5百万円未満95社(同15.4%)、5百万円以上1千万円未満59社(同9.5%)の順。1億円未満の中小企業は560社と、9割(同91.0%)を占める。2次仕入先(1,786社)では、1千万円以上5千万円未満が683社(同38.2%)で最多。
 1次販売先(82社)では、最多が1千万円以上5千万円未満の33社(構成比40.2%)。以下、1百万円以上5百万円未満が15社(同18.2%)、5百万円以上1千万円未満が14社(同17.0%)の順。1億円未満の中小企業は72社と8割(同87.8%)を占めた。2次販売先は、1億円以上が131社で、5割超(同56.9%)となった。

従業員数別 1次仕入先は100人未満が8割を占める

 レオパレスグループの取引先を従業員数別でみると、1次仕入先(615社)では10人未満が304社(構成比49.4%)で最多。次いで、10人以上100人未満の254社(同41.3%)、100人以上500人未満の34社(同5.5%)と続く。100人未満(不明含む)は559社と、9割(構成比90.8%)を占めた。2次仕入先では、10人以上100人未満が657社(同36.7%)と最も多かった。
 1次販売先(82社)では、最多が10人未満の39社(構成比47.5%)。以下、10人以上100人未満の30社(同36.5%)、500人以上の6社(同7.3%)と続く。100人未満(不明含む)は72社(構成比87.8%)を占める。2次販売先は500人以上が119社(同51.7%)で最多。


 全棟調査の過程で新たに確認された不備物件は、2,492棟(GR1,660棟、NGR679棟、AGR153棟)のうち1,324棟と、過半数(構成比53.1%)を占めた。さらに、2月7日の記者会見では、不備の関係で入居者のうち、最大で7,700人が転居を余儀なくされる見通しと発表した。
 2019年1月28日時点で、調査対象となっている3万9,085棟のうち、優先調査となっているネイルシリース(913棟)では、調査着手済は904棟(進捗率99.0%)で、界壁不備なしは6棟とわずか0.6%。補修工事の進捗率も32.5%と、当初の補修工事完了予定だった2019年1月末の期限に遅れが生じている。また、6シリーズ(1万4,370棟)は、調査着手済は1万3,067棟(同90.9%)で、界壁不備なしは1,745棟と1割(構成比12.1%)にとどまっていて、補修工事の完了も計画通りに進むかは未知数となっている。
 多くの物件で不備が確認されているなか、レオパレスグループのコーポレート・ガバナンスやコンプライアンスに対する意識の欠如が浮き彫りとなった。信用失墜により万一のことが起きれば、取引先の多くを占める中小企業にも悪影響が及ぶことを認識すべきだろう。