人権監視団体フリーダムハウスは2月4日、年次報告書「2019年世界の自由度」を発表した(freedomhouse.org)

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世界的な人権監視団体フリーダムハウスは2月4日、世界の自由度を図る年次報告書を発表した。このなかで、中国やロシア、イラン、サウジアラビア、北朝鮮など専制政治体制の国では、海外に逃亡した異見者らに対する嫌がらせ、引き渡し要求、誘拐、さらには殺人さえも行われていると批判した。

報告書「2019年世界の自由度調査」によると、民主主義国や専制体制の国を含め、世界の自由度は13年連続で低下したという。

フリーダムハウスは調査した195カ国と14の地域のうち、86は「自由」、59は「部分的な自由」、50は「自由ではない」と評価した。

フリーダムハウスは、多くの国が中国への依存を高めているかもしれないと危惧する。国際広報上級代表サラ・レプッチ(Sarah Repucci)氏は、世界のパワーバランスが専制体制に傾けば、自由社会の存続が一層危険になると指摘する。

中国は100点満点中11点を付けられており、百万人以上のウイグル人、カザフスタン人が収容所に強制収容されており、死に至る拷問が報告されているとした。また、世界的に中国共産党の影響力が強まる中、海外に逃亡した人物や中国人留学生の自由も脅かしている。

報告によると、中国やロシア、トルコ、イラン、サウジアラビア、北朝鮮など権威主義的な24カ国で、海外に逃亡した体制異見者に対して嫌がらせ、身柄引き渡し要求、誘拐、殺人が行われている。

2018年3月、米外交専門誌「ザ・ディプロマット」は、海外で起きた中国当局による拉致事件について調査報道を行った。オーストラリアでは、当局者に誘拐された中国出身者は2ケタに上るという。

報道によると、対象者は当局関係者と考えられる人物らに殴打され、意識障害を起こす薬物を注射されて、中国行きの船に押し込まれる。

こうした肉体的な迫害のほか、中国当局の代理人を海外に派遣して、対象者を自発的に帰国するよう促す場合もある。対象者は帰国後、拘束されるという。

フリーダムハウスは、国際刑事警察機構(インターポール)の情報ネットワークが専制政治体制に悪用され、海外にいる異見者に圧力を加えたと指摘した。

米国NGOで人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ中国担当代表ソフィー・リチャードソン氏も同じ問題を指摘する。海外在住の中国出身の国際刑事警察機構指名手配者は、中国にいる家族が共産党当局から圧力を受けたという。米政府系ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の取材に述べた。

フリーダムハウスは、民主的な変化を支援するために設立された独立人権監督機関。1970年代から政治的権利と国民の自由を監視するために年次報告を発行している。

2019年の報告書で、日本は「1955年から自由民主党のほぼ継続的な政権だが、民主主義政治と国民の自由は尊重されている」とし、100点中96点とした。しかし課題として、男女の格差や、大手企業と政治機関の癒着を指摘した。

世界的に自由度が好転した例として、マレーシアではマハティール政権が発足し、前政権の首相と家族による腐敗一掃を進めているとした。

(翻訳編集・佐渡道世)