by nastya_gepp

美容整形は豊胸手術や隆鼻術、脂肪吸引などさまざまな方法で人の顔や体を理想の形へと近づけていきます。人が美容整形をすることによって本当に幸せになれるのかどうかという疑問について、心理学者のEllen Hendriksen氏が解説しています。

Will Cosmetic Surgery Make Me Happier?

https://www.quickanddirtytips.com/health-fitness/mental-health/will-cosmetic-surgery-make-me-happier

美容整形は定義上「医学的には必要ないが、容姿を患者が望む形へ近づけるために行われる手術」であり、ヤケドの跡を目立たなくしたり口唇口蓋裂の赤ちゃんを治療したり、乳房を切除した女性に乳房再建術を施したりするケースとは異なります。美容整形に賛成している人々の多くは、「ハル・ベリーやジョージ・クルーニーのような顔や体形で産まれなかった人々が、生まれつき不平等である容姿の差を埋めるために行うものだ」と主張しているとのこと。

一方で美容整形は不平等の差を埋めるだけでなく、手術を受けた人に「パワーを与えるものだ」と考える人も少なくありません。美人であったりイケメンであったりすることは多くの利益をもたらし、人を競争社会の中で優位に立たせるといった、実利的なメリットの他に心理的満足感や自信を高めるという意見もあるとのこと。

Hendriksen氏は「美容整形が本当に人々を幸せにするのか?」という質問を受けたことで、さまざまな研究結果を基にして美容整形が幸せをもたらすのかどうかについて調べました。すると、美容整形が単純に人を幸せにするとはいいがたいものであるという研究結果が見つかった一方で、美容整形が人々に幸せをもたらすという研究結果もあり、事態は非常に複雑だったと述べています。



by Global Panorama

ノルウェーで行われた研究では、1600人以上の女性を10年以上にわたって追跡して調査を行いました。14〜21歳の時点では調査対象となった女性は誰も美容整形を受けていませんでしたが、11年後に25〜32歳になった女性を調査したところ、実に5%の女性が何かしらの美容整形手術を受けていました。そのうち最も多かったのは豊胸手術または脂肪吸引手術であったとのこと。

この研究の興味深い点として、14〜21歳の時点で女性たちが自分の容姿に抱いている満足度と、11年後に手術を受ける可能性との間には関係性が見いだせなかったそうです。一方で美容整形手術を受けたかどうかに大きく関与していたのが、不安やうつ病、1回以上の自殺未遂および自傷歴といった要素でした。中でも調査開始時点で薬物を使用していた女性の場合、薬物を使用していなかった女性より2倍も美容整形手術を受ける可能性が高いことが判明しています。

さらに、美容整形手術を受けたからといって女性が幸せになったというわけではなく、手術を受けた女性は時間が経過するにつれてうつ病や不安が悪化し、摂食障害や自殺未遂、アルコール摂取量が増加したそうです。別の研究では美容整形手術を受けた男性や女性に関する37の研究について調査した結果、美容整形手術に対して非現実的な期待を抱いていた若い男性は、特に手術後に不幸せになるリスクが高いとわかりました。



by Daniel Reche

さらに他の研究では、「どのような美容整形手術を受けた人が不幸せになるリスクが高いのか?」という点について調査しており、「豊胸手術」および「鼻の整形手術」を受けた人は精神に悪影響が出る可能性が高いとされています。豊胸手術を受けた女性は、他の美容整形手術を受けた女性と比較しても自殺率が高いそうで、豊胸手術は精神的な問題を抱える一つの指標になり得るとのこと。

また、鼻を高くしたり鼻の形を変えたりする手術は、身体醜形障害を抱える人が特に受けやすい手術です。身体醜形障害を抱える人々は極度に自分の価値を低く考え、自分の身体や顔に物理的な欠陥があると思い込む症状が出ます。頻繁に鏡で自分の顔を確認したり、化粧をしてもとの顔を隠したり、髪や服で顔を隠したりといった行為は、身体醜形障害に関わっている可能性があります。

そんな身体醜形障害を持っている人は、美容整形手術で自分のコンプレックスを解消しようとすることが多いそうですが、多くの身体醜形障害患者は手術によって満足することができません。手術後に怒ったり絶望したりする身体醜形障害患者は少なくなく、ある研究では整形外科の医師のうち40%が、美容整形手術後に身体醜形障害患者から脅されたことがあると回答しています。



by Sinead Fenton

美容整形手術を受けて不幸せになったケースが数多く報告されている一方で、美容整形手術を検討している800人のグループを対象に行った研究では、「最終的に手術を受けた544人は手術を受けなかった人々に比べ、手術を受けた鼻や胸、腹部といった箇所に満足している」という結果が判明しました。

過去の研究が示した「美容整形手術を受けた人は不幸せになるリスクが高い」という結果とは逆に、この研究では手術を受けた人々が前向きな姿勢になり、人生を楽しみ、自己肯定感や人生の満足度までが向上して、不安感が解消されたと報告されています。そもそも美容整形手術は問題のある箇所を手術して治すためのものであり、研究者らは美容整形手術が患者の体に永続的な変化をもたらすことで、一時的ではなく長期間にわたって人々幸せにするのではないかと考えているとのこと。また、この研究では手術によってコンプレックスが解消されたため、美容に投資する費用が減少することも示唆されています。

Hendriksen氏は多くの研究を調査した上で、「多くの人は美容整形手術に満足しており、美容整形手術はおそらく人々を幸せにするでしょう」と結論しています。その一方でコンプレックスの解消による幸せと、人生における幸せは別物である点も指摘。自分の人生そのものを改善したいと思うのであれば、美容整形手術だけでは満足できないかもしれないと述べました。



by Beatnik Peach