過剰な「政治介入」か(左は山本元規制改革担当相、右は麻生財務相)/(C)共同通信社

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 野党が“アベノミクス偽装”と批判している「毎月勤労統計」の不正問題。5日の衆院予算委で安倍首相は「恣意的に統計をいじることなんてできるわけがない」とムキになっていたがトンデモない。政府の過去の会議録からは「統計手法変更」と「GDPカサ上げ」をめぐって“アベ友”が蠢いていたことが分かった。

統計不正キーマン“幽閉” 安倍内閣の呆れる「隠蔽ドミノ」

 4日の衆院予算委で、立憲民主党の小川淳也議員は、安倍首相が2015年9月の総裁再選の直後に「GDPを600兆円」を掲げたことに触れ、「これをきっかけに官僚がつじつま合わせに動いたのではないか」と追及していた。

 そこで安倍首相が議長を務める「経済財政諮問会議」の過去の議事要旨を確認すると、小川議員の指摘通り、安倍首相が「600兆円」目標を掲げた直後から「基礎統計」が議題に浮上している状況が分かった。

 特に注目されるのが、16年3月の会議だ。安倍首相の“子飼い”と言われた高市総務相(当時)が突然、「政府統計の精度維持・向上の仕組み」なる資料を提示。統計改革の必要性を訴え、安倍首相も「不断の統計の改善が必要である」と踏み込んだからだ。

 そうしたら、3カ月後の6月、内閣府が提示した「経済財政運営と改革の基本方針2016〜600兆円経済への道筋〜」に、五輪やTPP、地方創生に並んで「経済統計の改善」が併記され、12月には“アベ友”の山本規制改革担当相(当時)が諮問会議に臨時出席し、〈政治主導で統計改革を進めることが重要〉と明記された「統計改革の推進について」という資料を提出。同月の諮問会議の下部組織である「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」にはこうある。

〈最近、景気ウォッチャー調査を見ると、国民の中で、特に悪い材料がでているわけでもないのに、先行きが不安だという人が増えてきている。今回の基準改定については、幾つか元気になる材料があるので、そういう漠然とした不安感を打ち消すことに使えないか(中略)新基準では、2016年度の上半期から、年率2・3%のペースで成長すると仮定するとちょうど(目標の)2020年度の下半期と2021年度の上半期の間でGDP600兆円を達成できる〉

 要するに、新基準の統計数値であれば「GDP600兆円」は達成できると言っているワケで、研究会は安倍政権のインチキを“代弁”していたに等しい。一方、研究会では委員から〈マスコミには政策に都合のいい統計をつくっているのではないかという論調がある〉〈誤解が絶対生じないように、客観的に明確な手順に沿って反映した結果であると説明していただきたい〉との懸念も示されていたが、今、まさにその通りの展開となっているのだ。

 つまるところ、モリカケ問題と同様、「GDP600兆円」という「結論ありき」に向かって、アベ友らがあの手この手で統計の調査手法をいじくり、GDPの“粉飾”を画策してきたということだ。あらためて小川議員がこう言う。

「本来、経済の状況を示す統計は、高い客観性が求められるもので、政治とは独立した立場の省庁などが作成するものです。しかし、諮問会議での一連の議論は明確な『政治介入』に見える。統計不正にしろ、GDPの“カサ上げ”にしろ、『統計の精度向上』の美名のもとに、数字が歪められてきたと疑われても仕方ありません」

 こんな状況を許せば必ず国は滅びる。