スポーツカーからミニバンまでヒット車が目白押し

 価値の多様化というか、好みがバラバラというか、今の時代ではなかなかない、売れまくりグルマ。あっちを見ても、こっちを見ても同じクルマという時代があったのも確かで、今回は大好評だったトヨタ編に続いて、日産編を見てみよう。

1)日産シルビア(S13型)

 シルビアと言えば、スポーツカーかつFRということでドリフト好きなどに愛されたのかと思うかもしれないが、バブルの真っ盛り、デートカーの筆頭だった。石田純一よろしくセーターを肩に掛けた男子大学生と女子大生がシルビアでデートしていたものである。真っ向ライバルはホンダのプレリュードで、どちらもやたらと街中で見かけた。今の人に言ってもまったく信じてもらえないが。

2)日産マーチ(2代目)

 マッチのマーチ、ジウシアーロデザインの初代もよく見かけたが、コンパクトカーとして大ヒットしたのが2代目マーチだろう。当初、マーチは10年はフルモデルチェンジしないと日産は公言していたので、街中を走る台数が増えたというのもある。女の子向けにも力を入れていたのもヒットの理由で、若かりし頃の川原亜矢子がCMキャラだった。

3)日産サニー

 トヨタアンチを大いに取り込んでいたのが日産だが、さらにカローラアンチに売れたのがサニーだ。フロントエンブレムの形からカミナリサニーと呼ばれた8代目や、環境性能や燃費を売りにした9代目はよく見かけたものだ。

4)日産セレナ(初代)

 ミニバンブーム火つけ役の1台で、当初は1ボックスベースで車高も高めともっさりしていたがヒット。キタキツネなどの変わったグレード名も、アウトドアブームがらみで販売を後押し。

豪華ミニバンの先駆け的存在も!

5)日産アベニール

 ワゴン3大巨頭。スバル・レガシィに対する、トヨタがカルディナ。日産はアベニールだった。カルディナ同様、商用車ベースということもあり、レガシィには勝てなかったが、アンチも取り込み、ヒットした。

6)日産エルグランド

 今ではアルファード/ヴェルファイアにすっかりやられっぱなしだが、もともとLLクラスのミニバンといえば、1997年登場の初代、2002年登場の2代目と、エルグランドが独壇場だった。オーナーやディーラー取材をすると「エルグランドは憧れ」という言葉をよく聞いたものだ。この点が、今のエルグランドに欠けているところで、トヨタにやられている理由のひとつだろう。

7)日産フェアレディZ

 元祖280馬力規制車。結構大きいので、日本で乗るには気を使うこともあったが、存在感はあった。ちなみにR32スカイラインと時期的には被るが、今からすると激安とはいえ、当時としてはけっこうなオネダンしたこともあって、さすがに街でよく見るというほどではなかった。逆に、たまに見かけたスポーツカーという点では、通称「ビンボー人のGT-R」として、パルサーのGTi-Rがあげられるだろう。

8)日産シーマ

 シーマ現象という流行語ができたほど、街のあちこちで見た。セドリック/グロリアを筆頭に日産サルーン勢はやんちゃな感じがウリだったが、シーマも同様。中小企業、とくに現場系の社長に愛され、リヤウインドウのところにヘルメットを乗せ、フル加速で走り去っていくシーマはド定番だった。しかもお尻がグッと下がって、加速するものだからなおさら目立ったものだ。