売るに売れないジレンマ(GPIFの高橋理事長)(C)日刊ゲンダイ

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 どう落とし前をつけるつもりなのか。

根本厚労相を更迭でも地獄…安倍政権を襲う「辞任ドミノ」

 公的年金を運用する「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」が1日、2018年10〜12月期の運用実績を公表。なんと14兆8039億円の赤字だった。利回りはマイナス9.06%。7兆8899億円の赤字を出して大問題になった15年7〜9月期を大きく上回る過去最大の損失額だ。GPIFが抱える150兆円資産の約1割が、わずか四半期で消えてしまった。

「最大の要因は、アベノミクスの一環として、14年10月にポートフォリオの見直しを行ったことです。国内株と外国株の比率をそれぞれ12%から25%に引き上げ、巨額資金を株式市場に振り向けた。それで株価は2万円台に上昇しましたが、GPIFの資産が市場の変動の影響をモロに受けるようになってしまった」(経済評論家・斎藤満氏)

 18年10〜12月期の赤字は国内株と外国株の巨額損失によるもので、国内債だけは4242億円の黒字。安倍首相の号令で株式の比率を上げなければ、15兆円もの損失は出ていなかったのだ。

 さらに問題なのは、損失の多くは時価評価で、利益確定したくてもできないジレンマに陥っていることだ。GPIFが保有する日本株は約36兆円。東京市場の1日の売買代金が2兆円前後だから、保有株を売却すれば、市場に与える影響は甚大だ。株価は大きく下がり、GPIFの保有資産も目減りしていく。しかし、下落局面で売り抜けなければ、さらに莫大な損失を抱えてしまう。

「どちらにしても、結局は国民に負担を課すことになる。今後のマーケット見通しも不安定で、株を高値づかみしているGPIFは、すでに含み損を抱えているような状況です」(斎藤満氏)

 以前もGPIFの運用失敗を国会で追及された安倍は、「想定の利益が出ないということになってくれば、当然支払いに影響してくる」と答えていた。国民の資産を株式市場に勝手に突っ込み、儲かればアベノミクスの手柄、溶かした分は国民に年金減額を押し付けるのだ。

 “溶けた年金”批判を恐れる官邸は、「15兆円の赤字を出しても累積収益額は56兆円のプラス」と火消しに躍起だが、それは市場運用を始めた01年からの累積で、安倍政権でポートフォリオを見直した後の累計収益は約15・4兆円だ。株価2万円割れが続けば、15兆円なんてあっという間に吹っ飛んでしまう。

 当然、通常国会で野党はこの問題を厳しく追及する。安倍首相が火だるまになるのは必至だ。