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若者の間でよく聞く「コスパ」という言葉。洋服を買うにも外食をするにも、常にコストパフォーマンスを気にする彼らには、一体どのような事情があるのでしょうか?
「ミレニアル世代のお金の専門家」で、『ミレニアル世代のお金のリアル』を出版したばかりの横川楓さんが、若者がコスパ重視せざるを得ないワケを解説。同時に、その風潮に警鐘を鳴らします。

買い物は「コスパ」の良し悪しで

「ニベアってあの超高級クリームと同じ成分であの値段、コスパ良すぎない?!」
「トリキ(鳥貴族)飲みって、やっぱりコスパ良いわ〜」
「某ハイブランドの数万円のセーターと、ユニクロの5000円のセーター、着心地ほぼ一緒なんだよね。コスパ的にそっちかな」

こんなふうに、友達と買い物をしたり、食事をしたりするときに、「コスパ」という言葉が飛び交うのが、私たちミレニアル世代の特徴です。
*ミレニアル世代の定義は「米国で2000年代に成人あるいは社会人になる世代」

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ご存じない方のために説明すると、コスパは「コストパフォーマンス」の略。払った金額が安く感じるくらいそのものの性能や質が良ければ「コスパが良い」、逆に割高だと感じたら「コスパが悪い」。

私たちは、無意識に、そしてとても頻繁に「コスパの良し悪し」の情報を常にシェアし合って生活しているんです。

「コスパ重視」の背景は「おカネ」?

その背景にあるのは「おカネ」の問題。

ミレニアル世代は、いわゆる「失われた30年」を生きてきた世代です。日本経済の縮小は、私たちミレニアル世代の所得事情にも大きく影響しています。

一例ですが、国税庁の年齢階級別の平均給与を見てみると、20歳から24歳の平均が258万円、25歳から29歳の平均が351万円、30歳から34歳の平均が403万円。

特に、働き盛りの20〜34歳の平均が約337万円。単純に12か月で割れば28万円の給与となりますが、ボーナスがあってこの金額だとしたら月々の手取りはもっと少ないでしょうし、ここから社会保険料や所得税などが引かれれば、手元に残るお金はますます減ります。

働き盛りの年齢にもかかわらず、今私たちミレニアル世代がもらっているお給料が少ないというのは、表にはでないですが大きな問題です。

また、正社員という雇用形態のほか、非正規社員という雇用形態が増加しているということも、ミレニアル世代のお金がないということに繋がっているのは間違いありません。

結婚・出産・育児などでどうしても仕事のブランクができてしまう女性と同様に、男性でも非正規社員の収入のボリュームゾーンは100万円〜199万円台と低い数字になっています。ですから、手取り15万円で生活するなんていうのは極端でもなくて本当によくある話。

この金額だと、都内など繁華街であれば家賃を支払うだけで普通に生活が苦しいです(家賃補助などがある企業ならまだいいのですが)。また、地方であっても、車社会ですから、車自体のお金はもちろん、ガソリン代、駐車場代等の維持費もある。地方だからといって、同じ手取りでも裕福に暮らせるというわけではないのです。

このような経済状況の中で、収入的にもローンを組んでまで家を購入したり、一人暮らしという選択肢をそもそも取ることもできず、実家暮らしのまま生活している人というのも少なくはありません。

これはミレニアル世代より少し上の世代(アラフォー世代)のお話になりますが、総務省のデータを見てみると、未婚で、収入が低く、職自体が不安定で、親に生活自体を頼っているいわゆる「パラサイト・シングル」と呼ばれる人たちの数も、バブル期と呼ばれる1980年代後半から、最近に至るまで約4倍も増加しているのです。

ミレニアル世代もこのまま年を重ねてどうなっていくのか……、少し怖い気持ちになってしまいますよね。

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また、私たちミレニアル世代は奨学金を多く抱える世代でもあります。所得が低く、手元に残るお金が少ない中で、家賃、光熱費、食費を支払い、奨学金の返済まで毎月数万円抱えている……。

