「高級食パン」がブームになっています。コンビニやスーパーで買える一般的な食パンよりも高めの価格設定にも関わらず、多くの人が買い求める人気の秘密とは?

都内にある話題のお店へ実際に買いに出かけて、食べ比べてみました。試してくれたのは、料理やグルメについて執筆しているライターの朝岡真梨さんです。

噂の高級食パン!人気店の値段と大きさは?



ピックアップしたのは、高級食パンの火つけ役としてメディアでも多く紹介された「乃が美」と、食パンマニアの間で「おいしい!」と評判になっている「VIKING BAKERY F」、「セントル ザ・ベーカリー」の3つです。それぞれの買い求めやすさ、大きさ、味わいなどの特徴を比較していきたいと思います。

今回、比較する噂の高級食パンはいずれも2斤サイズ(長さ約23cm)が1本として販売されていました。

●それぞれの値段を比較してみましょう!


いずれも「高級食パン」と呼ばれる各お店の人気ラインの食パンですが、価格にはそれほど大きな差はありません。

・乃が美:「生」食パン 864円(税込)
・VIKING BAKERY F:プレーン 918円(税込)
・セントル ザ・ベーカリー:角食パン 864円(税込)

「乃が美」は半分の1斤サイズがちょうど半額の432円(税込)でも購入できるので、消費量が少ない家庭でも試しやすいと思います。「VIKING BAKERY F」は今回ご紹介する食パンのなかでは価格が高めではありますが、クレジットカードの支払いがOKでした。「セントル ザ・ベーカリー」で食パンを買う場合は、現金のみとなります。

●真ん中をカットして大きさを比較


それぞれのパンを真ん中の部分で2cm幅にカットした様子です。左から「乃が美」「VIKING BAKERY F」「セントル ザ・ベーカリー」。
持った瞬間、もっともずっしりと重さを感じた「セントル ザ・ベーカリー」の角食パンは、皮も中身も本当にやわらかく、テイクアウトの際に底に厚紙の台紙がひいてあったのもこのお店だけ。


カットするときは少し真ん中がつぶれてしまったのですが、それでもいちばんインパクトがありました。ふくらみの高さは12cmをゆうに超える部分もあるほどのボリューム感です。

求めやすさと買った直後の味わい、トーストしたときの食感を比較!まずは「乃が美」です



2016年にパン・オブ・ザ・イヤーにも輝き、近年の高級生食パンの代名詞的な人気を誇る名店「乃が美」の「生」食パン。売られているパンはこの1種類というあたりにも強いこだわりが感じられます。

お店は全国に111店舗を展開、また上本町総本店と梅田御堂筋店では、全国発送も行っているとあって、買い求めやすさも抜群です。一部の店舗では、電話による予約もしているようですよ。


今回、私がでかけた麻布十番のお店は2018年11月にオープンしたばかりの新しいお店ということもあって、並ぶことなくゲットできました。購入は一人5点までという制限も。人気ぶりがうかがえます。


その日に焼いたものではあるそうですが、購入時にはすでに冷めた状態でビニールに包まれたものが紙袋に入れられて渡されました。

●耳の焼目がいちばん薄い


膨らみ加減の高さは約10cm。特徴は淡い色の焼き加減で、ふくらみ加減は3つのなかでもっとも弱めでしたが、耳のやわらかさは抜群です。


焼かずに、「生」のまま食べてもおいしい秘密は、強めの甘み。砂糖のほかにはちみつも入っているそうですよ。

ブレッド用のナイフでカットするときは、形が崩れない程度のほどよい弾力があり、不器用な私でも8枚切り幅くらいでのカットができたので、サンドイッチなどにも使いやすいなと思いました。

●トーストしたときの味わいはイマイチ


ただ、そのまま食べておいしく設計されているせいか、トーストして食べたら味がかなり淡白でした。ふくらみが弱く、表面が少しへこんだような感じになってしまいました。

自家製天然酵母の香りと旨みが光る「VIKING BAKERY F」



南青山にある「VIKING BAKERY F」は「一日のはじまりをしあわせに」をテーマにした食パン専門店。10種類の多彩な食パンを買うことができます。
清澄白河に「VIKING BAKERY 0」という系列店があり、どちらも食パン好きの間では人気の高いお店です。


人気のプレーンは、お店の前の黒板に焼き上がり時間が書かれていますので、この時間に合わせて買いに行けば、ホカホカの焼きたてをゲットできます。私は、午後14時に買いにいきましたが、並ぶことはなくスムーズに買うことができました。


まだあたたかさが残るホカホカの食パン。オレンジの紙でロールされただけの状態で、保存用のビニールは別添えになっていました。

●天然酵母の香りがスゴイ!


