画像:炎上した動画の一部

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 1月21日、大手牛丼チェーン『すき家』のアルバイト男性が自身のインスタグラムにバイト仲間が店内で氷を投げたり、お玉を股間に当てて騒いでいる動画をアップ。24時間で自動削除されるストーリーズ機能を利用しての投稿だったが、それを待たずにネット上で拡散。瞬く間に炎上し、すき家を運営するゼンショーホールディングス(以下、ゼンショーHD)が謝罪する事態となった。

 ちなみにすき家といえば、2015年にもアルバイトの女子高生が店内で撮影した自身のわいせつ画像をツイッターに投稿する“バイトテロ”が発生。このときも同社が謝罪する事態となり、社内規定に基づいて処分されている。

 このときは胸や下半身を露出したJKらしからぬ過激画像で、これに比べれば悪ふざけレベルだが、それでも店舗を運営する企業側にとってはたまったものではない。

◆軽犯罪法に触れる可能性がある!?

 今回の不適切動画を投稿した男性アルバイトについて、ベリーベスト法律事務所の松井剛弁護士は、「やってはならないことをしており、債務不履行や不法行為であるとして、損害賠償請求の対象となる可能性が考えられます」と話す。

「ただし、彼らの行為はすき家の信用やブランドイメージを失墜させたとはいえ、嘘の情報を流したとか威力を用いたとまでは言えません。そのため、業務妨害罪(刑法233条、234条。3年以下の懲役または50万円以下の罰金刑)に問うのは難しいでしょう。ただし、軽犯罪法1条31号で定めた『他人の業務に対して悪戯などでこれを妨害した者』に触れる可能性は十分にあります」

 ちなみに同法では《拘留(1日以上30日未満の拘束刑)》、《科料(1000円以上1万円以下の財産刑)》とあるが、アルバイト男性たちが法的に処罰を受ける可能性はどうやら低そうだ。

 すでにゼンショーHDは1月31日、すき家ホームページ上で謝罪の言葉と合わせて、「本件に関与した従業員については、社内規定に則って1月29日(火)付で退職処分といたしました」と明かしているからだ。処分対象は動画に登場する2人に加え、撮影者を加えた3人のアルバイト。懲戒免職や解雇とは書かれていないものの、クビ同然の処分であることに疑う余地はない。

 一方、こうしたバイトテロで気になるのは損害賠償。実際のところ、どうなのだろうか?

「あくまで一般論になりますが、同種の事案で仮に企業側が民事訴訟を起こした場合、アルバイトが損害賠償責任を負う可能性は高いでしょう。でも、今回のケースで言いますと、牛丼の具材をダメにしたなどの直接的な被害がなかったみたいですし、賠償額の設定や因果関係の証明が難しいかもしれません」

◆アルバイトの高校生でも損害賠償を求められる場合も?

 また、直営店かフランチャイズ店によっても変わってくることも。

「フランチャイズ店だと臨時休業や客足が減ったことで直接的な被害を被るのは、経営者であるオーナーです。その場合はチェーンの運営元ではなく、オーナーからアルバイトに損害賠償を求められる可能性があります」

 すき家は全店舗が直営店のため、オーナーがバイトに損害賠償を求めることはないようだが、運営元の企業が賠償を求めることは十分にありうる。

 なお、今回はSNSでアップしたことで本人が特定されてしまい、彼らのものと思われる個人情報も流出している。それによれば3人はいずれも高校生。それでも賠償責任を問うことはできるのか?

「そのこと自体は問題ありません。未成年の高校生とはいえ、本来は物事の分別がつく年齢ですし、アルバイトとして働いていた以上、責任は彼ら自身が負わなければなりません」

 問題の動画ではアルバイトの1人が「ヤバい、絶対クビ」と笑いながら話し、テロップには「くびかくご」の文字も入っている。だが、恐らくは彼らもここまでの大事になるとは思っていなかっただろう。

 クビどころか氏名や通っている学校まで晒されてしまったアルバイトたち。単なるバイト先での悪ふざけだったのかもしれないが、その代償はあまりに大きかったようだ。<TEXT/トシタカマサ>