これでは、何万円もする洋服や、高い食事に手を出せない。でも、ある程度は良いものは欲しいと考えた結果、「コスパ」を重視せざるを得ないというのが現状というわけです。

ただし、コスパを追求すると、失敗をすることもあります。私自身も経験がありますが、安いと思ってネットショップで買った服が着た瞬間壊れるといったような、「安かろう悪かろう」という言葉のとおり、品質の低いものもたくさんあります。

高くて良いものを買えるに越したことはないのです。それができないから、ミレニアル世代はコスパを念頭にお金を使おうとする。決してコスパがいいものが心から欲しいというわけではないのが、多くのミレニアル世代の発想でしょう。

手元に残るお金が年々減少

さらに、私たちの手元に残るお金が少ない原因の一つとして、ここ数年の日本社会の変化、すなわち「収入から減っていくお金・引かれていくお金の増加」で、私たちの手元に残るお金というのが年々減っていることがあります。

まずは1997年から導入された消費税。数年ごとに料率があがり、2019年には10%に増税されます。さまざまなキャッシュバックキャンペーンなども検討されていますが、それがダイレクトに私たちの生活に金銭的な余裕を与えてくれるかというと、そうではないでしょうし、今後も増税がされるなんて議題も検討されています。2019年1月7日からは、海外旅行へ行くのにも1000円税金がとられるようになりますからね。

また、以前は引かれていなかったボーナスからも社会保険料が引かれるようになったり、平成の初期から今に至るまでで社会保険料の負担も増え、少子高齢化の影響で年金がさらに必要になれば、毎月の社会保険料として引かれる金額も、今後も年々増え続ける可能性も否めません。

たとえ増税がされたとしても、社会保険料がたくさん引かれたとしても、それに伴った給料の増加、経済の潤いや社会福祉の充実が私たちの実感としてあれば、そこまで反発もないのでしょうが、それが私たちミレニアル世代自身になかなか感じられないというのが、きっと私たちの将来に対する不安に大きく繋がっているのだと思います。

安さを追求した先にはさらなる貧困

最近の若者の間では、もはや「ユニクロですら高い」という声もあります。確かにユニクロには1000円台で買えるようなコスパがいいものもありますが、中には1万円くらいの、いわゆる普通の価格のものも売っています。

一方でネットショップなどでは、もっと安い値段で同じようなものを買うことができたりもするとなると、だったらネットで買った方が良いという思考回路に簡単に切り替わる人も多いのです。

家を買う、買わない、車を買う、買わないといった将来のために大きい買い物を……、という考え方は古いのです。自己投資や身近なコスパを重視するというような「今」を重視する消費スタイルが、ミレニアル世代のお金のリアルと言えるでしょう。

ただでさえ人口が減り、働き手が減り、どの世代に至っても今でいう私たちミレニアル世代のように、若者の負担というのは増えていきます。

そして、失われた30年が40年、50年と進んでしまう可能性もある中、このまま永遠にコスパを重視していくということは、コスパという名の、安さを追い求める沼にはまり続けるだけです。

安さを追い求めるということは、つまり経済を縮小させてしまうことにつながります。そうなれば、もっともっと日本の企業の売上も減り、私たちの所得もどんどん減っていく。コスパ、つまり安さを追及する社会は、経済を衰退させ、結果的に私たちの貧しさを助長させてしまうばかりということを、知っておかなければならないのです。

人生100年時代と言われますが、自分が100歳まで生きる想像がつかないというのも、私たちミレニアル世代がそういった「お金がない」という現状としっかり向き合わない原因の一つなのでしょう。ですが、今後の人生にはたくさんのお金が必要なのです。今のままではダメだと気付いてからではもう遅いかもしれません。

あと何十年も人生を重ねていくミレニアル世代だからこそ、もっと私たち世代を取り巻く「お金」についての現実や正しい知識を知り、実際に自分から「お金」とのかかわりを深めていく必要があります。

コスパのような安さを追求する生活や貧困から脱し、ミレニアル世代の未来を明るくしていくためにも、ミレニアル世代のお金のリアルを、引き続き伝えていきたいと思います。

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