恋愛経験をある程度積み重ねてきて、酸いも甘いも知っているオトナだからこそ、パートナーにあえて「言わない」ことをあえて拾って、恋愛コラムニストの桐谷ヨウさんにアドバイスをいただく連載「◯◯って言わない女子」。

ヨウさーん! 今回はこんなつぶやきを発見しましたよーー!!

【今回のつぶやき】

「私ってちょうどいいブスなの?」

「ちょうどいいブス」の話題が上るたびにドキッとする自分がいます。なぜなら、自分がそれに当たるのでは? と思うからです。

美人というよりも「愛嬌がある」と言われるタイプで、男性とのお付き合いも「君は本当に面白いね」からスタートすることが多いです。北川景子よりも樹木希林を目指そうというスタンスなのでそれに対して異論はないのですが、グループでキャンプに行ったり、遊びに行ったりしたときに「彼は隣にいるのが私でいいのだろうか?」とふと不安になることがあります。

ときどき彼に「私のどこが好きなの?」と聞いて困らせてしまうこともあります。それなりに恋愛経験はあるけれど、私は男性にとって「手頃」なのかな? 「ちょうどいいブス」だから私と付き合っているのでは? と不安になるのです。さすがに「私ってちょうどいいブスなの?」とは聞けないのですが…

【特集】#ちょうどいいブスやめた

安藤サクラの魅力とは…

こんばんは、ヨウさんです。北川景子さんより樹木希林さんってフレーズ良いですね(笑)

今回は思いつくままに語ってみましょう。先日ですね、安藤サクラさんが出演している『100円の恋』と『愛のむきだし』という映画を観たのですね。

『100円の恋』では30代ニートで引きこもりのいいとこなしのブスを安藤さんが演じているわけです。怠慢な生活をしてるから冒頭シーンの背中の贅肉とかやばいことになってるの。それが恋をしていくなかでドキッとするくらい可愛い表情をするようになっていくんですね。

『愛のむきだし』ではコイケというカルト宗教の勧誘をしている役なんですね。薄気味の悪い目つきと不敵な笑顔が怖すぎるサイコパス役なんですが、エロシーン(主に満島ひかりとの百合がらみ)がむっちゃくちゃエッロイんですよ。AAAのニッシーが股間をさわられるシーンがあるのですが、無反応でいられたのが不思議なくらいの色気です。(役が怖すぎだけど)

で、一般的には安藤サクラさんって正統派の美人ではないじゃないですか。演技力はすさまじいと思うのですが、いわゆる“わかりやすい美人”ではないというか……。でも、あの一瞬見せる表情はまちがいなく他人を魅了するものがあるなーと痛感しました。

いやー、いろいろな女性……だけじゃないな。男性にも見てなにかを感じとってほしいと思ったのでした。

ちなみに僕が初めて安藤さんを認識したのは『それでも、生きてゆく』というドラマでして、脇役出演なのですが、ドラマ自体が最高だし、瑛太にも満島ひかりにも惚れるのでぜひ。

話を戻しましょう。

自分が持っているものに目を向けてみて

えー、僕は「ちょうどいいブス」の何がいけないんでしょう? と思ってしまうわけですが、「手頃」だと思われているとしたらそりゃシャクですよね。日用雑貨よりはイケてる家具になりたいもんです。

このことから考えたのは「持って生まれたものはしょうがない」ということで、僕だって成宮寛貴のような顔に生まれたかったし、菅田将暉のような妙な雰囲気がほしかったけど、現実はパンピーなわけです。

まぁ、でも自分はこの手持ちのカードで戦っていくしかねーな、という気持ちでやってきました。多くの男性も女性もそんな感じでしょう。

そしてご相談者様が他人に与える「愛嬌のよさ」や「からみやすさ」という性質は、美人でないことから生まれた長所なんですよね。いや、美人でも愛嬌のいい人やからみやすい人はいますけど、自分が超絶イケメンか超絶美人だったらそうなっていたかは疑わしいです。いまのルックスにおける生存戦略として磨いてきたスキルなはずで。

ここで感じるのは「接点を持てた奴が勝ち」って事実です。

僕ら、特に恋愛においては他人と接点を持ててナンボなわけじゃないですか。良いと思われていても、他人が寄ってこない人はただの孤独な人です。今回の場合はそのくっつき方に対してひっかかるものがあるんだろうけど、「高嶺の花」だったらくっついていない可能性が高いわけで。彼は手頃でないと腰が引けるわけでしょ。

要は、

自分が望むくっつき方でないものを必要ないと思うか?

それとも理由がどうであれ

自分が好む人とくっつくことができたことを幸いとするか?

この分岐点にいるんだろうな、って。

まぁね、心がモヤッとすることに回答なんてないんですよ。根本的には自分に自信を持ちきれないことは自覚があるんでしょうし、自分が気安いから彼がアプローチしていたのかもしれないし、自分がもっと美人だったら彼はもっと嬉しかったかもしれない。

そのタラレバはずっと消えないでしょう。

ただね、「ちょうどいいブス」と「ただのブス」のちがいって超絶デカいですよ(笑)

なんらかの人を魅了する要素がないと「ちょうどいいブス」みたいな素敵な人になれないですからね。あまり嬉しくないかもしれないですが、まちがいなく異性からガンガンアプローチされるでしょうし。

上を見るな……というのは僕も好きな発想ではないですが、足らないものよりも、自分が何に満ちているかに目を向けることは大好きです。それでこそ感謝であったり幸福感は芽生えると考えるからです。

応援しています。

(イラスト:つぼゆり)