福岡と釜山を結ぶ「ビートル」は日本人利用者数が韓国人を上回った

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日韓関係が冷え込む中で、両国を往来する観光客は増加している。

特に韓国人より日本人の方が高い伸び率を記録している。円高を背景に割安感が増しているためだとみられ、免税店の売り上げも急増。「政冷経熱」ぶりが際立つ形になっている。

ビートルでは日本人利用者が韓国人を上回る

2019年1月22日に韓国観光公社が発表した観光統計によると、18年12月に韓国を訪れた日本人観光客は前年同期比33.5%増の25万8521人。18年全体では前年比27.6%増の294万8527人だった。日本人観光客は、韓国を訪れる外国人観光客の2割近くを占めている。同公社では、年末のプロモーションが奏功したほか、訪日韓国人の需要が減少して飛行機の予約に余裕ができた分、週末の観光客が増えたとみている。

一方、日本政府観光局(JNTO)が1月16日に発表した訪日外客数の推計値によると、18年12月に韓国から日本を訪れた観光客は前年同期比0.4%増の68万1600人だった。通年では5.6%増の753万9000人で、過去最高を記録した。上半期は好調だったが、夏から秋にかけての台風などの災害がブレーキをかけた。

韓国から日本に来る人よりも、日本から韓国を訪れる人の方が、伸び率が高くなっている。この傾向は、福岡-釜山間の高速船「ビートル」でも反映されているようだ。同路線は国籍別の利用者数を公表しており、18年12月28日〜19年1月6日の日本人利用者数は前年同期比20.8%増の3511人で、韓国人利用者数は16.5%減の3232人。日本人と韓国人の数が逆転した。

明洞の免税店では日本人向けの売り上げ5割増

この背景として韓国メディアが指摘しているのが、円高ウォン安だ。18年1月初頭には100円=940ウォン程度で推移していたが、19年1月には100円=1030ウォン程度で推移。1年で10%近くウォンに対する円の価値が上昇し、日本人の購買意欲を後押ししたとの見方だ。

韓国免税店協会のまとめによると、18年に韓国の免税店を訪れた外国人は前年比20.4%増の1819万9448人で、売上高は40.8%増の約15兆ウォン(約1兆5000億円)。国別の内訳は明らかではないが、中国と日本がけん引しているとみられる。

年をまたいでも、この勢いは続きそうだ。聯合ニュースやヘラルド経済によると、ロッテ免税店明洞店の19年1月1〜20日の日本人に対する売上高は前年同期比31%増を記録。レーダー照射をめぐる問題が先鋭化してからも売り上げが伸びていることになる。店全体の売上高の伸び率が15%、中国人客に対するものが20%だったことを踏まえると、日本人の伸びが際立っている。新世界免税店の明洞店では同じ期間で店舗全体の売り上げと中国人観光客に対する売り上げがそれぞれ1%減ったが、日本人に対する売り上げは53%増加したという。

聯合ニュースは、これまではターゲットが中高年女性に絞られていた「韓流」の人気が、幅広い層に広がったことも、日本人観光客増加の背景にあると分析。TWICE(トワイス)やIZ*ONE(アイズワン)といった、韓国を拠点にするアイドルグループが若い女性の間で人気を広げていることなどを念頭に置いているとみられる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)