「VIKING BAKERY F」の食パン「プレーン」は、しっかり焼きこまれた雰囲気の耳の色の濃さが特徴的。11cmを超えるふくらみ。そして自家製の天然酵母を使っているせいか、冷めてからもおとろえることのない香りの豊かさにも驚かされました。

●カナダ産一等粉と石臼挽き粉を配合


焼目の色の濃さとは裏腹に、中身のふんわりした食感にもご注目。断面は比較的、気泡が粗めに入っていますが、食べたときのやわらかさや天然酵母の自然な甘味が、小麦粉そのもののうま味をグンとひき立てているようなおいしさです。


3つのお店をトーストしたときに、焦げ目までおいしいなと感じたのが、「VIKING BAKERY F」の食パン「プレーン」でした。

大行列でも並ぶ価値アリ!「セントル ザ・ベーカリー」



今回、購入するのがいちばん大変だったのが、最後にご紹介する「セントル ザ・ベーカリー」です。銀座店のほかに、2018年11月に青山店もオープンしました。
私が今回買いに出かけた銀座のお店は、通りかかるたびいつも大行列。平日でも1時間以上並ぶことも珍しくないという大人気ぶり。朝10時のオープンなのですが、休日は9時ごろから並び始めることも多いそうです。


私は平日の15時半すぎに列に並んだのですが、この日は15分待ちくらいで購入することができました。完売次第、販売が終了となるので、ちょっと危険な時間帯ですが、あまり長時間並びたくない人は試してみる価値はあると思います。番号入り受付カードが渡されて、1人3本まで購入可能です。

●本当のできたて!アツアツ&ホカホカのパンが買える


びっくりしたのが、本当にできたてのホカホカした状態でパンが買えるという点です。受け取った瞬間から、紙袋の隙間から湯気を感じるほどのあたたかさ。そして強烈な香り。
ずっしりとした重さとともに「並んでよかったー!」と感じた瞬間です。こちらも保存用のビニールは別添え。

●なめらかでコクのあるもっちりした味わい


耳も中身も本当にやわらかく、カットするのにもっとも苦労したのが「セントル ザ・ベーカリー」の角食パンでした。後半にいくにつれて、どんどん潰れがちになってしまうのですが、店頭でのカットのサービスはないそうなので、これは私のような不器用な人間にとってはちょっと骨の折れる作業でもありました。
しかし食べてみたら、コクのあるもちもちっとした食感と、きめの細やかさが感動的。


北海道産の小麦「ゆめちから」を使用し、湯種・液種でつくったという角食パンは、トーストするともっちり感がいっそう増すようにも感じました。


今回比較した3つの食パンのなかで、生で食べても、トーストしても、もっともバランスのいいおいしさ。買った直後に続いて、実際に食べた直後も、また並んででも買いたいなと思えたのが「セントル ザ・ベーカリー」です。


「セントル ザ・ベーカリー」には、今回購入した角食パンのほかにも、プルマンというアメリカ・カナダ産の小麦粉を使った食パン(税込864円)や36時間低温発行させてつくったという山型のイギリスパン(税込756円)などもあるので、ぜひほかの種類も食べてみたくなりました!

どの食パンも確かに価格は安いとは言えませんが、2斤サイズというボリューム感とこだわりの製法や材料で作られた確かなおいしさを加味すると、満足度が高い商品だなと感じます。

ブームの秘密は、1000円程度で、家族みんなでワクワクした気分を味わえる食事のシーンでの楽しさにもあるのかもしれませんね。

●教えてくれた人
【朝岡真梨さん】

50か国200都市を超える海外旅行の経験をもとに各地のグルメや体験を紹介しているライター。国内の最新家電やモバイル機器に関する取材も多く、女性目線ならでは市場動向の分析が得意。料理と旅行についてのブログ「遊んでばかりのスナフキン」
が人気。夫婦そろって温泉ソムリエの資格を取得し、旅行と食事を楽しんでいる